見出し画像

産後、正しく伝える能力が途切れた話。

最初の記事で、ここで文章を書き始めた経緯をね、書いたんですけども。

あれだけ読んで頂いて放置してしまうと、かなり夫のことを厳しく非難するような書き方をしているように感じさせてしまうと思うので、なぜそんなことになってしまったのか、夫のことを現在どう思っているのか、という部分について書いてみますね。

本当に大前提の部分として、私は夫と結婚するにあたって一切の妥協をしませんでした。心底好きで結婚したんです。
年齢的に丁度良かった~とか、安定した暮らしができそうだ~とか、そんなことはどうでも良くて。

夫自身の価値観であったり、モノの見方だったりがとても興味深く、そのままでいてもらうためなら頑張れると思って結婚しました。

このことも追ってまたいつか書きますけども、私には離婚歴があります。
当時子どももいませんでしたし、実家に一旦帰るという選択肢もありませんでしたから、本当に一人で人生やり直すことになってしまったんですね。

その時思ったのはね、「もうこの自由を絶対に手放さない」ということ。


安定っていうのは不自由なもので。
初婚の時、私は安定した生活を望んでいたし、限りなく望んだ形に近いものを提供されていたわけなんだけれども、思っていたよりも満たされなかったんです。

満たされない生活の中で、私は私の為に色々に動き始めたわけですよ。
学びの場に入って資格を取ってみたり、犬との暮らしを始めてみたり。
全く知らない土地で仕事を探して働いてみて、そこでまた新たな事柄と出会って、新たな学びを始めたりしてね。

つまらない想像しかできない未来を少しでも切り開く努力をした、というか。そういう時期だったんですよね。

そうするとだんだんとね、たった2人の人間しかいないのに、パートナーであるはずの元夫のことが必要ではなくなっていってしまいました。

そうして、元夫の気持ちも折れてしまって、色んなことが重なったタイミングで、たった3年という期間の婚姻生活が終わったんです。
(この頃のことや離婚のドタバタ話は結構、笑えるという意味ではないけれど面白いかなと思いますので、もっと詳しくいつか書くと思います。
そうだね、離婚記念日あたりにしようかな。笑)


まあそんな感じでせっかく手にした自由だったものですから、もうこれは手放してはいけないと。そう思っていたんですよね。


好きとか嫌いとかは損得勘定だけではないので、特に女性に多いのかな、
「好きになってしまうと、相手にも好かれたいがために、違和感に目をつぶって、相手に尽くして合わせてしまう」
という状況になりがちですよね。

私はそれはもう絶対にしないと誓ったんですよね。

だけど、「自分のことを好きになってくれる人の中から選ぶ」ということも、同じように絶対にしないと決めたんです。

どういうことかというと、

「私が全面的に納得して好きでい続けることができ、歩み寄ることが出来るであろう人と、私の価値観も大切にしながら生きていく。」

ということが達成されないかぎり、もう自分の人生を誰かに干渉されるのは嫌だ、ということなんです。

我儘を通したいというわけではなく、尊重し尊重される人生でなければ意味がない、ということです。


そうして再婚したのが現夫(以下 夫と表記します)なわけです。

ですのでそもそも夫は、私という人間が結構色々な感情を言葉に起こしてぶつけてくるタイプの人間だし、事なかれ主義者ではないという認識はあっただろうと思います。
そしてそれを尊重してくれていました。

前置きがすごく長くなってしまったんですけど、
では何故、前回の記事書いたような状況に陥ってしまったのか。

物事の要因というのは1つではないことが多いですから、これも私側から見たひとつの仮説、のようなものに過ぎないですけどね、


私側の原因として「いつも丁寧に選んできたつもりの言葉達が、ある事柄を境に出てこなくなってしまった」というのがあると思っています。

ある事柄っていうのは何かというと、もうね、他でもない。出産ですよね。


夫と再婚してから間もなく、第1子が産まれたんです。
それこそ事業のスタートとほぼ同時に、初めての育児もスタートしました。

私は産後ですから、事業を回したい夫からすると《戦力外》。
ぜんぶ一人でやらなければいけない不安や疲労、ストレスって絶対あっただろうと思います。
見る見るうちに夫のフワフワした雰囲気は角ばっていきました。
せめて家では一人にしてはいけないと思って里帰りもしませんでした。

だけど、その選択は私側も、それはもう想像以上に過酷だったわけです。
それをね、わかってほしかったんですよね。

だけど、ホルモンバランスの急激な変化が原因か、単純に寝不足なのか、はたまたアドレナリンが乳幼児を守ることだけに全振りしているのか、

まーぁ、上手く言葉が出てこない。
何にも話せないわけではないんですよ。声が出せないわけではないから。

「誤解を生まず正確に、相手に自分の気持ちや状況を伝える」
に事足りるだけの言葉が出てこない、ということです。


多くの場合、察してちゃん状態では何も変わりませんから、きちんと適切に伝えることが近道であり解決策だと思うんですけど、
どう考えても夫が不機嫌になる結果しか予想できない言い方しか、どういうわけだか思いつかない。

でもね、ここで不機嫌になってもらったら困るんですよね。
だって私は産まれたての赤ちゃんを抱えていて、その時は一人になることが出来ないから。

自分の身体もボロボロだし、どうしたって逃げ出すことが出来ないから、喧嘩に持ち込む勇気が出ない。
そもそも喧嘩したいわけでもなんでもないんだけれども、正確に伝えるに足りるだけの言葉が全然出てこないんですよ。
なんなら考える時間も足りない、だって赤ちゃんはいつ泣き出すかもわからないからね。


それでも分かってほしかったから、ダメ元で発言することもあるじゃないですか。そしたらね、夫、帰ってこなかったんです。
職場に泊ってね、自宅に戻らなかったの。

だから私は、既に寝不足と疲労に加えて、見放されたショックの中、
赤ちゃんと2人逃げ出すことも出来ずに一晩過ごすに至って、少しも状況が良くはならなかったんですよね。

それでね、それ以降は「正しく伝えられないから」という理由で、言わなくなったんですよ。その先にある自己防衛のために。


だけど、私が言葉を飲み込めば飲み込むほど、
私の気持ちはなかったことにされていったんですよね。

出産まではずっと、私なりに言葉を丁寧に紡いで夫に投げかけ続けていたから、夫からしたら、
「何も言われないということは何も思っていないということ」
という認識に恐らくなっていったのではないかと推測しております。

そうしてどんどん優先順位が後になり、夫にとって無意識的に私は《傷つけてもいい人》という位置づけになっていったように思います。
(そうなったよね?と本人にも後に確認しました。)


では今どんな状況かという話なんですけど。
夫は、私のこの産後の不満という部分について、「現在は正確に認識している」と私は判断しています。

何があったかというとですね、私に言葉が戻ってきたんですよね。

私には2歳差の2人の子どもがいるんですけど、下の子が昨年5歳になりまして。最後の産後から結構時間が経って、子ども達も各々の価値観や生活パターンが出来始めて、少し私から離れ始めたんですよね。

そうすると幼稚園や学校の先生達やママ友だったりは勿論なんですけど、
仕事や学びの関係で出来たお友達とか、子どもを介した知人ではない大人と話す機会もぐっと増えてきたんです。

それから、元々の自分というか、モノの言い回しなんかがきちんと取り戻せているような感覚があって。

そんな時にちょっとしたトラブルがあって、
夫から、私にとっては過去最大に無下にされたと思う発言を受けたんです。
それで、もう過去の言えなかったから言わなかったことも含めて、それはもう事細かく私の心情を説明したというわけです。

夫からしたら青天の霹靂だったかと思うのですが、
私にとってこの結婚において、夫の不機嫌を回避しするために過度の我慢しないといけない時期、というのは通り過ぎてしまったんですね。
より正確に、自分の気持ちを言葉に起こす能力が戻ってきていましたから。

ここまで、最初の出産からおおよそ7年の月日がかかりました。


子どもがいて、それぞれの暮らしがもうこの場で始まりつつありましたから、離婚はしないと自分の中で結論していました。

そのうえで、ここまで説明しても理解できないし歩み寄れないというのであれば、配偶者として私はもうあなたに期待もしないし必要でもないから、
このまま子ども達の両親として仮面夫婦をこなしていきましょう、と。


そこまで言われて、全て飲み込んで善処してくれる男性が世の中にどれだけいるでしょうか、と考えてしまいますよね。

だけど、私が一切の妥協無く選んだ夫という男性は、私が久しぶりに全力で持ってきた言葉たちを、恐らく全部拾ってくれたと思っています。
その日以来彼は、結婚する前のように戻って私の言葉を聞こうという姿勢をとってくれているし、

今現在に関しては、私は以前のように夫を全面的に信用しているし頼ることが出来ていますから、今後はもう大丈夫なのではないか、と思っています。


私は自分のこの経験というか、適切な言葉が出てこなくなった産後の期間の我が家の状況は、恐らくかなりのご家庭に見受けられるのではないか、と考えていて。

「奥様が何も言わないから、我が家は大丈夫」

っていうのは結構暴力的な考え方ですよっていうお話です。
産後何も言わないのは、丁度良い言葉が出てこないだけ。
言葉選びを間違うと正しく伝わらなくて、
夫が機嫌を損ねて、逃走されても、結局自分は逃げ出せないし苦しさが増すだけだから言わないだけ。

なーんてね。

どこかの誰かがそんな話をしていたなってくらいには、男性の脳の片隅に置いてもらえたら有難いなぁという、今日のお話でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?