見出し画像

映画感想:セッション

マイルズ・テラーさん(主人公)、J・K・シモンズさん(教師&指揮者)が出ている「セッション」を観た感想です。
※ネタバレ注意の内容となります。

あらすじ

名門音楽学校でジャズ・ドラマーを目指す日々を主人公は送っています。
なかなか思うように行かない状況で有名バンドに入らないか教師から声が掛かります。「自分は声を掛けてもらえる才能があるんだ!」と言わんばかりの表情をする主人公ですが、そこから地獄とも言える日々が始まっていきます。

概要

とにかく教師が恐ろしいです。
自分の理想とする演奏に少しでもズレがあれば、原因となる演奏をしたバンドメンバー(生徒)を肉体的にも精神的にも追い詰めていきます。
実はジャズに対する情熱が強すぎるだけで根は優しい…なんてことはありませんでした。まさに狂気の指導者です。
少しでも気に入らないことをされたらハラスメントだと騒ぎ出す近年の日本社会では一発アウトだと思います。

ただ、それでも主人公は必死に教師を認めさせる演奏をしようとドラムに魂を売って行きます。憧れていてやっと付き合えた彼女を裏切っても、仲間割れをさせられても、手の豆が潰れて出血しても、車にひかれて流血しても一心不乱にドラムを叩こうとします。

しかし大事な演奏会で主人公はドラムのスティックを落とします。
車にひかれた直後の演奏会なのでまともにスティックが握れないのは当然です。そして教師に「お前は終わりだ」と宣告を受けます。
そのあと主人公は大学を去ります。教師も主人公にハラスメントを告発されて大学を去ります。

そして年月が流れ、ジャズバーで主人公と教師は再会します。
教師は主人公にジャズ音楽に対する心境を話し、「自分が今活動しているバンドに入らないか?」と主人公を誘います。
そして物語の最後の演奏会。主人公は教師の罠にはめられてしまいます。
他のバンドメンバーには知らされていて、主人公には知らされていない曲が始まってしまうのです。もちろん主人公はその曲のドラムを叩けません。
演奏会にはプロのスカウトマンも来ており、ドラムが叩けないなんて失態を犯してしまえばプロデビューの夢も絶たれます。曲の演奏が終わると教師は主人公に言い放ちます。
「あのときハラスメントの告発をしたのはお前だな?」
このシーンには思わずゾッとしました。教師はずっと主人公に対する復讐を考えていたのです。他人の心なんかどうでもいい。自分の求める音楽さえできればいい。その音楽を邪魔するものは敵だ。そんなイメージがこの一言で伝わってきました。

そして主人公はステージを去ろうとします。このまま物語は終わってしまうのかと思った瞬間、主人公はステージに引き返します。そしていきなり学生時代に苦戦していた曲を叩き始めます。ドラムだけの演奏に関わらず、他のバンドメンバーも次第に主人公に合わせるように演奏を始めていきます。
教師は何度も主人公に演奏を止めるようになんども呼びかけますが、主人公は止まりません。そして教師が主人公をたぶん認めた?というシーンで物語は幕を閉じます。

感想

精神疾患がある方は観ないほうがよい作品だと思います。
教師の指導はやり過ぎだと思います。ただ、こういったより良いものを創り上げるための熱意は必要だとも思いました。
この熱意が100%ハラスメントである。という考え方の社会に向かうにつれて、個人的な意見として人類は衰退していく道にどんどん進んで行くと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?