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新しい場所で新しい人に出会う|LivingAnywhere Comonnsの拠点、伊豆下田でのできごと

初めて降り立った駅で迎えてくれたのは、周囲に地元の人らしき人がいない観光地特有の雰囲気だった。それでいてどこかから「いらっしゃい」の声が聞こえてきそうなあたたかみを感じる、不思議な場所だな、そんなことを思っていた。

観光地に来たけど観光に来たわけではなかった

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初めてこの地に来たのは、LivingAnyuwhere Commons(以下、LAC)とランサーズが共同で実施した「トラベルライター合宿」に講師として参加したからだ。

この夏、LACでは日本全国に拠点を多く増やしている。その拠点の魅力をより多くの人に伝えるために、全国各地の拠点を回っていたのがわたしたちトラベルライター。
各々1つから3つの拠点を回りながら、イベントに参加したり、インタビュー記事を執筆したり、写真や文章を通して各拠点の持つ魅力を紡いできた。

そんなトラベルライターとして活動してきた経験を、旅をしながら仕事をしたり、旅を仕事にしたいと思っている参加者のみなさんにシェアしながら、私たちが宿泊したLACに興味を持ってもらうことが今回の合宿の目的だった。

DIYで作られた温かみのある拠点

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今回のイベントの会場となっていたのは、LACの伊豆下田拠点。

この場所はもともと船舶会社の社員寮ということもあり、ほかのLAC拠点と大きく違い個室が多く設定されている。一人でゆっくり滞在したい人や、人との出会いはほしけれども、自分の時間は欲しいという人にはおすすめの拠点でもある。

拠点に入って一番最初に驚いたのは、外観と内装のギャップだった。
外観は昔の建物そのままに、趣のある雰囲気をのこしているのだけれど、内装はDIYされ、まるでカフェのようなおしゃれでスタイリッシュな内装になっていた。

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さらに話を聞いていると、どうもこういった空間や、建物の要所要所で観られるかわいいイラストは、滞在者がDIYして作ったということ。ただ受動的に宿泊するだけでなく、1つの拠点を作り上げる一人としてこの場所に参加できる。滞在した人の中でこの場所に愛着が生まれ、また帰ってきたくなる素敵な取り組みだなと感じた。

そして何より、市販の家具を購入するよりも温かみがある。
使い勝手や丈夫さでいうと、市販の物よりも劣ってしまうのかもしれないけれど、使っている側も不思議と愛着がわいてくる。
きれいにつくられた建物は、それはそれで過ごしやすく快適な滞在期間を過ごせるののだけれど、人の手が加わったことでうまれた伊豆下田の拠点ならではの温かみは、この場所に来なければ感じることができなかった。

出会いを通してこの場所を好きになる

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LACの魅力の一つに、拠点ごとの特色が大きく違うことがある。
わたしがこれまでに訪れた、美馬、津山、田川、そして伊豆下田は、どこも大きく雰囲気や滞在者のカラーが違っていた。

今回イベントの会場となっていた伊豆下田は、滞在者感の距離が近いこと、そして元から滞在している人たちのコミュニティーが形成されているにも関わらず、新しい滞在者を積極的にそのコミュニティーに迎え入れてくれる。
大人になってから忘れていた、一人で公園に遊びに行っても、自然と知らない誰かと友達になれていた、懐かしいあの頃を思い出した。

これまでにもゲストハウスやシェアハウスに滞在したことがあり、人が入れ替わるこの場所でうまくほかのひとと関わっていくことは大切だということは知っている。
けれども「関係性を上手に駆逐する」という最低限の目的ではない、それ以上の「きちんとこの人とかかわっていきたい」という想いを持っている人が多いように感じた。

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ここには「しもズブ」という言葉があるらしい。
「下田」に「ズブズブ」にはまった人という意味だそうだが、確かに初めてでも居心地がよく、昔からの仲間のように迎えてくれるこの場所は、帰りたくなくなるし、仮にほかの拠点に移ってもまた帰ってきたくなる気がしている。

新しく友達になった人と帰り際に交わす当たり障りのない言葉だったはずの「またね」という言葉が、この場所ではえらく現実味を帯びている。

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大きく息を吸い込むと汐の香りが漂ってくる伊豆下田。
山と海に囲まれたこの場所には、あたたかな居場所がありました。

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