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こんにちは。土井あゆみです。


あゆみへ

あなたが本を書くと聞いたときは、本当に驚きました。
我が娘が、本を書くほどのことをやってきたのかとびっくりする一方で、一生懸命に仕事をしてきた姿をずっと見てきて、実際たくさんの人のお役に立って、そこまでの成果になったのなら、本当に良かったと思いました。

あと、私のことが書かれているところは、恥ずかしいので、読み飛ばしてしまいました(笑)。

普段から一緒に過ごす時間もあるけれど、こんな風に手紙として私の思いを伝える機会はあまり多くないので、この機会に私が当時あなたを育てながら考えていたこともお伝えしたいと思います。


私は晩婚で、あなたを産んだころにはもう30代後半でした。しかもその後、夫とは別々になってしまったので、親1人、子1人の家庭で大変な思いもたくさんさせたと思います。

私は学歴がなく、何か資格を取ろうにも高卒以上と言われる時代で、自営業くらいしかできることがなかったので、自分で喫茶店をしていました。
女性が1人で子どもを育てながら働くのはとても大変な時代でした。でも、子どもを守るためには経済力が絶対に必要だったので、まさに「死に物狂い」という言葉がぴったりなくらい、朝から晩まで必死に働いていました。

だから、本を執筆する中で「お母さんが命がけで働いて育ててくれていたことが自分の職業観にもつながっている」と言ってくれて、そのように受け止めてくれていたことを嬉しく思います。


正直、あなたが経営者になると言い出した時は、とても驚いたしショックを受けました。

せっかく大手の会社に入ったのに?!と思ったし、私は自営でやってきて、本当に大変だった経験もあったから、なんとか自分の子供にはそんな苦労をさせないように、と思ってきたからです。

昔、自分のお店でとっていた新聞に「東大生の親の生活水準は、親もそこそこの水準の大学に行って、大手企業に勤めている。教育費にもこれくらいの金額をかけている。」という記事を見ました。

収入は私の倍くらいあって到底及ばないけれど、教育費だけは同じくらいかけることはできるかもと思い、家計を切り詰めて、興味のあることは全てできるように、徹底的に教育にはお金をかけてきました。

その甲斐あって、無事に大学に進学し、大手の会社に入ることができた。でもそれを辞めると言い出した時には、私は大反対しましたよね。


でも、あなたの人生なんだから、私の考えを押し付けるのもどうかな、と思っていました。

最終的には本人のしたいことをしたらいい、と思うけれど、子どもはなんでも「やりたい!」と言うものなので(あなたは小さいときから本当にそうでした)、一応心配なので反対はしましたが、最終的に本気なのであれば応援するつもりでした。

私が反対した程度でやめるなら、本気じゃないのかなと。

でも、今となっては、これだけの結果を出して、これだけ素敵な仲間に囲まれて仕事をしている様子を実際に見て、本当に安心しました。
今はたくさん生活も支えてくれて、旅行にも連れて行ってくれて、それもとても親孝行な娘だなと思うけれど、一番は、いい生き方をしているなと安心させてくれたことが一番の親孝行です。
今は、いつでも安心してあの世に行けるなと思えています。


私は、若い頃必死に働いて、いいことのタネはたくさん蒔いたのに、全然いいことなかったなと思っていましたが、あなたにたくさん返してもらったと思います。

中学校を卒業してすぐに働きだしたので、旅行や趣味を楽しむ時間はなく、今やっと楽しめているのは、あなたのおかげです。
最低限自分の面倒を見られるだけのお金は用意していましたが、自分だけではこうはいかなかったでしょう。


あなたに言うこともはもう何もないんだけれど、「勝って兜の緒を締めよ」なので、より一層仕事でみなさんのお役に立つことと、健康には気をつけて過ごしてくださいね。

いつも本当にありがとう。

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