見出し画像

歩みつづけるテキスタイルデザイン

今回は福岡市博物館で開催中の「創業200周年記念 フィンレイソン展-フィンランドの暮らしに愛され続けたテキスタイル」を見に行って参りました。

フィンランド、そして北欧のテキスタイルデザインというと、暮らしに寄り添った明るく楽しいデザインが印象的です。展示では、その人々に寄り添うテキスタイルデザインを裏付けるともいえる老舗企業の軌跡をたどることができました。

おおよそ200年前の1820年、フィンランドの都市タンペレで紡績工場からスタートしました。そして1860年代、フィンランド初の女性雇用を実現、タンペレの人口の三分の一を雇うなど地域社会に大いに貢献しました。この時期から、特に女性に人気のテキスタイルブランドへ、そしてファミリー層にも人気のデザインへの道のりを歩み続けているのかもしれませんね。

紡績工場として、糸のサンプルや生地サンプルも展示されていました。    その中には「フィンレイソン通貨」なるものも。戦争による通貨不足を解消するために、フィンレイソン社独自の通貨を発行。この専用通貨で給料を支払っていたそうです。そしてこの通貨は市内の商店の一部でも利用できたとのこと。工場の敷地内には病院や図書館、学校を設置するなど、社員の福利厚生の充実…現在の先進国フィンランドにつながる、社会と人々の暮らしに寄り添った仕組みが出来ていたのです。

画像1

画像2

画像3

それまでデザインは外注で頼んでいたのを、デザイナーを登用し社内でオリジナルデザインを生み出していくようになります。

フィンレイソンで有名なデザインのひとつが「エレファンティ(象)」ですが、展示会場内で個人的に気に入ったものがこの3つ。どこか懐かしさを感じる温かみのある暖色系のカラー。このテキスタイルが家に飾ってあったら「こもり生活」も充実したものになりそうです。わたしの好きな「民藝」につながる生活の美を感じられます。

そしてもうひとつ気になったのが「未来へつなぐ」デザイン。

画像4

フィンランド全土から回収された古いシーツをテープ状にカットし、それを裂き織りのマットやラグへ商品化。このサスティナビリティな仕組みは、繊維廃棄物と焼却量の削減へとつながっています。もし日本でも同じ活動があったら、こんなカラフルなラグになるのでしょうか…フィンランドのテキスタイルカラーの縮図のようにも感じられました。

日本にも伝統の技術なども生かされている、フィンレイソンのような「ともに歩み続けるテキスタイルデザイン」が多く存在しています。もっと多くの人々にまずは知っていただきたいなと思います。そんな記事も今後は投稿していければと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?