日本のエネルギー政策はどっちに向かう? -成長戦略会議 実行計画から-
12月1日に、成長戦略会議の実行計画が取りまとめられました。
成長戦略会議って?
○内閣府のなかの会議のひとつ
○安倍政権では『未来投資会議』だったが、改名した
○外部有識者とともに、今後の日本の成長戦略を検討した
実行計画って?
例えば、菅総理が「2050年までにカーボンニュートラル」とした方針について、具体的にどうやるの?という部分をもう少し具体化したもの。
まだまだ方針レベルだけど、菅政権が何を目指そうとしているかがちょっとわかる。
何の実行計画について書いてあるの?
いろいろあるけど、ざっと見て気になるのは
○2050カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略(エネルギー)
○「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資(デジタル投資)
○新たな日常を支える包摂的な社会の実現(少子化対策など)
○足腰の強い中小企業の構築(中小企業支援)
など。
その名の通り、今後の成長戦略に関わることを広く議論している。
エネルギー政策はどうなった?
基本的にこれまでどおり。
再エネ:主力電源化を目指す。コスト削減が課題。洋上風力が鍵。
原子力:確立された脱炭素技術として持続的に活用。再稼働、再処理、安全炉開発を進める。
火力:炭素固定技術と組み合わせながら活用。石炭もやめない。
○原子力について
持続的に活用するという言葉のうえに、原子燃料サイクルの根幹である再処理にも言及したので、しっかり使う計画のようですね。
原子炉の開発について言及されたということは、新規原子炉の建設も視野に入っているように思います。
そんなことしたら支持率が壊滅しないかな…?と思いますが、どうなんでしょう。
○再エネについて
主力化という方針は変わらず、これを達成するために低コスト化を推進していくようです。
意外だったのは、洋上風力が鍵という指摘。
かなり大規模な開発を想定しているようで、『2040年までに3000万kWの建設需要を創出する』とあります。
3000万kWというと、原発30基分くらいの出力に相当します。(風の機嫌次第で出力が変わるので、単純には比べられないことに注意)
洋上風力を増やすには、当然大規模な適地(安定して風が吹いて、かつ広い)を探す必要があります。
また、当然ながら海辺を開発することになるので、生態系にダメージを与えるほか、漁業と干渉する場合があります。
そのへんは何を建てるにしても同じなんですが、はて、それほどの開発余地はあるんでしょうか。
○火力
石炭火力、やめますとは言えないよなぁ~。
高効率な石炭火力を使っていくほか、炭素回収・貯留技術(CO₂をプラスチックなどに固めておくなど)を組み合わせることで頑張るそうです。
また、各国から怒られてしまいますね。
(小泉環境相が怒られている映像、悲しいですよね)
○その他
それ以外に開発すべき技術として、
○水素利用(水素製造、水素による発電、水素輸送)
○電気自動車、蓄電池開発
○半導体開発(デジタル化で電力消費が増えるので半導体を省エネ化する)
などなど。
それぞれの開発目標に対してはESG投資を呼び込んで、温暖化対策がポジティブな経済効果を生む仕組みを作っていこうぜ!とのことです。
まとめ
現時点では『何に注目しようとしているのかが決まった』という程度で、今後具体的な方策が取られないとなんとも言えません。
これをもとに、どのような動きが生まれるのか、注目しておきたいですね。
ちなみに、温暖化対策には公衆のライフスタイル変容(移動量削減、省エネな製品選択など)も求められます。
気付いたらみんな脱炭素とか省エネとか言ってるんだけど!?ということにならないよう、ちょっとずつ勉強していきましょうね!
ご覧いただきありがとうございます! 知りたい内容などあればご連絡くださいね。