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きみの色


"大学生に戻りたい"

私が社会人になってから1番嫌悪していた言葉。

元彼が私と上手くいかなくなってきたタイミングで言い始めたのがきっかけだった。そんなこと言葉にしたって学生に戻れることなんて無いし、兎に角目の前のことを我武者羅にやり遂げることがその時の私には精一杯だった。大学生に戻れたら、私と上手くいっていない今が改善されるような、言い訳紛いの使い方をされていたのが嫌悪していた要因の一つのようにも思える。

映画、きみの色を見てきた。

修学旅行、バンド、音楽、模試、制服。
帰りのホームルームが終わった瞬間、机の中の全ての荷物を纏めて誰よりも先に教室を出ること。時間の制約がないこと。何処へ行っても良い、何をしても良い。必ずしも校則に拘束される必要なんてなかったこと。

今手に入らない全てが、なんだか全部キラキラして見えた。

ずっと思ってはいたけれど、初めていままで嫌悪していた言葉を誰かに伝えたい。

学生時代に戻りたい。

色も言葉も音楽も全部繊細で、会場内に5人しか一緒に映画を眺めている人間が居なかったことを不思議に思うくらい良かった。

休みの日以外は常に人と触れ合っているから、それ以外の日はどうしても省エネモードになってしまう。店員さんと話す時は、自分でもびっくりするくらい小声になってしまうし、イヤホンで常に外の音をシャットアウトしている。

社会人になってからなにひとつ自分が確立されていないのだけれど、今はふらふらする私を大切にしたいのです。

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