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絶対に人前でしないこと

しゃっくり、口角炎、肌荒れ、おでこの上から頭頂部にかけての登山道のベタつき、自分の匂いの変化、相変わらず続いていて、生理現象で毎日忙しいです。

神様、わたしでストレス解消しすぎじゃないかな?

そして最近、そんな悩ましい生理現象に新たなメンバーが加わりました。
ご飯を食べるとおならが止まらない。大人気でポジションはセンターに決まりです。
なにを食べても出るんです。
もはや、腸が「遊ぼーよ!」と話しかけているようにしか思えない。
いやいや、消化に専念してくださいよ。

わたしは物心ついた時から、人前でおならが出来ません。家族の前ですらも一度もしたことがないのです。
恥ずかしい。うんこーとかは平気で言えるのに、おならだけはなぜか恥ずかしいんです。
長く同棲していた彼氏の前でも、もちろんしたことがありません。
他人がするのは全然構わないんです。アハハって一緒に笑えます。
でもわたしは、絶対にしない。

以前、友達とうんこの話で盛り上がったことがあります。

「キレがいい時、幸せな気分になるよね」
「あー、なるねー。すごい分かる」
「ハッピーうんこって名付ける?」
「いいね、そうしよう」

そしてわたしも友達も便秘気味だったので、一時期ハッピーうんこが出たらLINEで報告し合っていました。
そんなことはいくらでもできるのに!おならだけは・・・おならだけは無理。

羞恥心なのか、自分のことをアイドルだと勘違いしているのか、そこまで頑なになる理由が自分でも分からなかったのですが、いい機会ですので本気で考えてみたところ、思い当たる一つの結論が出ました。

『これ以上ブス度を下げたくない』

多分これ。
例えば、かわいいお姫様みたいな女の子がおならした場合、それもかわいいー!っていうリアクションになり、かわいいエピソードとして完結され、人々の癒しになり語り継がれていきます。

ですが、わたしは残念ながら残念な顔をしているので、わたしがおならをした場合、引かれて無かったことにされ、そして笑いにも転換されないという、まるで落ち武者のような無残な姿をさらすことになるのです。

おならという概念を排除することで、少しでもかわいいにしがみつこうとしている自分。
そういうことでした。

なんて情けなく、中途半端な話なんでしょうか。
人前でおならを出し切り、こうやってわたしは生きています!と堂々と胸を張ることができない。
どんなに手を伸ばしても届かないかわいいに、ずっと手を伸ばし続けている。

だけどさ・・・情けないって分かってるけど、しがみつきたいんだ。最後の最後まで。
諦めたら、そこで試合終了なんだもの。


だから、わたしがおばあちゃんになって、いつか天寿を全うした時に、盛大なおならをかまそうと思う。
やっとかわいいに伸ばす手を引っ込めることができた、わたしは幸せ者だ。わたしは諦めずに生きてきたんだ!
そんな気持ちを込めて、見送ってくれた人たちに「おならした?」って気づかれるほど、そしてもし病院の先生と看護師さんしか周りにいなかったら、ナースステーションで「そういえばさ・・・・最後におならしたよね」という会話をされるくらいに、誰よりも大きな音であの世に行きたい。

だからこの先も、絶対に人前でおならはしない。