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蘇民将来 夏超え飯

たまにはダジャレではなく、真面目に由来を妄想しながら料理していると、妄想が更に膨らんでいった記録。


材料

ゴーヤ  半分
桜海老  1パック
パプリカ 半分
玉葱   半分
米粉   100グラム
片栗粉  25グラム
塩    一つまみ
重曹   小匙半分
大根   3センチ
生姜   1欠け
出汁つゆ カップ1/2 (二倍濃縮)
醤油   大匙2
味醂   大匙2

今回の話は、以前に書いたスサノオノミコトの続きとなります。↓

旅をしていたスサノオノミコト、一夜の宿を求めます。裕福な弟の巨担将来はその求めを断ります。スサノオは次に貧乏な兄、蘇民将来の家を訪れて、宿を求める。
蘇民将来は菜飯を炊いて、貧しいながらも精一杯のおもてなし。
それに感動したスサノオは
「茅で作った輪を身に付ければ、疫病から逃れることが出来る。又、そなたやその子孫には疫病が襲い掛からないようにしよう」
と感謝の言葉を残して去る。


ゴーヤを半分にして、わたと種を掬い取る。

以来、多くの家の門前には「蘇民将来之子孫也」と書いたお札を貼る習慣。
中世の北条家の館跡からも、そうした文言を書いた木札が発見された。
また、彼方此方の神社で藁や茅で作った輪を順序通りに潜り、無病息災を願う茅の輪潜りが行われています。
これはスサノオの言葉から派生した習慣。
又、茅の輪のように丸い食材を雑穀ご飯に乗せた物を夏超しご飯として食べる習慣。
ただ、この習慣ですが、何を乗せるのかが非常に曖昧。というか最近になって広まった習慣かと思われる。丸く盛った雑穀飯にカレーを掛けたり、丸い掻き揚げを乗せたり等々。


細く切った野菜と桜海老に米粉、片栗粉、塩、重曹を混ぜる、

ということで、私は掻き揚げを乗せることにしました。雑穀ご飯はどかた家では普通に食べている。

スサノオと蘇民将来の話は「備前風土記」に出てくる。
似たような民間伝承もあり、中にはスサノオではなく牛頭天王という場合もある。しかしスサノオと牛頭天王は同一視されているので、同じ話と見做していいかと思われる。


水を少しづつ加えて、いい感じの衣に仕立てる。

牛頭天皇とかスサノオノミコトをご祭神としているのは祇園社。そうした神社の中には、スサノオが旅をしていたのは妻問いのためだったと説明版に書かれているケースがあった。
スサノオの妻と言えば、クシナダヒメ。ということから私の妄想では、高天原を追放されて出雲へ来たスサノオがクシナダヒメと出会うまでに、蘇民将来との逸話があったのだということにする。
神話に詳しい人からすれば、それは違うという人がいるかもしれませんが、あくまでも妄想ですから。


出来るだけ丸くなるように揚げていく。

蘇民将来の家を出てから、更に歩くスサノオ、泣いている夫婦と娘に出会う。
どうしたのかと問うと、テナヅチとアシナヅチの夫婦には八人の娘がいたが、近くに住む八岐大蛇に生贄として娘達を次々に差し出してしまい、残っているのはクシナダヒメ一人だという。
いよいよ最後の娘まで大蛇に食われてしまうかと思うと、悲しくて親子そろって泣いていたということ。
「八岐大蛇とは如何なる者か」
「八つの頭に八つの尾。目は真っ赤。体にはコケやヒノキ、杉が生えて、八つの谷と丘に跨る巨大さで、腹はいつも血でただれている」
想像するのも難しい程、恐ろし気な姿。


出汁つゆ、醤油、味醂を混ぜて沸騰させてアルコールを飛ばす。

暫く考えたスサノオ、
「クシナダヒメを儂にくれるならば、退治しよう」
これが妻問いということだったのではないか。
スサノオはまず、クシナダヒメを櫛に変化させて、自分の髪に差す。
「八回醸造した強い酒を造り、八つの垣根と門を作り、八つの門中に棚を置き、その上に酒を入れた瓶を置け」
テナヅチとアシナヅチはスサノオが命じた通りに用意。
準備を整えて、大蛇が現れるのを待つ。


揚がったら油を切る。

やがて最後の生贄となるクシナダヒメを求めて現れた大蛇、強い酒の匂いに誘われて、八つの首は瓶に頭を突っ込んで飲み始める。
やがて酔いが回った大蛇は地を轟かす鼾と共に眠り込む。
それを見て、スサノオは剣を抜いて斬り付ける。
その尾を斬った時、そこから輝く剣が出現。それこそが天叢雲剣。現代にまで伝わる三種の神器の一つ、別名が草薙剣。
こうして八岐大蛇を退治。スサノオはクシナダヒメと結婚。


天つゆに大根おろしと摺り下ろした生姜を加える。

「八雲立つ、出雲八重垣、妻籠みに八重垣作る。その八重垣を」
クシナダヒメと暮らす新居を見て、スサノオはそう詠む。これが日本最初の和歌。
因みに天叢雲剣は高天原に献上。追放されたというのに、この期に及んで義理立て?後に剣は天孫降臨と共に地上にもたらされることになる。


蘇民将来 夏超え飯

雑穀ご飯の上に夏野菜の掻き揚げを乗せて、天つゆをたっぷりとかける。
米粉の衣はサクサクで、残った分を翌朝に食べたが、時間が経っても小麦粉の衣のようにシナシナにはならない。片栗粉を混ぜたので。具材がしっかりと接着してばらけない。重曹で膨らむ。
大根おろしと生姜で天つゆがさっぱりとした風味になる。パプリカの赤、ゴーヤの緑が色鮮やか。少し混ぜた塩が野菜の旨味を引き出す。目も舌も楽しめる。桜海老の味も忘れるなとばかりに主張。

八岐大蛇とは剣が出て来たことから、製鉄をしていた集団の暗喩ではないかという説を聞いたことがあります。そうした集団と出雲族の戦いを神話に仮託した?
というより、私は違うことを妄想する。
大蛇、つまり爬虫類ということはレプタリアン?
古来、人間、特に子供を生贄として捧げ、宇宙人の英知を分け与えてもらっていたという話があります。その比喩かもしれない。
スサノオはそれに立ち向かった勇者?或いはそういう英雄が現れて欲しいという願望が投影されている?
そんなことを妄想しながら、蘇民将来 夏超え飯をご馳走様でした。

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