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燃えよ剣

監督:原田眞人
出演:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介、伊藤英明ほか

司馬遼太郎のベストセラー小説の映画化。幕末の混乱期、幕府派の武装集団として恐れられた新撰組の副長・土方歳三の生涯を描く。武州多摩の百姓の子として育ち、天然理心流の道場で剣術に明け暮れていたバラガキのトシは師範の近藤勇と共に浪士組の結成のため京に向かうー


「日本のいちばん長い日」、「関ヶ原」など近年歴史大河と群像劇を撮り続けている原田眞人監督作品。司馬遼太郎原作は「関ヶ原」に続き二作目。主演に近年アクション俳優として評価されている岡田准一と「孤狼の血LEVEL2」で日本の男優賞を総なめにした鈴木亮平、芹沢鴨役で伊藤英明。
原作小説の大ファンで文字通り擦り切れるほど読んでおり、映画公開時に劇場で、AmazonPrimeで再鑑賞。

原田監督の時代映画はロケとセットがいつも素晴らしい。(日本の時代物は予算の関係上大掛かりなセットを作るのも難しく、背景を映さないために狭いショットが多いか、何もない山などの自然環境で撮影するのが多い)
時代劇は役者と衣装とセットのどれかが浮いてしまうと一瞬でコスプレ劇になってしまうが、そんなことはなく幕末の世界に連れて行ってくれる。
連れて行ってくれるが。。

原作は、多摩の道場破り時代から箱館戦争、五稜郭の戦いまで上下巻合わせて800ページ以上ある長編小説で、二時間半の尺に収めきれるもではなく映画は人物の行動原理や歴史的事件を丁寧に描かないままどんどん進んでいく。
原作小説を読んでない人や幕末の知識がない人は理解できるのだろうか。

後半に至ってはどこで誰と戦っているのか全く分からず、目の前の敵兵を新撰組が斬って行くだけで小説のダイジェスト版のように終わってしまう。

お笑い芸人のはんにゃの金田哲が藤堂平助役、ウーマンラッシュアワーの村本大輔が山﨑丞役で出演していてどちらも良かった。

原作ファンとしては、Netflixのような予算をかけれる制作でドラマシリーズにして丁寧に描いて欲しかったと思う。



以下、原作に対する思い入れが強すぎるため書き足し

最後の徳川家将軍、一橋慶喜の描き方が一貫して臆病で精神的に参っているような描き方だったが司馬遼太郎の解釈とはかけ離れていて残念だった。司馬遼太郎は慶喜は歴代将軍の中でも聡明で頭がよく、時勢を判断する能力に長けた人物として描き、その頭の良さゆえに戦争を避け大政奉還を受け入れていたはずなのだが。。。
また原作では狡猾で卑怯な手や騙し討ちをする七里研ノ助も全くの別人物で、物分かりがよく紳士のような侍として描かれていた。歳三との対決のシーンは原作小説上下巻にかけた一番のクライマックスだったはずだがごっそりとエピソードごとなくなっていた。岡田准一の殺陣は武道と嗜んでいるだけあって素晴らしく、ぜひ見たかった。


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