マガジンのカバー画像

うたがわきしみの宇宙Ⅱ

890
140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

錆びたナイフのような目をして 黒い空を“夜”と名付けたその日 僕は全てを赦すことで いっそ罪を永遠に仕立てた 強欲な贖罪 嘆きの供物 血で血を洗うアンビバレンツな ダブルミーニング 量子的フィクションが ノンフィクションを跨ぐ悲哀 魂の住処がエゴだなんて 神様は祈りを知らない

永遠とは等速運動の延長ではない 其れを知ることから 本当の人生が始まる

愛ちゃん 愛ちゃんの骨から お花が咲いたよ 愛ちゃんのお花は白いよ 冷蔵庫の目玉にも 見せてあげなきゃ 愛ちゃん 愛ちゃんのスカートは 赤いままだよ 愛ちゃんの匂いがするよ お風呂場で遊んだこと 忘れられないな 泣き虫な愛ちゃん これで安心だね もうずっと 壊れなくていいんだ

一冊一冊出すたび 一度死んでるようなものなんです もっと言えば一言一言紡ぐたび 僕らは生き、そして死にます 呼吸は一番小さな生死 だからここに描かれた文字は全て 詩人のダイイングメッセージと言っていい 当然誰の目にも触れられぬまま放置される可能性だってある その時僕らは二度死ぬ

鬼の果ての 駆け降りたる山城の 夕日はとうに暮れ 獣の如く波打つ背に 蓬髪踊りしが 今は静まりぬ 黒く汚れたるつめ先の 赤児のぬくさ 名残り惜しむ間もなく いのち虚しく散りゆき その白く濁りし眼孔 なんぴとも映さず ただひたすらに濡れそぼる頬 拭わぬままざんぶと 滝壺の雫となりぬ

月にひとりぼっち ポケットには金木犀 ただ静かに けして回ってはこない順番を待つ 時には荒れた岩肌で 優しい音を探す 影は光にはなれないけれど きっと誰かの傍を離れずにいる 星に咲いたわけを叫んでも ひび割れたクレーターが増えるだけ だから今日も 届かない声でいよう

身も心もピッカピカの宝石のように磨き上げ 最後は赤子の如き純粋結露となって ポチョン!と宇宙へ還っていく 還った瞬間、産まれ直す為に それが「本当」を生き切った人間の死というもの されば本来死はけして恐れるものではない だが多くはその真実を辿ることは叶わない 〝人間未満〟ゆえに

『産声』

「人生は筋書きのないドラマである」と言いますが、正確に言うとちょっと違います なんというか、それだと正直、見応えを担保できる保証が無さすぎるので、こちら側で一人ひとりオリジナルの宿命を用意して遺伝子に書き込ませて頂きました ある程度の浮き沈みはそれで確保できるはずですので、後はもう全編、皆さんのアドリブでw あ、最初のステージは当然お産まれになった場所ですが、各々その後の展開次第でご自由に移動してもらって構いません ちなみに観客は、あなた以外の人類全員―― もしくは地

深い溜め息みたいな一筆書きを 探している時点で 僕らが孤独であることは 恐らく正しい 叫ばなければいけない時に 叫べなかった日々 取り戻そうともがいてる悲鳴たちが 詩(うた)になっていく 頼まれもせず傷痕を踏みしめるように辿り 自分を見つけ直しては割れた鏡を抱きしめる 詩人