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マイナンバーカードには無償で電子証明書をつけられる

タイトル通りである。

マイナンバーカードには無償で電子証明書をつけることができる。だからなんだという感じではある。そもそもこの「電子証明書」とはなんぞや、というところから始めなければならない。


電子証明書って、なに?

技術的な話は面倒なんで、ちょいとスキップ。
なんで電子証明書なるものが必要なのか。
それは、

ネット空間で私がどこの誰であるのかを証明するため

である。

基本的に、ネット空間と、実社会の結び付きはない。ネット空間でとれだけ失礼なことをしても、実社会の私とは結び付かない。今、私はnoteに記事を書いているが、この記事の内容は私自身がどこの誰かなのかを特定できなくても困らない。内容もどこの誰が書いてもいいような内容である。

しかし、世の中には、私しかできない、というか、私以外の人がやってはいけないことが存在する。それが、私の個人情報の参照や、あるいは変更である。そして、そういうような情報をネット上で参照更新しようとしたときにはある困難が伴う。操作している人間が確かに私であると証明することが難しいのだ。もしその証明が簡単であるなら、私以外の人間が私であるかのように振る舞うことも簡単になってしまいかねない。電子証明書は、この「確かに私なんだからデータを見せろ更新させろ」という時に威力を発揮する。

マイナンバーカードには電子証明書が付いてくるのだが(電子証明書をつけないという選択肢もあるようなので、正確には「電子証明書を付けることができる」というのが正しい)、電子証明書はマイナンバーカードにしかないというわけではない。一般には、認証局と言われるところが発行する。民間にいくつも認証局があるので、電子証明書を持とうと思えばいつでも持つことができる。
だだし!
少々面倒くさい。

まず、費用がかかる。初期費用としていくらかかかって、さらに定期的にも支払わなければならない。認証局によって費用はマチマチであったかと思うが、年間費用が数万円というところもある。世界的に認知されている認証局とか信頼性の高い認証局ほどお高い印象があるが詳しくはない。

さらに申請の手続きも面倒である。私が確かにナントカ県のナントカ市に在住しているナントカであると証明しなければならない。提出する書類も認証局によって違うと思うが、住民票やライフラインの領収書が必要だったり、電話がかかってきたり、郵便物が郵送されてきたりする。電話を受けて、郵便物を取って、確かにそこに住んでいて架空ではないことを確認しようとする。もしその電子証明書が犯罪に使われたとすれば、電子証明書申請の際に提出された資料は全て本人を特定する証拠となる。ネットと実社会を結び付けることになるのだ。

マイナンバーカードというのは、そもそも実社会の身分証明書である。発行する時にもいささか面倒だ。顔写真も必要であり、申請時には顔写真と本人を確認される。さらには定期的な本人確認も必要である。何年かに一回、役所に行って手続きしなければならない。この、「役所に行く」ということにも意味がある。身分証明書を配布した以上、それを正当な人が保管して正常に管理されていることを確認する必要がある。例えば、どなたかが亡くなったとして、そのマイナンバーカードを不正に入手し違法に使用される可能性もあるからだ。身分を証明するカードを配った以上、配った側にもそれを管理する責任が求められる。それが、そういう面倒くさい手続きとなって現れるのである。

お気づきだろうか。そう。マイナンバーカードを発行するときの面倒くささと、電子証明書を発行するときの面倒くささは同じなのだ。マイナンバーカードを発行するときの手続きは電子証明書を発行するときに必要な手続きでもあり、マイナンバーカード発行の手続きには電子証明書を発行するときに必要な手続きが既に含まれているのである。であれば、後はマイナンバーカードに電子証明書を入れてしまえば終わりである。そうして、国民全員に配ってしまえばいい。それが、マイナンバーカードの電子証明書である。そうすればマイナンバーカードは、実社会とネット社会の両方で身分を証明できる。

マイナンバーカードにはこの「電子証明書」を無償で付けることができる。しかも、日本政府お墨付きだ。加えて「マイナンバーカードを発行する」という以上の手続きがいらない。マイナンバーカード発行の「ついで」につけてもらうだけである。これって、めっちゃラッキーじゃね?

ネットで生活するうえで、電子証明書を持っているというのは「ちょっとすごいでしょ?」感がある(個人的見解です(笑))。ネットでどこかのサイトにアクセスするとき鍵マークがついていたりすることがあるが、あれも電子証明書である。アプリケーションなどをダウンロードしてインストールするときに署名があったりするのも、あれも電子証明書である。いずれも、「実社会に存在する」人や組織が運営しているサイトであり、「実社会に存在する」人や組織が発行しているアプリケーションであることを、その人や組織以外の第三者が保証している証明書なんである。ネット上では通常、第三者にお金を払って証明してもらうんであるが、マイナンバーカードは無償で国がやってくれるんだから有難いことこの上ない。私はマイナンバーカードに電子証明書が入っていることを知って、思わず「え? 電子証明書入ってるん? 私のん? うっそー、ラッキー」などと思ってしまったものである。

私が若いころは、身分証明書を目的として運転免許証を手に入れるという人があった。学生の時代には学生証が身分証明書になったのに、卒業した途端に身分証明書がなくなるとはこれ如何に、である。でも、今はマイナンバーカードという立派な身分証明書がある。しかもネット空間での身分証明書にもなってくれるのである。加えて無料でもらえる。身分を証明してくれるものがあるというのは、なんだかちょっと嬉しくありませんか? どこかの役所に戸籍が登録されているというだけではなくて、自分の手の中にあるということが。


それで? 電子証明書は何の役にたつの?

では、実際にどういう時に役立つのか。

えーーっと。
まず、マイナポータルにログインする時に使用する。マイナポータルにログインする時にはパスワードの入力を求められるが、同時にマイナンバーカードも必要となる。そう、この時にマイナンバーカードに記録されている「利用者証明用の電子証明書」を使っている。他のサイトのセキュリティはパスワード入力だけというのがほとんどかと思うが、マイナポータルはそれだけではない。「利用者証明用の電子証明書」も必要なのである。パスワードだけのセキュリティよりは強固だ。コンビニなどの住民票申請にも使えるわけであるが、住民票などは悪用される可能性もある。従ってセキュリティも厳しい。

その他には、えーーっと、行政に提出する書類に電子証明書を付けてオンラインで申請することができる。例えば、個人事業主であれば所得申告するときなどに役立つかもしれない(詳しくない💧)。今は、利用用途は少ないかもしれないが民間利用も可能であるらしく(詳しくない💧💧)、そうすれば利用用途は増えるかもしれない(詳しくない💧💧💧)。

少なくとも、マイナポータルにアクセスするための「鍵」であることは間違いない。せっかくマイナンバーカードを入手したんだもの、是非とも電子証明書も入手してネットでいつでも自分の情報を確認する手段を持っておいてほしい。損はないのである。といっても特に断らない限りマイナンバーカードに勝手に電子証明書がついてくる。「いりません!」と言わない限りはマイナンバーカードに電子証明書が入っているはずである。

(ヘッダ画像はデジタル庁のフリー素材を使わせていただきました)

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