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とあるルーマニア人からの問いに、答えはあるのだろうか

「野球ってさ、ピッチャーとバッター、どっちが大事なの?」

月曜日深夜、しばらく連絡していなかった友達からのチャットに気がつく。内容は近々野球を見に行く予定はあるか?というもの。理由を聞くと、飲み屋でたまたま隣合って仲良くなったルーマニア人が野球を見たいと言っているが、自分が案内できないので、案内できる人を探しているのだという。
元々の観戦予定日に離れた席を案内することも考えたが、ダイナミックプライシング野郎様のおかげでチケット代は通常の2倍。翌日はほぼ定価だったため、急遽観戦予定を増やすことにした。

顔もわからないし、喋ったこともない、しかも外国人カップル(奥様が観戦前日に来日)を神宮球場に案内するなんて経験値を積める体験はもう2度とないだろう。
ウキウキで傘3本をカバンに詰め込み、3人分のビールの滝避けビニール袋をおりたたむ。
銀座線外苑駅前で数年ぶりにインストールしたWhatsApp のアプリを開くと、
「ヘッロ〜!ウィーアーヒア!」
なんて便利な世の中なんだろう。ドトール前で待っていた彼らとすぐ合流し、人波に流されながら球場外周を案内して席へ向かう。

道すがら奥様から聞いた情報によると、ルーマニアでは、やはりサッカーが1番人気、その次がバスケなんだそう。
ご多聞にもれず、野球をやっている人など皆無。英語でBaseballということ以外は、本当に何も知らないらしい。

「でも、日本で1番人気のスポーツ観戦をしてみたかったんだよ!」

そんな野球ファンの心を鷲掴みにされる一言を言われたら、つたない語彙力をつなげて、どんな質問にでも答えようと頑張ってみる。
なんてチョロいんだ、私。

「あの女性は何を売って回っているの?」
ビールやチューハイを売ってまわっているよと教えると、いくらでも飲めるじゃん!と早速奢ってくれる。
なんていい人…(チョロい)

「アウェイ(ビジターチーム)側にも歩いて行けたけど、フェンスで区切っていなくて危なくないの?ルーマニアのサッカー場はデフォルトでわかれてるし、アウェイチームはホームチームのファン全員が帰るまで1時間くらい球場で待ってないといけないんだけど!」
たまにいざこざすることもあるけど、警備員もいるからまぁ大丈夫だよ。あっち側(内野席)なんてMIXだよ、Hahaha!

「あの白くて四角いやつ(ベースのこと)を全部踏んで回れば点数入るんだよね?グラウンドに落ちないで直接取ったボール(外野フライ)とか、ベースの近くでボールを取られた時(内野ゴロ)に、全力でベースまで走らないのはなぜなんだ?」
それは怠慢走塁といって…ゲフンゲフン

目をキラキラ光らせながら少年のように質問してくる彼に、1イニング見終わった時に聞かれたのが冒頭の質問である。
本当に生まれて初めて野球というスポーツを観戦する人に無邪気に聞かれて、私は答えに窮してしまった。

ピッチャーが大事派
野球はピッチャーが球を投げないことには始まらない。ピッチャーとキャッチャーとが、チーム戦略に基づいて投げ、試合をコントロールする。
田中将大がヤンキース所属時代に、「THE GAME(支配者)」と評されていたことも、まだ記憶に新しい。
援護点がもらえるかどうかはバッターの調子次第という不確定要素が多い中では、やはりピッチャーが試合を作ることこそ大事なのではないか。

バッターが大事派
どれほどピッチャーが好投したとしても、点数が入らないことには勝ちはない。引き分けという制度はあるけれど、年間143試合全て引き分けで終わるはずもない。
自軍のピッチャーが打たれてしまった以上に打ち勝ちゃええんヤ!

ついに、自分の中で2人のヤクルトファンが争いを始めてしまった。
もちろん投打のバランスが噛み合って勝てるゲームばかりなら、それに越したことはない。
だが、推しのヤクちゃんは、火ヤク庫大爆発デーの日もあれば、雨で導火線が湿って全く打線に火が付かずな日もある。
FUJIYAMAもびっくりの乱高下である。
その結果、今年は実家のような安心感のある定位置に収まりそうな雰囲気を漂わせ、ここ2年で急に増えたファンの振るい落としにもかかっている。

バランスが大事なことはもちろんわかっているのだが、「野球を初めて見る」人への答えとして、果たしてどちらが適切なのでしょうか?

#ヤクルトスワローズ #Enlightened #swallows