マガジンのカバー画像

映画感想文

73
2012年から続けている手書きの映画ノートの内容を、一部編集・アップデートして載せています。当時見た新作〜旧作まで様々。洋画が多め。レビューや批評というよりは、感想です。出演して…
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

映画感想#56 「ロマンス」(2015年)

監督・脚本 タナダユキ 出演 大島優子、大倉孝二、野㟢好美、窪田正孝、西牟田恵 他 2015年 日本 97分 幸せな親子という叶わない夢 箱根ロマンスカーのアテンダント・鉢子と、崖っぷち映画プロデューサー・桜庭。決して"ロマンス"なんかではないけれど、2人が再び現実を見つめ直すための小旅行です。 これは主人公・鉢子のセリフ。 「台風は進路が決まっていて良いな」という受験を控えた高校生かのようでもありますが、鉢子は母親との関係でモヤモヤしたものを抱えているのです。 悲し

映画感想#55 「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(2012年)

原題 Ernest et Celestine 監督 バンジャマン・レネール、ステファン・オビエ、バンサン・パタール 脚本 ダニエル・ペナック 出演 ランベール・ウィルソン、ポーリーン・ブロナー 他 2012年 フランス 80分 自分と違う存在と関わること 絵本が原作の、とてもかわいいお話でした。 くまとネズミは仲良くなれるのか?周囲の反対にあったり、大騒動に発展したりと、ドタバタしながら進んでいきます。 水彩画タッチの絵が、音楽に乗って流れるように動いていくのが美しい。

映画感想#54 「美しい夏キリシマ」(2002年)

監督 黒木和雄 脚本 松田正隆、黒木和雄 出演 柄本佑、原田芳雄、左時枝、牧瀬里穂、宮下順子、平岩紙、石田えり、寺島進、香川照之、甲本雅裕 他 2002年 日本 118分 "聖なるもの"のために戦う人間 1945年、宮崎で暮らす少年・康夫と周りの大人たちの物語。終戦間近ということもあり、戦争が常態化した日本で生きる人々の諦めと閉塞感が伝わってきます。 見終わった後は、何とも言い難い無力感が残りました。康夫が感じる戦争に対する違和感と、それをどうすることもできないやるせな

映画感想#53 「海のふた」(2015年)

監督 豊島圭介 脚本 黒沢久子 出演 菊池亜希子、三根梓、小林ユウキチ、天衣織女、鈴木慶一 他 2015年 日本 84分 都会と田舎の確執問題 爽やかな気持ちになれる映画でした。海の風に当たっているような。かき氷の甘い匂いが香るような。 主人公・まりは東京から故郷の西伊豆に戻り、大好物のかき氷屋を始めることに。東京から帰ってきたまりに壁を感じるのは、ずっと地元に住んでいる幼馴染のオサム。まりとオサムの関係から、「都会と田舎の確執」が見え隠れします。 まりは、故郷の変化に

映画感想#52 「海街diary」(2015年)

監督・脚本 是枝裕和 出演 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、池田貴史、坂口健太郎、前田旺志郎、キムラ緑子、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ 他 2015年 日本 126分 家族とは呪縛なのか ストーリーは、表面的には爽やか。 ある3姉妹に腹違いの妹がいることが発覚し、鎌倉で一緒に暮らすことになり、本当の家族になっていくという。でも実は、家族の心穏やかではない関係が描かれていたりもします。親子同士、姉妹同士、夫婦同士の妬