環境によって「個」のレベルを引き上げる。
剣道は大きな声を出す競技ですが、初心者の大人しい子に発声をさせたり、更にはそのボリュームを上げてもらうのってかなり難しいですよね…。
今回の記事では「初心者の大人しい子」の自尊心を尊重しつつ、自己肯定感を高めながら指導するにはどうすればいいかについて、考えながら実践していることをまとめてみます!
単に、「剣道は大きな声を出すから、あなたも大きな声を出しなさい」と指導することもできますが、私はあえて別のやり方で初心者の大人しい生徒にアプローチしてみることにしました。
この記事の主人公は、私の指導させていただいている低学年メインの初心者稽古グループ「チームあやめ」の仲間で、初心者剣士のとっても大人しい女の子です(以下、Aちゃん)。
Aちゃんの声を今より少しだけ大きくするために行ったのは、チームあやめ全員の士気をあげることです!
いつもの打ち込み稽古の前に、こんな声かけをしました(大体いつもこんな声かけだけど…その時々で工夫しています)。
「よ〜し!今日は寒いし、最初の挨拶→打つ→最後の挨拶まで、全部めっちゃ大きい声でいこか!誰が一番大きいかなぁ?」
チームあやめは元気すぎる低学年が主体です。後ろではお父さんお母さんが見ているので、こんな感じで言えば「ボクが1番だ!」「お父さん見てろよ!」と言わんばかりに大きな声を出して頑張ってくれるんです!
〈あやメモ1. 生徒の特性を理解する〉
しかも声は、難しい技術も体格も必要ないので、誰でも1番を目指すことができるんですよ♪(発声となると変わってきます。)
そんな感じで声をかけたら、トップバッターに一番大きな声を出せる1年生を配置し、Aちゃんを真ん中〜後ろから2番目くらいに挟んで、最強に元気のいい打ち込み稽古を開始します。
〈あやメモ2. 順番は、一番前もしくは一番最後だと、全員が注目していて緊張したり、プレッシャーになりがちなので敢えて避けています。〉
要は、恥ずかしがらずに声を出せてしまう環境を作っちゃうってことです。
全体の発声を大きくすることで、大人しいAちゃんの声を無理なく・自然に、いつもより大きくする作戦です。
そもそも「大きな声での発声」は、今のレベルで言えば技術的な問題ではないです。だからこそ難しいというか…。
大きな声を出すことに対する「恥ずかしい気持ち」に勝ち、さらに「抵抗」を無くしていくっていうのは、要するにこれまでの自分の性格を変えるということですから、本人にとってはかなりの勇気が必要ですし、こちらはそれを理解した上で粘り強く見ていく必要があります。
この方法でAちゃんは勿論、いつもは途中で眠くなってしまって声が出なくなる4歳の女の子までもが、いつもより大きな声を出すことができました。
声があると打突にも力が加わるので、いい打ち込みに「おっ」と思わされましたね。
当然周りからすれば彼女たちの声はまだまだ「小さい」と思いますが、現段階では周囲と比べてどうなのか?ではなく、その子が前の稽古やさっきと比べてどうなのか?で見るようにしているので、彼女たちは少しずつ確実に成長していると自信を持って言えます。
大きな声での発声は、恥ずかしくてなかなか出来ない子もいれば、最初からできてしまう1年生もいます。もっと言えば3歳や4歳でも。
ですが、最初からできるのは良い(エライ、センスがある)、最初から出来ないのは良くない(ダメ、センスがない)などと表面的な部分だけでその子を判断・評価していたら、剣士たちの秘めた素晴らしい才能に気付いたり、それを伸ばしてあげることが難しいのではないかと考えています。
たった1時間半〜2時間の稽古で複数人の生徒を指導するので、集団で動かしつつ個人を見て、それに合った声かけや配慮をする「一人一人を育てる細かな指導」は、正直難しいと思う時もあります。
ですが、生徒たちが剣道を通じて人として成長できるよう、まずは私が頑張りたいと思います!
<おまけ>
「全国レベルの最強に前向きな声かけ編」
生徒たちが、常に前向きに、常に小さく成長していけるように、なるべく肯定の指導を心がけています。
これは毎日3部練、年間1,000試合をこなして全国選抜を優勝した、私の中学時代のチーム内で実践していた声かけの一つです。私たちは、チームメイトの試合の応援で否定的なこと(言い方)を一切言わないようにしていました。
例えば試合中に足が動いていない場合、「足が動いてない!」「止まってる!」ではなく「動かすよ!」「止めないよ!」というように、少しでも肯定的な言い方に変えていたんです。…あっ、勿論監督は別ですよ(笑)
これを活かしています。
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