スラヴォイ・ジジェクの「パンデミック、プロテスト、パニック」について

哲学者ジジェク.。司会は政治学者ブルジャ。英語で語る二人のスロヴェニア人。パンデミックとプロテスト。 Black Lives Matter, Malcom X、チト大統領の後のユーゴスラヴィア、パンデミックの時代の後の恋と人間関係。途中で私が一緒に仕事をしたユーゴスラヴィアの音楽家が私に語ったことを間に入れます。長いです。聞きながら簡単に翻訳しました。「」の中に入っていない文章は私自信の解釈と解説で、この対話にはないものです。私のように有色人種として育っている人には重要な内容を語っています。長い文章が多くなったので、今後にトークと最近の文章をまとめたウェッブページを立ち上げようと思っています。
26:10
「1990年に私たちの国、スロヴェニアの大統領選挙に出て、36%の票を取りましたね。」
「チト大統領が亡くなった後は、チトの代わりが出来る人が誰もいなかった。だから、一人の大統領ではなく、大統領の役目をする共同体を作ったのです。私はその5人の共同体の一人だった。自由民主党だったために、未だに私の左翼系の友人たちは怒っているのです。しかし、ユーゴスラヴィアが分裂した時、ナショナリストの党が出て来る危険性があった。クロアチアのように右翼系になるかもしれなかったし、セルビアのように左翼系の愛国主義の党に支配されるかもしれなかった。私たちはその危険性から、自分たちを守ることが出来たのです。多元論的なデモクラシーやオルタナティヴな文化が生存するためには必要だったのです。だから今でもナショナリスト党が現れても30%以上の投票が取れないのです。その1980年代後半では社会理論の哲学に多くの人が興味を持っていた。私の本も一般的にも売れ出していた。知的な哲学のムーヴメントがあった。
1983年以後、ユーゴスラヴィアの共産党の人たちも、もはや彼らの時代は終わりだと気が付いていた。1985年以後にユーゴスラヴィア共産党の大批判を書いても刑務所に入れられない持代になった。友人にはわざと大批判を出版して、捕まるのを待つ人さえもいた。誰も来ないから共産党に行って同じ事を言ってみた。しかし、「来て頂いてどうもありがとうございます」、しか言われなかった。」
ジジェクの最近の本の文章では、最後の前の時代では、人々がユユーゴスラヴィア共産党のオフィシャルの理論に対してシニカルになっていたと書く。皮肉にも一番捕まって刑務所に入れられるのは民主主義を唱える人ではなく、「私はコミュニストだが、党は今後このようにするべきだ」とマルクス主義の側から問題を語る人々だった。もしも、「私は共産主義に反対です」と言ったとしても捕まらなかった。党のやっていることに口を出したら捕まった。
こうした時代で、ユーゴスラヴィア連邦共和国で捕まったミュージシャンを知っていた。その人は、チト大統領にも守られていたシンガーだったが、ある時ラジオの生放送で共産党が発表した決まりごとのパロディーに聞こえることを言ってしまった。それまでドイツなどのの西側の国にもよく演奏しに行っていいて、民主主義的な発言もある程度良さそうに見えていた。しかし、党の決めたことのパロディーだけは許されなかった。音楽生活は全て停止されて、再教育のために地方の事務所に勤めるように送られた。その時、多くの人々はすでに表面的にしか共産党の言うことを聞いていないと気が付いた。みんな自分のことか、自分達のナショナリティー(民族)に権力を与えることしか考えていなかった。(ユーゴスラヴィアは南スラヴ人達の連邦共和国である。一つの民族国家ではない。)この仕事をやった結果、ユーゴスラヴィア連邦共和国はもはや崩れて来ているのが見えて来た。
ジジェクは現在の中国共産党にこのようなシニカルな程度が見えて来ていると書いている。マルクスを研究する方が危険な目に合う。党は世界で最もアグレシブなタイプの資本主義者の集まっている党になっている。
スラヴォイ・ジジェクは今後の時代のための哲学思想を考えている一人。彼は言う:I am NOT a socialist. I am a communist, but I'm not talking about 20th century communism. That was a complete and utter failure. I am talking about how to solve problems concerning the commons such as environmental problems. People like Bill Gates, Elon Musk, and Mark Zuckerberg talk about how capitalism cannot survive the way it functions now. I am using the word "Communism" just to provoke you. 彼はコミュニズムという言葉は挑発するために使っているが、20世紀のコミュニズムのことを語っているのではなく、みんなの共通している問題(コモンズの問題)を解決する方法を考えるために使っている。ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグは資本主義は、今の状態で残らないだろうと語っている。(彼らは現在世界で最もお金を持っている人たちの中に入るで、権力をある程度動かせられる立場も少し持っている。)
私自身だったら、コミュニズムという言葉を、彼が言っていることには使わない。なぜならば20世紀の共産主義と勘違いしやすいからだ。新しい社会のための新しい言葉を見つけたい。ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグもそれぞれ一人一人世界の未来社会に対してヴィジョンを持っている。物理学者のミチオ・カクは、それをスター・トレックの時代と彼の本で名づけている。
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「ニュージャジーのニューオークの黒人の市長Ras Barakaラス・バラカは次のように語っている。「鉄砲を使って闘っても何もならない。本を使わないといけない。政治的なプログラムとして表現しないといけない。
暴力は、フロイド的に言うと、言葉を使えないから爆発する行動だ。アンチ・インテリの人たちは、インテリはただ話すばかりで行動に移さないと批判するが、言葉で表現できていないのに行動に移すのは間違っている。
マルクス主義者にとっては政治体制に反対するのがファッションだ。私たちは全体主義国家を必要としない。
むしろ信頼できて、ちゃんと機能する国家が良い。
ポピュリズム(人民主義)は闘争や反抗心に神秘化を与えて集団団結するには都合よいものだ。これはナチスにとっても、毛沢東の文化大革命でも同じだ。
20世紀では、考える前に早く世の中を変えようと急ぎすぎたのかもしれない。
これからはちゃんと世界を理解して行こう。
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今回のパンデミックが役に立つ一つのことはパッションが戻ってくることかもしれない。もう数年前からセックスはデジタル化されていた。私たちの世代は15歳の時ではすでに性体験をしていたが、最近ではネットで性欲を済ましてしまうか一夜だけの情事が多い。
(人と関係を持つためには時間と犠牲が必要となる。お互いに対してお互いが責任を持ってしまう。自分が好きなことをしたいのだったら一人の方ができるだろう。さらに感染するかもしれないという恐れがさらに出てきた時代では、本当の気持ちが必要となってくる。)恋をすることが必要となってくる。ふれあいの意味を考え直す機会になるかもしれない。」
タルコフスキの言葉で、「服を着ていない身体よりも心無き身体の方がより罪だ」。
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「Black Lives Matterのある活動家がテレビでヒラリー・クリントンのようにマルチカルチャーを唱えるリベラルの方が直接的に人種主義を唱えるKu Klux Klan(白人至上主義の団体。南北戦争以後に有色人種をリンチしたり、拷問したり、場合によっては殺人をしてきた)よりも危険な場合があると言っていた。それは表面的には、マルチカルチャーは「多文化とはひとつのなかにいろいろミックスされたもののこと」と書かれているように見えるかもしれませんが、実際の社会では差別を作る政策になります。そのソフトなあいまいな言い方がポリシーとなると人種主義を広めます。
今、アメリカは国内戦争のようになって来ている。皮肉にもトランプが白人労働者を代表していて、サンダースがエリートを代表している。これはアンチ・インテリの運動の結果です。(僕は、これは労働者階級が消えて行く階級だから保守派になっているだと思います。農業より工場の労働者が必要になった時も、農業をやっている人は保守派だと書かれています。マルクスは19世紀でそのように指摘をして、スターリンは農業をやっている人たちをクラーク(Kulak)と名付けて保守派の反革命家にしました。)」
41:00
「しかし、アメリカだけではなく、中国も経済が落ちて来ていますね。」
「アフリカでは、昔のヨーロッパの帝国主義者よりも中華人民共和国の方がどヒドイと声をあげて言っている人々が増えている。中国共産党が入り込むと、まず労働組合を禁じて、労働者の権利も社会保障制度も取り上げてしまう。中国人には、こうした政府から一刻も早く解放できるように望みたい。中華人民共和国の新植民地主義をもっと世界は取り上げるべきだ。西欧の帝国主義より残忍だという評判が広がっている。
中国でにもアサンジのような政治の影で行っていることをみんなにばらしてしまう人が必要だが、中国だったらその人の親戚も何世代も収容所行きになるだろうか?」
「私は管理される社会が嫌だとは言っていない。私は管理されるのであれば、どのように紺トールされるか、そして何の目的でということが知りたいと思っている。中身が明白に見えるタイプの管理がいい。」
「Politically Correct(政治的に正しい)」という考え方が嫌いだ。私の理想的な社会(ユートピア)ではどんなダーティーなジョークでも言えるが、それが人種主義的な差別につながらないのが理想だ。自分の有色人種の本当の友人とはそうできる。他の人と同じように何でも言える。いつも、ジジェクは人種主義的だと批判を書くのは常にリベラルな白人だ。アメリカのインディアンの友達はインディアン保護区にやって来て”正しく振舞って、”、自然に近い生活をしていて素晴らしいですねという白人が最低に嫌いだと言う。それじゃー、俺のボロボロの家とあまえのLAのマンションを交換してくれるか、と言い返すと言う。彼は白人のリベラルがどんなに偽善者,でねこかぶりでへりくだっているかが見え透いている。こういうのが本当の人種主義だ。」
マイノリティー達(少数民族。Ayuoもアメリカではアジア系アメリカ人になる)はみんな分かっている。本当の人種主義はリスペクトやアイデンティティーポリティクスの影に隠されている。」
51:00
ここから南アフリカのアペルトヘイト政策ががマルチカルチャー「多文化主義ーひとつのなかにいろいろミックスされたもの」の言い訳で始まったことが語られる。紙状ではマルクス思想のように解放的に見えるが、実際は人種差別国家を作る。
また、Politically correct(政治的に正しい)」な人が黒人に泥棒されても、「彼は黒人だからしょうがない。環境が彼をそうさせしたのだ」と言ってしまう。これこそ人種主義だ。西欧に来たイスラム教の人が奥さんに暴力をふっても、彼らは中東の人だからしょうがないというは人種主義だ。彼らはまだ子供だ、私たちとは違うと言っている程度だ。
58:00
マルコムXの本に彼がある大学でレクチャーした後に白人の女性がやってきて、私も運動を手伝いたい、何をするべきかとたずねる。マルコムXは「Nothing」と答える。これは何もするなと言う意味ではなく、それぞれの人が自分のところで、出来ることをやって欲しいという意味だ。白人が「かわいそうな黒人」を手伝いに来る必要性がない。それを、あなたがやることではない。」
ここに自分の経験を言うと、アメリカの社会では学校でも東洋人はみんな「チンク」という差別用語でよく呼ばれてしまう。しかし、それよりも差別的なのは、正しい振りをしながら、人種主義的な行動が見え隠れする行動だ。たとえば、田舎のホテルに白人に見える義父と共に行くと、「空室あり」と書いてあるホテルが突然「空室なし」になるような時だ。表面上に正しそうに振舞って見せながら、実はその影に人種主義的な差別が見え隠れするときだ。これは日本にもよくある。日本語を「みんな」と同じように話さないと年齢と関係なく子ども扱いをする。そしてコミュニケーション遮断になる。これは良くあることだ。今でも毎年、数回は経験している。


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