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いいお産をむかえるために大切なこと

2人目、3人目の出産の時に十分に満足できていない自分がいる。

それは、いきまない出産を望んでいたからだ。
「赤ちゃんを産む時に、”いきみ”は必要ないんだよ」とある助産師さん
は言う。
「赤ちゃんは陣痛のチカラを使って外に出てこようとしているから、
お母さんは力を抜いていればいい」と。

私も実際に、出産の時にお母さんをいきませない病院で助産師として勤務していた。はぁーと吐くいきに合わせて、ゆっくりと数ミリずつジリジリと進みながら出てくる赤ちゃんの頭を優しく撫でなでながら、陣痛の波に合わせて産まれてくる赤ちゃんたちをとりあげてので、その言葉は理にかなっているなと納得したし、私にもできるものだと思っていた。

でも、私の2人目の出産は赤ちゃんの頭が出る最後の最後、
助産師さんに『いきんで』と言われて
ウーンと力強くいきんで産まれてきた。
陣痛の時間が長くなっていて、陣痛が弱くなっていたからだった。
とはいえ、いきんだ回数は数回で、時間にしたら5分もないくらい。
ものすごく勢いよく赤ちゃんの頭が飛び出したのかといえば
そうではなくて、おしもを縫うような深い傷ができたわけでもない。

世の中には何時間もいきんで出産したという人もいたりするから、
他の人が私の出産の話を聞いたら、「それはすごくスムーズだったね。」
と言うかもしれない。

それでも
わたしにとっての理想の出産は、力強くいきんで赤ちゃんを外へ押し出すような出産じゃなく、体の力を抜いて、赤ちゃんの力を信じて「待つ」お産だった。

なぜ、あの時陣痛は弱くなってしまったんだろう。
本当に、あそこで息まなければ赤ちゃんは出てこれなかったんだろうか?
しかも2人目の時にした経験を繰り返したくないと思っていたのに
3人目も全く同じような経過をたどり、同じ理由でいきむことを提案されて
同じようにいきみながら出産した。
そして私は自分で自分を「いきまないと産めない人」に認定してしまったのだ。

人はポジティブな出来事よりもネガティブな出来事の方が、5倍も気分との結びつきが強いという調査結果があるらしい。
ポジティブな出来事があったからといって、必ず気持ちが上がるわけではないのに、ネガティブな出来事にはすぐ気持ちが引っ張られてしまうそうだ。

赤ちゃんを元気に産む。
家族みんなに立ち会ってもらう。
産まれてくる時に、赤ちゃんの頭を撫でる。
実際にはできていること、叶えられていることの方が多いはずなのに、
私は「いきまないで産みたい」と言う自分の理想が叶えられなかったという1つのネガティブな事実だけで
「いいお産ができなかった」とし続けていて、
自分が一番自分の出産を「うまくできなかった」ことにしていた。

そもそも、いいお産か、そうじゃなかったかは
そんなに重大なことなのか?
と思う人もいるかもしれない。
けれど、子どもを産むお母さんの中に
「出産した日のことは忘れてしまった」と言う人はいないだろう。

そして、私も2人目の出産から2年以上が経って
こうして自分の出産を自分の言葉で振り返ったり
文章にするようになってきて
やっと、もやもやの原因がわかってきて
この気持ちをどう納めていくかがわかってきたような気がしている。

中には何十年も経って、もう孫が産まれているような歳になっても
自分の出産をネガティブな出来事として心の中にしまいこんでいる人もいるそうだ。

出産の日の出来事は記憶に残る。
それは何年も、何十年も。

だからこそ、
「もっとこうしておけばよかった」
「もっとああしてよけばよかった」
と悔いが残らないように

妊娠中から自分の出産と向き合って
「やれること全部やったから悔いはない」って
笑って言えるような出産を
一人でも多くの妊婦さんに迎えてほしいと願っている。

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