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少しの汚れのいとおしさ

ピカピカのキッチンと、汚れのあるキッチン。みなさんはどちらが好きだろうか。おそらく多くの人は前者だと思う。

うちのキッチンは大してきれいではない。コンロはコゲがついてるし、壁面には汁物が少し飛んだ跡があるし、シンクもピカピカとはいえない。置いてある食器や調味料も、どことなく使い込まれている。きちんと掃除しろよ、と自分でも思う。

でもこの前、仲良しのライターさんがうちに遊びにきてくれたとき、うちのキッチンを見て言った。
「ちゃんと使ってるキッチンでいいね!」

私はその言葉を聞いて、なんだか嬉しくなった。
そうか、綺麗ではないけれど、このちょっとした汚れたちは、私がキッチンで時間を費やしている証拠なのか。

そう考えると、少しの汚れが「使い込んだ証」となっているものはそこそこある。

例えば、日々使っているキーボード。よく叩く「A」や「Enter」などのキーは少し文字が薄れているし、キーの底には明らかにホコリが溜まっている。でもこれを買ったのは本格的に仕事ができるようになったタイミングだったこともあり、「あれからなかなか頑張って働いてきたなぁ」なんて思う。

それから、いつもはベッド下のスペースに寝ているビオラという楽器。高校一年生で買ったので、もう20年以上一緒にいる(時の流れが恐ろしい)。この前修理したときにクリーニングしてもらったけれど、さすがに塗装が剥げたり、弓がぶつかって傷ができていたりする。きれいではないけれど、私はこの楽器を見るとなんだか安心する。

もちろん綺麗な新品にも心は躍る。でも、この少し汚れたものたちを大事に使いながら、一緒に時を過ごしていきたいと思う。

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