映画感想:素晴らしき世界

役所広司さん主演の「素晴らしき世界」を観た感想です。
※ネタバレ注意の内容となります。

あらすじ

殺人を犯した物語の主人公である三上が、13年の刑期を終え刑務所を出所するところから物語は始まります。様々な人との出会いの中で、三上の怒りや葛藤が描かれていきます。

感想

役所広司さんの演技力が高く、作品に引きずり込まれました。
作品の中で三上は怒りをコントロールできず、ことあるごとにトラブルを起こします。三上の怒りに共感できる場面も多々あるのですが、問題はその解決の仕方です。暴力で相手をねじ伏せようとします。仕方なしに暴力をふるうというよりも、三上自身が暴力を望んでいるように見えました。
例えば中年男性が若いチンピラ2人に絡まれるシーンがあるのですが、三上は中年男性を助けた後にチンピラ2人を容赦なく叩きのめします。工夫すれば警察に電話したり、周囲に助けを求めるなど暴力以外のやり方はいくらでもあったと思います。
物語の最後の方で三上は介護施設に就職するのですが、そこでも怒りがこみ上げてくる場面に遭遇します。三上は何とか怒りをこらえてその場面をやり過ごすのですが、その後の結末が言葉になりません。何とかその怒りを別の人に相談することができなかったのかと思います。
ただ、三上はこれまで暴力と隣り合わせで生きてきた人間のため難しかったのかもしれません。
作品のとらえ方は人それぞれだと思いますが、自分はこの作品から我慢することの大切さと、暴力に暴力で立ち向かってはいけないことを改めて感じさせられました。


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