アンダージョーク『伝家の“宝刀”(ほうとう)』
アンダージョーク『伝家の“宝刀(ほうとう)“』
山の手のとある資産家夫婦。
毎晩旦那がおさかんで夜も寝かせてくれないとか。
そんなある日の営みの途中、奥方がとうとう昇天しかけ、“せいし”の境目にまで達したという。これではさすがに身がもたないと奥方が文句を口にした。
すると旦那はこうこたえた。
「文句ならうちの”むすこ“に言ってくれ」
一瞬、頭をかかえた奥方が、やおらむくりと姿勢をただし、サイドテーブルにしまってあったデザートナイフを取り出すとこう言った。
「ええ、そうさせてもらうわ。でも、うちの放蕩“むすこ”はワガママに育てたせいか、”お口でイっても“ぜんぜんきかない子だから、たった今、“勘当”することにしたわ」
さすがにぎょっとなって我に返った旦那。
奥方に向きなおり「すまなかった」と頭をさげると、それより早くくだんの“ホウトウむすこ”がすっかり“頭をさげていた“とさ。
おあとがよろしいようで。
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。