偏見的な見方の指導を変えたい。
この記事では、未熟ではありますが私の考える「個性と意志を尊重した、個人に合った稽古で一人一人を育てる少年指導」についてと、普段実践している事を書きたいと思います。
※注意
私が指導・稽古をさせていただいている環境やレベルの中で、道半ばの私に出来る最大限のサポートやアプローチの実践記事であって、「これが絶対に正しい!」「どの世代にも通ずる!」…という記事ではありません。
稽古には来るけど乗り気じゃない。
楽しくなさそう。
稽古に来るのを嫌がる。
…そんな剣士があらわれた時、皆さんはどうしますか?
私は、自身がメインで指導させていただいている稽古グループを、勝手に「チームあやめ」と呼んでいます。ここでは、多いときは10人以上の初心者(3歳〜低学年)剣士たちと一緒に稽古しているんですよ。
(↑2歳のミニ剣士が面を打つところ。現在3歳)
この「チームあやめ」には、単に初心者や低学年の剣士だけでなく、最初に書いたような、
「稽古には来るけど乗り気じゃない、楽しくなさそう、稽古に来るのを嫌がる」
…そんな剣士たちが、周りと自分を比べず、自分のペースで稽古ができたり、「合わないから辞める」という極端な選択をしなくてもいいようにするための場でもある…という意味を込めています!
人が剣道を辞める理由は様々ですが、特に小学生くらいの剣士が辞める理由って、大きく分けると「合わない(楽しくない)ので辞める」、「卒業まではするが、その後は続けない(辞める)」の2つになるのではないかと私は考えています。
剣道は確かに楽しいことばかりではありません。
特に、直接打ち合う対人競技ですから、合う・合わないが他競技に比べてやや極端になってしまうのも無理はないです…。
ですが私は、「合わなかったんだね」「まぁしょうがないよね」「大人しかったもんね」…と簡単に諦めるつもりはありません。
さて、こんなものを作ってみました。
下の表は、「辞める」という判断に至るまでのプロセスを表しています。数字を打っていないので、説明するとこんな感じです↓
①「スタート」→「よくある指導」→「辞める」
②「スタート」→「目指したい指導」→「チームあやめの場合」→「どうしても合わないから…」→「辞める」
(小さいので、ズームしていただけると…。アプリだとズームができません。)
いきなり「辞めたい」と思うよりも、「なんか楽しくないな」「最近つらいな」「今日は行きたくないな」…と少しずつ思い始めるほうが先ではないでしょうか?
私は、「辞めたい」という気持ちを大きくしていくのは、本人が最初に感じた「楽しくない」「合わない」気持ちが膨らむというよりも、その気持ちを、周囲の…特に大人の言葉や態度が助長している場合が多いのではないか?と考えています。
「楽しくない」「つらい」…そう思いながら稽古に参加していると、自然と動作や表情、態度に表れますよね。動きが遅くなったり、声が小さくなったり。
それを見た指導者は当然、「動きが遅いぞ、もっとはやく」「声を出せ」と指導しますが、言ったその時は出来たけど、その後が続かない。なんだか元気もない。
…では、その時どうするのか?
「チームあやめ」…つまり私は、このようにしています。
要は、私の指導させていただいている「低学年・初心者組」で、私や他の仲間たちと一緒に、たのし〜く稽古をするということですね(楽しいからといってただ遊んでるわけじゃないですよ)。
私が絶対的な味方になる。実践しているのはたったそれだけです。
剣士には色々聞いたり、無理に説得したりしない代わりに、保護者の方とは(なるべくですが)しっかりお話をします。
そこで、その子の「稽古に来る前後のストーリー」を知ることができますし、それを知った上で私はどのような声掛け(指導)をしたのかなどを話し、本当の意味でその子の背中を押したり、共に歩んでいきたいと思っているからです。
最近あったのが、その子がよくふざけているのもあって、ただ遊びたいだけ・だらけたいだけなんだと思っていたら、実は、剣道の前にも習い事を一つやって来ていたとか、来る前に嫌がっていたけどなんとか来てくれたことが、保護者の方とのお話でわかったんです。
剣道は、たかが1時間半〜2時間程度の所詮習い事なのかもしれませんが、私はそれを聞いて、彼の周りを巻き込むはしゃぎ具合に、「だから集中が極端に切れやすかったのか…単純に怒っても効果がないわけだ」…と納得がいきました。
この図は、少年指導で私が今一番問題視していることを出来るだけ簡潔にまとめたものです。特に一番下の▶︎マークのところに注目していただきたいです。
例えばさっきの彼(私の生徒)は、嫌なのに頑張って稽古に来てくれたわけですよ。
そこで私は、「どうしたら楽しんで来てくれるかな?何が嫌なんだろう?どうしたら心を開いてくれるかな…」と思考を巡らせていました。
ですがここで本当によくあるのが「甘えるな」です。
「楽しくないな」「行きたくないな」っていうのは、「辞める」という選択に対し、最初の段階の気持ちですよね。この最初の小さな気持ちに対し、「甘えるな!」「根性がない」と頭から否定されたら、当然もっと行きたくなくなります。
それから次によくあるのが「他の子と比べる」。「同じ学年の〇〇ちゃんは頑張ってるよ?」「みんなもやってるんだから我慢しなさい」
そう言ったら跳ね返してくるとか、「跳ね返してくる子が見込みのある子だ!」なんて簡単に思わないでほしいです。確かにそれも一理ありますが、全ての子どもに適応されるかと言われればそうではありませんよね。
励ますつもりでも、子供の頃に言われた何気ない台詞は、いつまでも心に残ります。時には「劣等感」「罪悪感」として。
「同じ学年の子は出来てるのに自分はできない、ダメなんだ」「親は、自分より〇〇ちゃんの方がすごいと思ってるんだ」「どうせ自分なんて…」
…私は、自分をそんな風に思って欲しくはないです。勿論、勝負の世界でもありますから、時には勝ち負けの結果もついてきます。
ですが、人と違うから、人と同じように出来ないからといって、自分がダメだとか下であると思う必要は全くないと思っています。
逆もまた然りで、人と違う、同じように出来ない人を、ダメなやつだな、自分より下だなと思うような人にはならないでほしいです。
それに、そういう気持ちの波やスランプのような時期って、大人にだってありますよね。
大人は経験がある分、その時の稽古配分や感情などを調節することができますが、小学生くらいの子は初めてのことばかりなんです。
それは剣道の技術的なものだけではなく、それに対する感情などもそうです。
私は生徒達に、「剣道を通して自分の意思で、意欲的に、個性や能力をドンドン伸ばしてほしい」と思いますし、「人の個性や価値観を尊重する人」になれるよう、先に生まれた私が一緒に学びながら伝えていきたいです。
(おわりに…)
「辞める」と言った剣士に対する対処法で本当によくあるのが、
「やる気がない」→「稽古に来なくなった」→「辞めると言っている」
というプロセスがある中で、最終段階の「辞める」でしか動かないこと。これが大きな問題の一つだと思います。「細かな変化に気づけ!」「行動が遅い!」と指導しておきながらです…(年齢や状況にもよる)。
剣道は「人間形成」の場。剣は心なり。挨拶をしろ、礼儀正しくしろ、「人に優しく自分に厳しくだぞ」「剣道が強くなるんじゃなくて、剣道で強くなるんだぞ」
…なんて立派な事を口では言っておきながら、実際には目の前の剣道をすることしか頭にない指導者が多いことに、自分は危機感を感じています。
しかしながらそれを変えるのはとても難しく、膨大な精神エネルギーや気力、そしてなにより時間を必要とするので、メンヘラちゃんの私には出来る自信と覚悟がありません。
だからちまちまと行動できる範囲で・確実に行動しているのです…。
以上、あやめ先生でした。
後半かなり熱くなってしまいました。失礼な文章になっていたら申し訳ありません。
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