まに

【風雲ガチンコ文章指南録!?】『真に受ける力』22~『正真正銘これで最後だ! うたがわきしみのアポカリプス・ドリヴン発動!! の巻~

西山さんの大○芸大試験前日。
西山さんを送り出す最後の導き書。

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2007/11/1, Thu 15:46

西山さん

きしみです。
お話を書く仕事で、ちょっと詰まったので
その時間に最後の駄目押し解説しときますね(。・ω・)_

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①“絵の世界の中にいる”西山さんの気持ちも、
②“絵を見て感じている”西山さんの気持ちも、
そのまま書いてはいけません。

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と申し上げたのを覚えてますでしょうか?

そこがややこしい部分なのに、
説明たりてなかったので、
捕捉しておきます。

その前にもう一度、イメージテストの問題文を確認します。

「音楽を聴いて、そのイメージを300字程度の作文にしなさい
。音楽の分析ではなく、曲から受ける感じを自由な自分の感性で
、文学的な、また劇的な、作文にして下さい。」

ですね。

そして、出題のねらいは、


「舞台音響効果を専攻する上で必要な
対象となる物の存在を知る思考と
認識の適正と心に感じる感性を試す。
音楽のイメージを単なる情景描写に終始せず、
独自の感性で表現する能力。」

でしたね。

評価のポイントは、
「イメージテストは、音楽をいかに聴けるか、
その感受性の豊かさを作文において
いかに表現できたかを評価する」

ということ。

うん。ではいきましょう。


私が
---
①“絵の世界の中にいる”西山さんの気持ちも、
②“絵を見て感じている”西山さんの気持ちも、
そのまま書いてはいけません。

---
といってるのは、心理描写部分において
掘り下げて書く対象を間違えないで
書いてほしいからです。

※①“絵の世界の中にいる”西山さんの気持ちは、
情景描写部分ならOKだと思います。


たとえば、壮大なスケールの曲が流れて、
百獣の王、ライオンのイメージが浮かんだとします。

---
【情景描写】
広大な草原に、凛々しいたてがみを風になびかせて立つ
百獣の王ライオン。金色の輝く瞳。太い手足。
恐ろしい牙と爪。野生の王国を支配する王者に
ふさわしい威風堂々たるたたずまいだ。

【心理描写】
私なら威嚇されるだけで、身が縮み上がるだろう。
私はライオンがとても恐ろしい。
もし襲われたらと思うと、口から心臓が
飛び出しそうなほど恐い。
百獣の王の存在感はこれほどまでにすごいのか。
いや、恐いだけじゃない。やはり畏敬の念も
感じてしまう。獣としては向こうの方が強者だからだろうか。
毛穴がキュっとしまるように心も萎縮して固まってしまった。
---

さて、これのどこがおかしいか
わかりますでしょうか?
※あ、時間軸がないのは仮の例だからです(汗

イメージテキストでは、
「対象となる物の存在を知る思考と
認識の適正と心に感じる感性を」試されており、
「音楽をいかに聴けるか、その感受性の豊かさ」を
作文で表現しなくてはいけないはずなんですが、
(感受性は悪くないにしても)、
肝心の“対象”を間違って書いちゃってるのが
アウトなんですよね。

【心理描写】をみてください。
自分がイメージしたライオンを対象にして
掘り下げちゃってるんですよ(゜∀゜;)
ライオンが恐いのは別の話のはずです。

前のメールでも書きましたが、
その絵を浮かばせてしまった曲そのものが、
自分の感情をどんな風に揺り動かしたのか、
「曲から受ける感じ」を第三者にもわかるように、
掘り下げて、豊かに表現すべきなんです。
分析するようにじゃなく。

雄大な姿のライオンを思い浮かばせた曲について
書けばいいわけですから、たとえば
同じ情景が浮かんだとして――

----
【情景描写】
広大な草原に、凛々しいたてがみを風になびかせて立つ
百獣の王ライオン。金色の輝く瞳。太い手足。
恐ろしい牙と爪。野生の王国を支配する王者に
ふさわしい威風堂々たるたたずまいだ。
※「私なら威嚇されるだけで、身が縮み上がるだろう」は
情景描写の一部としてなら書いても大丈夫。
ただし、文字数的な判断でカットする場合もあるでしょう。

【心理描写】
壮大なスケール感に圧倒されると同時に、
まるで自分がこの世界の王者にでもなったような気分になる。
みなぎる自信と無尽蔵の力が胸の奥から
こんこんと湧き上がってくる感じがする。
どんな者でも従えられそうな、
まるで感じたことのない全能感が体中を駆け巡ってゆく。
その反面、その自分の中にあふれた力を制御できなければ、
押しつぶされてしまうかも! というような恐怖も感じた。
---

という感じなら、いいのではないかと。

浮かんだ恐いライオンについて
ピーチクパーチク掘り下げていって
そのリアクション感情を書いっても仕方ないんですよね。

それを浮かばせた曲が、果たして
どんな風に自分の心を動かしたのか?
それを深く問い詰めて、たぐりよせて
劇的な作文にしなきゃいけないんですよね。

ベクトルの違いが分かりますでしょうか?
ここに気をつけないと、
どんなに豊かな表現をしても駄目ですのでね(汗

そして、分析口調にしないこと。

たとえば最後の方の心理描写部分――
---
その反面、その自分の中にあふれた力を制御できなければ、
押しつぶされてしまうかも! というような恐怖も感じた。
---

---
溢れるほどの力が満ちてゆくような曲だが
無限大の力は、必ずしも制御可能ではない。
だからこの曲には、圧倒的な力の噴出とともに、
その力に押し潰される可能性という恐怖も、
内包されているのかもしれない。
---

と書いては駄目なんです。
それはひょっとすると、その曲の核だったかもしれませんが、
書くべきことは、いかに自分の気持ちが動いたかなので、
分析する必要はないのです。

いや、この間、テストの問題文、
確認してよかったですね。ほんと、ついてる!
全然、ベクトルの違うことを教えてしまうところでした(汗

さて、これまで色々と言ってきましたが、
制限がたくさんあるなぁ、と難しく考えないくださいね。
むしろ、何をどう書くべきか分かる方向性のヒントが
たくさんあるなぁと喜んでください。

①時間軸にそってイメージを書き、
そのイメージを浮かばせた曲が
自分の感情をどう動かしたのかを心理描写する。
つまり、「音楽の流れにそって、楽曲の変化を
あなたの心の中でどう“とらえるか”を文章にしていく」

②分析にはせず、劇的、または文学的に
豊かな表現を目指し、第三者に伝わるような作文にする。

③300文字前後でまとめる。

④情景描写は、その場にいる語り部(自分)の視点のみで
語るようにして、読者の混乱をさける。

⑤情景描写の説明は過不足無いように。
臨場感も大事だが、文字数が多いようなら洗練、要約し、
そのあとの心理描写に説得力がでる程度にまとめる。
つまり、そのシーンが第三者の脳裏に浮かびさえするなら、
どれだけ削ってもいい。

こんなところでしょうか。
ルールは、どう書くべきかのヒントとなってくれるので、
堅苦しく考えずに、頼りになる道しるべとして
活用してください。

ではでは。

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西山さんからの返信はないが、
とにかく最後のエールで送り出す。

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2007/11/2, Fri 01:55

西山さん

夜分おそくに失礼します!(汗
明日、っていうか、もう今日ですけど、
試験頑張ってくださいね。
緊張するだろうけど、のびのびと
自分を表現することを楽しんできてください。

私にはもうこれ以上できることはありません。
でも、やれるだけのことはやったと思うので
私自身に悔いはありません。

西山さんもこれまで頑張ってきたんですから
萎縮せずに、ベストを尽くしてきてくださいな。
それ以上のことはもうないです。

お陰さまで、ずいぶんいい経験をさせてもらいました。
ありがとうございます。
ではでは。おやすみなさい。

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そして夜があけて。

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2007/11/2, Fri 05:33

きしみさん

おはようございます!!

西山です。
毎日毎日ありがとうございました。

緊張するだろうけど(とくに面接が;;)

自分を出せるようにがんばりたいとおもいます!

では、行ってきます~p(`U´)q


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次回、いよいよ試験結果が!?

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。