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情報管理が不安なのでマイナンバーカードを返納するのはあまり賢明ではないかもしれない

この何回かマイナポータルに関係する記事を書いた。もうついでなのであれもこれも書いてしまえという気になってきた。なので今日は

マイナンバーカードの返納について

である。

最近は少し下火になったかもしれないが、ほんの少し前にマイナンバーカードの返納が話題になった。個人情報が、まぁ、ちょっとぐちゃぐちゃになっちまったんで不安になったようである。

だが。

その不安を解消する対策としての返納というのは、あまり賢明ではないかもしれない。


マイナポータルについてはこちらでも書いた。

マイナポータルは、行政機関に保管されている「わたしの個人情報」を閲覧することができるサイトである。そして、マイナポータルからその情報にアクセスするためにもう一つ必要なものがある。それが、マイナンバーカードなんである。

マイナンバーカードそのものに記録されている情報はほとんどない。マイナンバーカードは「情報を記録したノート」というのではなく、「情報にアクセスするための鍵」なんである。家の鍵や、あるいはキャッシュカード(あるいは銀行印)に似ている。家の鍵は家そのものとは違う。キャッシュカードも預金情報は持っていない。家の鍵は家に入るためのものであり、キャッシュカードも口座にアクセスするためのものである。マイナンバーカードというのはそれと同じで「マイナポータルを通して行政に保管されている自分の個人情報にアクセスするための鍵」なんである。それを捨てる(返納する)というのは鍵をお返しするというわけで、家はあるけど鍵はないとか、口座はあるけどキャッシュカードはない(銀行印もない)ということになる。

行政は既に国民情報をデジタルデータに移行している(あるいは移行しつつある)。当然である。昔のように紙だけで処理していては行政業務がどれほどかさむかしれない。コロナの時に感染者数の情報共有をFAXで転送するなどという報道があったが、紙ベースとすればそうせざるを得ない。データを編集してメールで送信とか、あるいは共有されている情報を更新して終わりなどという手段は使えない。もし、データのデジタル化に反対したならば、行政の業務を削減できない→費用も削減できない→それだけ税金を費やす、ということになる。そこに税金を使いますよ、ということに同意する必要がある。

データのデジタル化を止めることは、もうできない。役所に行って「手首から肘にカバーをはめた職員さんが書類を綴じたファイルを持って出てくる」というようなシチュエーションは、昭和の時代で終わりである。現代は、モニタを前にキーボードをカタカタいわせながら話をするという時代だ。あるいは、オンラインでモニタ越しに話をして、役所に行くことさえなくなるかもしれない。

これまでは、データがデジタル化されても、国民個々人が自分のその情報にアクセスすることはできなかった。情報にアクセスできたのは公務員だけである。ところが、マイナンバーカードを使えば、

国民個々人が自分のその情報を閲覧することができる

のである。
マイナンバーカードを返納するということは、その権利を放棄してしまうことになる。

自分の個人情報が正しく自分のものであるのか不安なのであれば、マイナンバーカードを返納するのではなく、マイナンバーカードを使ってわたしの情報を確認する方がよい。最近は、スマホにICカードを読む機能が付いている。それを使えば、他には何もいらない。行政のどこかに記憶されているわたしの情報を閲覧することができる。不安であれば、是非、一度覗いてみてほしい。他のだれのものでもないわたしの情報なのだから。

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