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田舎生活で見つけた、ちょっとしたしあわせ

私は今、広島県の海が近い町に住んでいます。
有名なリゾートホテルと、その関連の大きな造船所がある以外は何もない場所です。

引っ越したきっかけは夫の転職。
料理人の夫はありがたいことにお声をかけていただき、リゾートホテル内の和食レストランで働くことに。
その会社の社宅があるので、この町に引っ越してきました。

夏のはじめ、広島の端から端への大移動。
ある程度片付けが落ち着いた頃に気づく、ちっちゃいアリさんの度重なる侵入。
ときどき、別の虫たちも我が家へ不法侵入。
お風呂場と寝室でコオロギを発見したときは叫びました。
海が近いためか車に轢かれている小さい蟹を見ることもしばしば…

それくらい自然に囲まれた土地です。
私の地元もぼちぼち田舎ですが、これほどの田舎に住むことは人生で初めてで、虫はいるのに他に何もない事実に発狂寸前でした。
(虫を見すぎて体がかゆくなりました)

季節は秋、夏に比べて虫の侵入は落ち着き、納車も終えたので行動範囲はぐんと増えました。
近くの島へ足をのばし、瀬戸内の空気を楽しみ始めましたのもこの時期。
近所の町を散策したり、人のいない砂浜でデイキャンプを楽しんだり、田舎の楽しみ方を体得していきました。

そして今、冬。
夫が休みの日に一緒にドライブをすることは継続中ですが、私には特別な楽しみができました。
それは、地元住民とのなにげない交流です。

夕方散歩にでると、地元住民に出会います。
老若男女、ポツポツと出会う彼らは挨拶をしてくれます。
ときには散歩中の犬が突進してきて、興味津々な様子で私の周りをぐるぐる。犬をひいている小学生と会話できることも。
すれ違うおじさんはなぜか、「かっこいいね〜!」と声をかけてきます。
(かわいいでもきれいだね!でもなく、かっこいい笑)

東京に住んでいたとき、知らない人にすれ違っても絶対に挨拶されなかったし、しませんでした。
ましてや子供たちに挨拶されることなんて、一切ありません。
ママチャリライダーはみな爆走、角から飛び出してきてぶつかりそうになっても謝罪なし(怒)、それほどにみな切羽詰まって、自分の生活を守るために必死。
他人なんて構ってられないし、いつどこで変質者に出遭うかもわからない街、それが東京。

もちろん今でも東京は好きです。
いろんな人や考え方に出会い、モノに溢れ刺激が多く、帰省するとわくわくします。
けれど今「東京とこの町、どちらがいい?」と聞かれたら「この町」と答えるでしょう。

何もないけど、オレンジ色の空が広がり、穏やかな海が包み込んでくれる町。
知らない人たちとのちょっとした交流は、気持ちのゆとりにつながり、モノでは得られない心の満足感を与えてくれます。


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