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29歳、東へ行く。

一言で北海道と言えど、端から端まで一体どれくらいの距離があると思っているのか。
答えはわたしもよくわかっていないけれど、何が言いたいかというと、北海道内の移動も遠くて腰が重い。
ということで普段は居住地から片道2時間半程度の圏内でしか移動しないんだけど、遠いその場所に行きたくないわけではなく、むしろ行きたいと思いながら日々を過ごしている。

そんな私が北海道の東、釧路へ行ってきました。

事の発端は友人が釧路旅行を計画していたこと。本州出身の人が北海道に来るなんてそうそうない機会だと思うので、勝手に会いに行くことにした。飛行機で飛んで行ったほうが早いなんて考えは野暮だ。それにこのご時世、東京に行くのはまだ気が引ける。その点釧路は北海道だ。都合の良いときだけ、北海道は広いけど一つのエリア理論を持ち出す。そして、こんな機会でもないと釧路行きなんて実行できない。

ある金曜日、仕事を終えた私は車に乗り遠方へ向かっていた。
「車に乗り」なんて書き方をするけれどが乗っているのはいつもの助手席で、寝てはいけないプレッシャーがあるとしても、我ながらお気楽なものだと思う。もちろんBGMは最近大好きなKing & Prince。
誰の車に乗っているかというと同居人の車で、彼が東に遊びに行く年に一度のイベントと私の釧路行きが被った。ここに関しては本当に運が良かった。随分前から聞いていたはずなんだけど、King & Prince配信ライブのことで頭がいっぱいすぎて、釧路行きを決めるまですっかり忘れてた。
こうなれば高速代だろうがなんだろうが持つので車に乗せてほしいし、同居人だって一人で運転するより誰か(しかも女)と話しながら、高速代も負担してもらえるんだから悪い話じゃないでしょう。

21時、車は釧路…ではなく帯広の街へ到着する。
この日はいわゆる「前乗り」の日で、土曜の朝早くに家を出発しても良かったんだけど、朝はできるだけ寝ていたい私のわがままと、高速道路料金をGoToキャンペーンに絡ませて適用させるためにどこかに宿泊する必要があった。
釧路へ行ってもよかったんだけど、そうすると到着がすっかり深夜になってしまい、夜の釧路を楽しむには遅すぎる。
そして帯広には前々から行きたい場所があった。クラフトビールのタップが沢山並ぶカフェ。忽布古丹醸造、京都醸造、奈良醸造…札幌圏でもここまで揃えの良い場所はあまりない。

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去年まで札幌駅にあった六鹿を思い出す。札幌にもこういうタイプのお店できてほしいな。こだわりのクラフトビールが揃ってるカフェのように気軽に入れる明るい感じのお店。
ちなみに、帯広の宿泊は「おびひろ割」とかいうやつで、思っていた以上に安かったし、地元の商品券までいただいてしまった。その辺は情報ブログの方にでも書こう。同居人が宿泊代くらい出すよと言ってくれたけど、あまりにも安かったのでいらないと言ってしまったレベル。

土曜日、期待していなかった宿泊先の朝食が思ったより品数豊富で嬉しい朝、天気は快晴、釧路へ向けて出発。
こんなに近かったっけ、と拍子抜けするほどあっという間に釧路に到着した。高速道路の発達はすごい。十年ぶりどころじゃない街、混み合っていた道路は自動車専用無料道路の発展によりがらんとしているし、昔ビッグハウスがあった辺りは違う景色になっていて、来月ホームセンターが出来るんだとか。

まだ午前中、友人と合流するのは多分夕方。フリーの時間は割と十分にある。

とはいえやることは決まっていたので時間はあまりなかった。この日宿泊する宿に荷物を預け、近くでささっと買うものを買って、向かうは中心部から少し外れた小さなお寺。祖父母が眠る場所。
このために釧路に行きたいと思いながら、何年が経ってしまっていたんだろう。あの頃高校生だった私も三十路目前。十数年前のぼんやりした記憶と、母に聞いた情報を照らし合わせて場所をまで見つけ、手を合わせる。
それにしても一人で来るのはちょっと厳しい場所だった。駅からタクシーで向かったら結構な料金だったと思う。ここまで連れてきてくれて、一緒に手を合わせてくれて、ありがとう同居人。

ショッピングモールで降ろしてもらい、同居人はさらに東へ、私はふらふらと店内を眺めるも何もなさすぎて早々に次の場所へ。

実はお墓に行く話の過程で、嬉しいことに親戚が遊びにおいでと声をかけてくれたのでありがたくおじゃましてきた。こちらも実に十数年ぶり。それはそれは楽しい時間だった。偶然従姉妹にも会うことができて、皆に母そっくりだと言われ、最近髪を切ったばかりで結構変わってしまったんだけどな、と思いながらも不思議な気持ち。お家でいただいたシュークリームにおもち入ってるお菓子美味しかったな。どこに売ってるか聞けばよかった。

そんなこんなで夕方、ホテルに着いたときには既に充実感でいっぱい。しかし旅のお楽しみはまだまだこれから。少し眠いけれど仮眠するほどの時間はないし、一度眠ると起き上がれないタイプなので何かあっても困るので電話しながら化粧を直す。

16時、友人と合流。久しぶりに会うし何を話そうかな…と思うんだけど、いざ会うとSNSで見ているから久しぶりって感じがしないというのはよくある話。幣舞橋の夕陽を眺めに行く。思ったよりも人がいる、釧路ってこんなに観光客が来る場所なんだな。

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週間天気予報ではあまり天気が良くないとされていた土曜日、金曜日の夜から薄々感じていたけれど、実際はとても天気が良くて、絵に描いたような綺麗な夕陽でした。どうやら世界三大夕陽って呼ばれているらしい。残りの二箇所はどこなんだろう、調べる気にもならないけど。

ACIDMANの式日を思い出した。本当は赤橙を思い出すのが正しいとは思う。

気持ちが良いのでそのまま川沿いを歩く、幣舞橋からの夕陽も良いけれど、人もまばらな岸壁から夕暮れを眺めるほうが好きかな。

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少し前に旅行を計画して夕陽を眺める予定を立てて、実際に綺麗に晴れて夕陽を眺めることができる確率ってどれくらいなんだろう。よくわからないけれど、何度も言うけれど、晴れてよかったし我ながら良い運持ってる。(さすが、昨年夏のイタリアに6日間滞在して雨がそのうちたった30分というラッキー女だ)

幣舞橋の横にあるフィッシャーマンズワーフMOOは相変わらず何もないけれど、それでもなんだか楽しいと思えるようになったのは大人になった証拠かな。

夜は大人らしくお寿司を食べたりバーに行き私が一人でショートカクテルを飲みひたすら喋り倒し、ホテルに帰る前に寄ったコンビニで檸檬堂が札幌製造だったので思わず購入したら埼玉工場のものより美味しいなど、そんな夜でした。別に何の秘密もないし、なんてことない会話だけど、食事のときにした話は持ち出さない主義。
そういえば、「ビールの銘柄がアサヒとクラシックあるけどどっちにする?」って聞いたら、何を言ってんだお前ここは北海道だぞって顔をされたのが面白かった。道民にとってサッポロクラシックはいつでも選べる選択肢の一つなので。

翌朝は7時起床。旅行の朝は早い。ディズニー行くときほどではないけれど。本当は6時15分くらいに起きて半から朝食の予定だった気がするけれど、前日はしゃぎすぎたせいか、気まぐれ不眠症が発動したのか、全く眠れない。ずっとベッドにいたのに寝付いたのは深夜で、そこから寝たり起きたりを繰り返していた気がする。
部屋から見る釧路川は霧で、幻想的だな。子供の頃は何も思わなかったのにね。

早々に宿を出て車を走らせます。もちろん運転席には座りません。後部座席。
友人の旅の目的はこの日の最終目的地に行くことなので、今日が本番みたいなところある。みんな今日帰るんだけど。

その前に一つ、謎の無人駅へ。鉄道ゲームを五年ほど続けていると特に興味がなかったはずの鉄道や駅にもわくわくしてしまう。好きが増えるのは良いことだ。

上下合わせても一日の電車の本数が両手でおさまりそうなくらいの路線。次の電車は…5分後。なんと運の良いこと。

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とりあえず写真に収めてみる。北海道の田舎で見る車体だし、別にわくわくしないけど。本州の人が山手線の車体を見てもわくわくしないのと同じような感覚だと思ってほしい。

さて、お待ちかねの目的地、摩周湖へ。釧路から近いと言えど2時間弱くらいかかったんじゃないかな。生まれてから今までの29年間北海道に住んでいるし、なんならそのうちの15年くらい道東に住んでいたはずなんだけど、初の摩周湖。
知っているのは「霧の摩周湖」と呼ばれていることと、昨年結婚した友人が昔話していた「快晴の摩周湖を見ると婚期が遅れる」とかいうしょうもないけどアラサーにはちょっも気になるとジンクスの2つだけ。
どれくらい興味がないかというと、摩周湖に行くと決定したあとも特に検索することもなかったレベル。

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薄々思っていたけれどそこはやっぱり快晴で、霧の摩周湖とは?と思うほど。その代わりにどこまでも広がる深い青。
北海道の青といえば積丹ブルーだと大学時代のドライブで学んだ私ですが、摩周湖ブルーも負けていないんじゃないか。

神秘的で、奥まで見えそうで、これは死んでしまいそうだなと感じた。気持ちが落ちているときに一人でくる場所じゃない。それくらいに美しくて吸い込まれそうな青だった。

なんて、物思いにふけたあとはお土産屋さんでソフトクリーム。天気が良いとはいえ、もう寒いね。

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葉っぱもすっかり秋色で、そういえば10月も半ばだったなと改めて気付かされた、そんな一泊二日の旅でした。
この旅で久しぶりに会えた全ての人と行きも帰りも運転を頑張ってくれた同居人に感謝を告げ、旅の記録おしまい。

自分で読み返す気にならない、長文はやっぱり向いてないけど、心の整理でした。なかなか遠出することもできなかったので、心に栄養がしみわたりました。明日からまたがんばろう。

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