あんこ

暇つぶしに色々と書いてみます。

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最近の記事

まぬけ

ベランダで洗濯物を干していた。 今日は日曜日だった。 近頃雨続きだったが、この天気であれば洗濯物は十分乾きそうだった。 3日ほど溜めていた洗濯物は思ったよりも多かった。全部干したら一家族分ぐらいにはなるんじゃないかと彼は思った。 彼は一人だった。 学生時代の友人たちは結婚していて、子供ができている奴もいた。次第に彼らは家庭の事で忙しくなり、連絡も取らなくなっていた。 社会人になってから今年で3年目になる。仕事にも慣れ、辛いと感じることも無くなってきた。ただ、この生

    • 歩く二人

      Xは夜に散歩に行くことが日課であった。 今日もいつものように散歩をしていた。 ふと後ろで足音が聞こえた。 Xは自分と同じく散歩をしている人であると思った。 Xは絶えず後ろを気にしていながら、そのことを悟られないように慎重に歩き続けた。 しばらくしてXは自分の後ろをどんな人が歩いているのか確かめてみたくなった。 Xは何かに期待しつつも、平静を装いながら後ろを振り向いてみた。 しかしそこには誰もいなかった。 Xは一人で歩いていたのだった。

      • 信号待ち

        渡ろうとした横断歩道の信号は赤色だった 僕は赤く光る立ち止まった人をじっと見つめた 彼はきちんと立ち止まっていた 僕も彼に倣って立ち止まることにした しばらくして彼は青く光り、歩き出した 僕も彼に倣って歩き出した こうして僕は信号機になった

        • 同居人[別稿]

          ある日僕に同居人ができた。 僕は同居人を望んでいなかった。これまでもこれからも一人で生きていくのだろうと漠然と考えていたし、そうするべきだとも思っていた。しかし、そんな僕に同居人ができてしまった。 僕に同居人ができてしまった経緯を説明する義務が僕にはあるように思われるが、このことを説明することは非常に難しい。難しいと言ってもそれは経緯の複雑性にあるのではない。むしろ経緯は至極単純明快であって、それ故に他の人からすれば「それだけ?」と思われるようなものなのだ。話を進めていく

          同居人

          ある日僕の家に同居人が現れた。 彼は突然現れた。 常識的に考えれば、家に突然現れた人物をまずはじめに同居人だと思うものはいない。空き巣に入った泥棒と考えるのが自然だろう。 しかし、僕は彼をみた時、瞬時に同居人だという確信を持った。 僕が仕事を終えて夜遅く帰ってきた時に、同居人は家のリビングでソファに腰掛けてテレビを見ていた。同居人は玄関の扉が開いた事に気付いたのか、玄関の方に体を向け、家の主人である僕(同居人の彼からしたら僕も同居人ということになるだろう)が帰ってきた

          あんこです

          はじめまして、あんこです。 なんとなく何かを書いてみたい気持ちになってnoteを始めてみました。 小説、エッセイその他諸々書いていきたいと思うので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。 よろしくお願いします。

          あんこです