生い立ち起因のひずみの犠牲はなぜ生まれるのか〜パランパルミルをウィーズの事業にするまで③〜
『ひとりひとりが適切に自分の尊い価値を理解して、自殺や自傷が起きたり、自暴自棄になって他殺や他傷、非行、犯罪につながる心理が起きたりすることのない社会を作りたい』ということを前回の記事で書きました。
今日は、ウィーズで出会う『家庭環境にしんどさを抱えた子どもたち』がなぜ自己価値を理解しにくいのか、ひずみの犠牲に巻き込まれやすいのかということを書いていきたいと思います。
この言語化やまとめの作業はICCサミットのプレゼン作成の過程でたくさんおこなうことができました。
生い立ちを起因とするひずみの犠牲が生まれる理由として、ウィーズが注目しながら支援をおこなっていることのひとつに幼少期に培われた早期不適応的スキーマがあります。
スキーマとは、強い価値観のことです。
私たち人間は、幼少期に誰しもがもっている欲求に関して、必要なケアを必要な時に受けられることで、『自己肯定感がある』『チャレンジ精神がある』『レジリエンスがある』などポジティブな価値観が育つことにつながっていくといわれています。これが、良い方のスキーマ『早期適応的スキーマ』です。
一方、早期『不』適応的スキーマはその逆で、適切に育まれなかったスキーマです。
早期不適応的スキーマはどの欲求が子どもの頃に満たされなかったか?ということに対応して5領域に分けられています。
これらのスキーマを変えていったり、うまく自分自身がつきあっていったりできるよう、ウィーズではLINE相談をはじめ、認知行動療法的なアプローチで支援活動をおこなっています。
すべての支援員が、研修の過程でこれらについて学んでいます。
もうひとつ、逆境的な子ども時代の体験について研究した、欧米のACEs(※) 研究というものがあります。
ここにあるように、10個のカテゴリに分けられた体験を複数経験している人は、そうでない人と比較して、自殺未遂は12倍、アルコール中毒は7.4倍、学習や行動の問題は32.6倍という結果が出ています。
この10個の体験、日本でもたくさん起きてしまっているものばかりですよね。
驚くべきは、これらについて「ケアされなければ、その影響は生きてるあいだずっと続く」ということです。
ウィーズにも20~70代の方から「自分が子どもの時に親から○○をされた」「子どもの頃の家庭環境が悪かった」というようなお話が寄せられることも多くあります。それだけ、深く長く、その人の人生に影響を与えるのが家庭や親という、私たちの始まりの場所なのです。
これらの傷について自覚することや、子どもの頃の自分を癒し、回復していく取り組みを意図的に行うことが、まさしく様々な「ひずみの犠牲」の発生防止につながると考えています。
ただ、繰り返しますが、深く長い課題です。
その人に関わる一人や、一つの支援機関だけがこの取り組みを後押ししても、すぐに挫折してしまうのが回復のあゆみです。
いろんな人が知り、いろんな人がエンパワーし合えることで、この取り組みをおこないやすい環境がうまれるはずです。
次に紹介するICCサミットでのプレゼン本番は、そのことを知ってもらえたらと願ってお話をしました。
次回に続きます<m(__)m>
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