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フランスの子どもを守る取り組み~未成年者を72時間保護できる法律~



フランス現地の現在のパランパルミルのお話に大いに刺激を受け、大興奮の私は、もうこれをやるぞ!という気持ちになっていました。


おかげで2023年→2024年の年末年始は、家族でクリスマスとお正月に何を食べるかということと、パランパルミルのことばかり考えていました(笑)

上記の記事でまとめた他にも、この対話の時には安發さんにさまざまなことを教えてもらいました。

例えば、フランスで里親になるには300時間の研修が必須になっていることや(日本は必須研修は5日間)、フランスの政令市と日本の政令市の子育て支援に関する人員配置の差が大きいことについて。

例えば、日本で10人程度のスタッフを置いて要支援家庭に対応している市の規模をフランスで考えた場合、未成年人口から計算して193人のスタッフを置くことになるとのこと・・・!

これ、すごいですよね。約20倍です。

この人数で対応すべきことがあるから、これだけの人数が必要とされているわけです。つまり、日本の人員配置の数ではこぼれおちてしまう子、こぼれおちてしまう家庭が出るのは明らかです。

あと、日本でも問題になっている不登校。
フランスではとても少ないそうです。

なぜなら30日間のうち2日休んだ子がいたら、学校の義務で家族に対する調査と支援をおこなわなければならないことになっているから。

その結果、どうしても学校という環境が難しい子は不登校支援校に行けるようにする、ということまでしっかり考えられています。

とにかくいろんなケースが、いろんな支援が受けられるように国で整備されているんですよね。



私たちのもとに直接相談に来る子どもたちには「親から離れたい」「親と縁を切りたい」という子も少なくありません。

そういうとき、日本の公的な支援だとどんな対応がなされるでしょうか。
虐待の有無を確認したり、児相の一時保護や児童精神科への措置入院が検討されるケースもあるでしょう。そもそもそういう相談ができるリアルな場所を身近にもつことからハードルが高いかもしれないですね。


フランスでは親と子が断絶したら、「孤立した親」と「孤立した子ども」というリスキーな状態の人が2人生まれることになってしまうという考え方であるため、関係性の回復に支援の重点が置かれます。

そういう支援って、日本だと何があるでしょうか。公的なもの、となるとあんまり思いつかないのは私だけでしょうか・・・・(いつもケースについて頼りあう、手弁当で頑張る民間の機関や個人が浮かびます・・・いつも本当に感謝)

だからこそ、フランスでは「合法的家出は必要」という考え方がそもそも持たれています。2007年には『未成年者を72時間保護できる法律』が生まれています。

これは安發さんの記事がわかりやすいのでぜひ以下を読んでいただきたいです。

フランスでは2007年に家族と不仲にある未成年を予防するため72時間保護するという法律ができた。この場合、児童相談所を通す必要はない。

「未成年が家を離れ、即座に危険に瀕する可能性がある場合、関係機関は予防目的で72時間を上限として未成年を受け入れることができる。その際親権を持つ人と裁判所に連絡をすること」とある。

シェルターなど未成年を受け入れた機関は72時間中に子どもと両親との間の調整をおこない、72時間後の報告書をまた裁判所に提出する。

期間内に帰宅が実現しない場合、親の同意がある場合は児童相談所経由で施設措置、親が同意しない場合は裁判所に判断を委ねる。

上記、安發さんの記事より



これなんです!みちくさハウスにほしい機能。


これがあれば、危険な状態にある子どもを一時的に保護しても、誘拐にはなりません。もちろん、親と子どもを断絶するための保護ではありません。その後の関係性を良くするための「ひとやすみ」です。

ちなみに、施設がいっぱいだったり、適切な宿泊場所がない場合、ホテル代を出してホテルに子どもを泊めさせてあげることもOKなのだとか。
※ホテルにはエデュケーターが付き添います。

子どもと両親のとの間の調整が役割に入っているのもポイントだと感じます。子どもは子ども、親は親で支援が必要なのはもちろんですが、親子という関係性だからこそ、それだけでは足りません。どんな親でも、今がどんな状況でも、親は子どもにとってのルーツであることを忘れてはいけないのですよね。



ただ、この法律を聞いたときにひとつだけ気になったのは『親が子どもを返せ』と言ったらどうするの?という点。

私たちもみちくさハウスを安全に運営していくことを考えたとき、親が乗り込んでくるとか、何か危害を加えてくるといったリスクにどのように対応するかをスタッフ間でも議論したからです。

この点、聞いてみたところ、「フランスでは、親がそのように言った場合、『家出をしたい』という子どもの意思を尊重していないことになり、より制裁を受ける。」とのことでした。


やっぱり、さすがフランスです・・・・


『未成年者を72時間保護できる法律』のようなものを日本にもつくるべきかは、これからパランパルミルの事業を通じてしっかり検証していきたいと思っています。

ただ単に事業を成り立たせるだけでなく、真の意味での社会実装も見据えて、取り組んでいきたいなと思います。

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