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『人類捕獲計画~ZAREGOTO~』

一隻の宇宙船が地球の近くにワープしてきた。

宇宙人A「おい、あの星だな?」

宇宙人B「間違いありません」

宇宙人A「ゆくぞ」

宇宙人B「ラジャー!」

宇宙船を透明にして着陸した彼らは早速、目当てのものを見つけた。

宇宙人A「あれか?」

宇宙人B「スキャンデータの一致を確認。あれです。あれが“人間の男”です。」

宇宙人A「ふん、思いのほか貧相なものだな。だが、激しく抵抗をされても面倒だ。あれにしよう」

宇宙人B「ラジャー!」

宇宙人たちは躊躇なくその男を捕獲する作戦にうつった。

宇宙人A「そこの人間、止まれ!」

男「!? な、なんですか、あんたたちは!?」

宇宙人B「あなたをサンプルとして捕獲させていただきます」

男「え? サンプル? 捕獲!? 一体何の話だ!?」

宇宙人A「逆らえば、つまらん目にあうぞ。やれ」

宇宙人B「ラジャー!」

男「うわ! え!? 嘘、マジで!?」

男は目隠しをされたあげく、ロープで手足の自由を奪われ、 宇宙船に拉致されていった。

宇宙人A「これほどスムーズに奴隷サンプルが手に入るとは思わなんだ」

男「っ!?」

宇宙人が「奴隷」という言葉を発したとき、男は肩をピクっと震わせた。

宇宙人B「ええ、わたくしも正直、驚いています」

男「…………」

宇宙人A「ふん、どうした? 怖くて口も聞けぬか? 人間とは存外軟弱な生き物だな」

男「……つ、次は……次はなに?」

宇宙人A「? ……次、だと?」

宇宙人AとBが顔を見合わせて、肩をすくめる。

宇宙人B「次、とはどういう意味ですか?」

男「……だって僕、奴隷なんでしょ? ……えと、……ご、ご主人さま?」

宇宙人AB「――!?」

卑情事態発生のアラームが鳴り響き、宇宙人AとBが再び顔を見合わせる。

宇宙人A「おい、どうなってる?」

宇宙人B「しょ、少々お待ちください!」

宇宙人Bが手元のデバイスを慌てて操作し、データを検分する。

宇宙人B「……妙ですね」

宇宙人A「どうした」

宇宙人B「この奴隷サンプル……予測データの300倍も順応速度が速いんです。通常ですと、キーワード【ご主人様】が発言されるのに、少なくともあと200時間の調教が必要なはずなんですが……」

宇宙人A「データが古いのではないか?」

宇宙人B「いえ、最新版を取得してきたはずです」

宇宙人A「……」

男「……ね、ねえ、ちょっと……これってば……その……アレなの?
 いわゆる、ほ、放置プレイってヤツなの? ねえ?」

宇宙人AB「……」

宇宙人はなぜか無性に腹立たしくなり、男を電撃ムチで徹底的に痛めつけてみることにした。

男「き……きたあああああああああああああ!!!! ……目隠しがきて、縛りがきて……そしてそしてて褒美のムチプレイッ! しかもこれ! 電撃付きなんですけどぉぉぉおーーー!!! むふむふ! はっふぅぅーーーーん!!!」

宇宙人A「……」

宇宙人B「……」

男「ね、ねえ……それで……次は?」

男が濡れた瞳で宇宙人たちをみやる。

男「もしかして、あれ? 本当にアレいっちゃう? ムフフ、そろそろたらしちゃう頃かなぁって思って! それともぉ~……アレかなあ……? ムフ、ムフフフ……ッ♪」

宇宙人B「て、提督、この奴隷サンプルは……」

宇宙人A「リ、リリースしろ! 今すぐだ! 取得したデータも消去しておけ。こいつの記憶も!」

宇宙人Aが吐き捨てるように言い放つ。

宇宙人B「ラ、ラジャー!」

男「え、え!? なにこれ? 見たことない! 新しいヤツ!?」

男が頭にヘッドセットのようなものを取り付けられ、狂喜乱舞する。

宇宙人A「……もうダメだな。この星は」

宇宙人B「はい……別な星を探してみます」

そういって、宇宙人Bがデバイスを操作した。ぽちっとな。

男「……ン~……ギ! ギボヂイイイイイイイイイィィィ!!!!
はうぅぅぅぅぅぅぅ――――…………ッ!!!!!!」

 男の狂おしい絶叫が地球圏にこだましたのを最後にその宇宙船は姿を消し、二度と現れることはなかった……。

END

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。