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会社以外にも、自分の価値はある。新卒から勤続15年、彼女が外で貢献できることを見つけるまで

「今の会社以外でも私は通用する人間だろうか…?」

長く同じ会社に勤めている人ほど、このように考えたことが一度はあるのではないでしょうか?

今回インタビューしたのは、新卒で入社した食品メーカーに15年以上勤めているあずさん。かつては「今の会社以外では自分には価値がない…」と悩んでいた彼女は現在、本業に加えて、ライターやコミュニティマネージャー、広報アシスタントなど、多方面でご活躍されています。

実は筆者も新卒で入社した会社に7年以上勤めており、「今の会社がなくなったら、雇ってくれる場所はあるのだろうか?」と漠然とした不安があります。

そこで今回は、「会社以外で貢献できること」を見つけたあずさんに、自分の価値をどのように見出したのか、また社外活動を有意義なものにするための秘訣などを聞きました。

あず
新卒から食品メーカーに15年以上勤務。2022年よりライターとしての活動を開始。現在はライターだけでなく、広報アシスタント、コミュニティマネージャーやメンターなどとして多方面で活躍している。心が温まる文章の執筆や、場づくりをすることが得意。
X:https://x.com/azasmarketer
note:https://note.com/az_hinatabokko

「今勤めている会社がなくなったら、私は生きていけるのかな?」


ーーはじめに、あずさんが「会社以外では自分には価値がない」と感じたきっかけを教えてください。

あずさん:
2020年のコロナウイルスの流行によって、突然仕事を失う人や倒産する会社をニュースなどで知ったことですね。

「当たり前にあると思っていたものが、明日もあるとは限らない」と痛感すると同時に、「今勤めている会社がなくなったら、私は生きていけるのかな?」と考えるようになりました。

また、ちょうどそのころに社外研修を通して、社外の人と自分とのあいだに差を感じたことも大きいです。自分が得意なことや好きなことを堂々と話す姿を見て「外の世界にはすごい人がたくさんいる。私には何もできない…」って。

ーー世の中の状況も相まって、社外における自分の価値について考えるようになったんですね。

あずさん:
そうなんです。そこで、「会社以外でも自分には価値がある」と思える拠り所を求めて、社外活動を始めることにしました。

抱いた不安を少しでも打ち消したいと、ライティング、Webスキル、企画、旅、IT、人材・教育、金融系など、興味を持ったスクールやコミュニティなどにたくさん参加しましたね。

何気ない行動に感謝されて。社外で見つけた「自分が貢献できること」


ーーさまざまなスクールやコミュニティに参加されてきたなかで、もっとも印象に残っている出来事は何でしょうか?

あずさん:
キャリアスクール「SHElikes」でイベント運営に携わったことです。あるとき、受講生がイベント運営をサポートする人を募集していたので、思い切って立候補したんです。

あずさんが初めて携わったイベント

ーー運営メンバーに立候補することに不安はなかったのでしょうか?

あずさん:
うーん、私は不安を感じて行動できなくなるよりも、「やってみてダメだったら、そのときに考えればいいや!」と楽観的に考えるタイプで。「何かが始まってるな。楽しそうだから行ってみようかな!」という気持ちが大きかったです。

ーー不安よりも楽しみのほうが勝つんですね…! イベント運営ではどのようなことをされたのですか?

あずさん:
広報チームのメンバーとして、イベントの様子や私たち運営者の想いをSNSで発信していました。メンバーとは初対面だったのですが、自分なりにうまくコミュニケーションを取って、一緒にイベントを作り上げていきましたね。

このときに多くの人が、私が書いた文章を褒めてくださったり、メンバーとして活動したことに対して感謝してくださったんですよ。特に、チームメンバーとのコミュニケーションの取り方を褒めてくださる人が多くてびっくりしました。

そこで初めて、書くことやチームで活動することが私は得意なのかもしれない」と気がつきました。自分が社外でも貢献できることを見つけた瞬間です。

ーーまわりの人からの反応を受けて、自分の強みに気づいたんですね。

あずさん:
その後、さらに書くことやコミュニティ運営に携わりたいと思い、副業に挑戦していくことになります。

ありがたいことに、今ではさまざまなメディアで記事を執筆したり、オンラインコミュニティの運営に携わらせてもらったりしています。

“参加するだけ”では意味がない!社外活動を自分の糧にするには


ーーとはいえ、コミュニティやスクールをうまく活用できない人もいるかと思います。あずさんが社外活動で意識していることはありますか?

あずさん:
まずは、学んだことをアウトプットすることが大事だと思います。スクールに通っているのなら、課題に取り組むとか、学んだことや感想をXやnoteに書いて発信するとか。

あとは、スクールやコミュニティ内にいる自分と気が合いそうな人に声をかけて、一緒に頑張る仲間を見つけることも大切だと思います。私は仲良くなった人と「この日までに課題を出そう!」などと約束してお互いに頑張り合える環境をつくってきました。

ーー社外活動のなかで、モチベーションを維持するために大切にされていることはありますか?

あずさん:
大前提として、他人とは絶対に比較しないことですね。他人と比較していいことなんて1つもありません。

私は副業としてライティングの仕事をしていますが、専業ライターのほうが仕事を受けられる量も多いし、成長速度も絶対に早いと思うんですよ。
でも、その人たちと自分を比べても、モチベーションが下がってしまうだけ。だから、「これはできた!」「これは前よりも成長したな!」と自分ができたことに目を向けることを大切にしています。

ーー「自分ができたことに目を向ける」。とても素敵な考え方です!

あずさん:
優先順位を決めるのも大事です。社外活動をしていると、やりたいことや、やるべきことがたくさん出てくるけど、全部をこなすことは絶対にできないので、優先順位を決めざるを得なくなってきます

私の場合、副業は「今週はこの記事だけは絶対に書く!」などと、必ず「終わらせるもの」を決めるようにしていますね。

コミュニティに関しては、すべてのイベントに参加するのではなく、自分にとって今必要な学びだと感じたものに焦点を当てて、参加するかどうかを決めています。

撮影:水元琴美(こつ)さん

“日常”から一歩外に踏み出すことで人生はより楽しくなる


ーーちなみに、最近あずさんは転職活動を始めたそうですが…?

あずさん:
ある人に「仕事は推し活だよ」と言われたんですよ。

それで、「自分の時間やスキルを、本当に今の会社に使いたいか?」と自分に問いかけたところ、胸を張ってYESとは言えない自分がいたんです。

ーー15年以上勤められてきたなかで「会社に共感できない」と感じたのは初めてだったのでしょうか?

あずさん:
いえ、これまでも疑問や違和感を持つことはありましたが、「会社ってこんなもんだよね。しょうがないよね」と思って、何もせずに諦めていました。

でも、社外活動を通して、多くの人の働き方や価値観を知ったこの数年。仕事に対するマインドがアップデートされて、さまざまな選択肢が見えるようになったからこそ、転職活動を始めるに至ったのだと思います。

転職活動と言っても、いろいろな会社や、そこで働く人たちを見る旅をするイメージですね。旅の結果、また今の会社を選ぶかもしれませんし、新しく推せる会社を見つけるかもしれません。

ーー社外で活動されたことによって、新しい選択肢が見えてきたんですね。最後に「漠然とした不安は感じているけれど、なかなか行動ができない人」に向けてアドバイスをお願いします。

あずさん:
まずは、普段の生活では出会えない人に会ったり、行かない場所に行ったりしてみてください。何も大きなことをやる必要はなくて。ひとりで1泊どこかに旅行へ行くなどでも十分だと思います。

外の刺激に触れることで、自分が知らなかった考え方に出会えたり、自分はどういう人間なのかを客観視できたりします。

私は会社以外の環境に身を置いてみたことによって、価値観がアップデートされ、本業以外でも仕事をいただけるようになるなど、人生がプラスの方向に進んでいきました。

一つの場所にとどまっていると考えや価値観は偏ってしまいます。考えることも大切ですが、行動するほうが得られるものは多いと思うので、ぜひ少しでも外の世界に足を踏み入れてみてください!

***

私たちはつい「ちょっとくらい不満があっても、現状維持のほうが楽だ」と考えてしまいがちです。

でも、あずさんのように長く過ごしてきた環境から一歩外へ出てみると、新しいもの、ひいては新しい自分に出会えて、よりイキイキと毎日を楽しめるようになるかもしれません。私も勇気を出して、会社の外へもっと飛び出していきたいと思いました。

みなさんも今いる環境から一歩踏み出して、新しいものを探す旅に出てみませんか?

〈取材・文=あゆむ(@un_passo11)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)〉


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