いまは、前を向けない時期


追い詰められて、つらいわけではない。
悲しくて死んでしまいたいわけでもない。
むしろ、日々は以前よりも整っている。
そして、ただいつも通りの日々を、いつも通りの手順でこなしている。
けれど、前を向けない。
そんな瞬間が、ある日突然訪れたのだ。

その感情は、「あれ」に近い。

子供の頃、冬は夕方四時半に帰宅のチャイムが鳴って、友達たちが一人ずつ別の道へと分かれて、最後に自分一人が残ったときの気持ち。

人の少ない駅から乗った最終電車の静けさ、お気に入りの音楽を止めてそっとイヤホンを外す時の気持ち。




寂しいから前を向けないのか?
なんとなく暗い気持ちで一日を終えて、少し暗い音楽とともに眠る。

いつからこの調子なのかは忘れたが、最近はずっとこんな感じだ。

けど、だからと言ってそれ以上の辛さにはつながっていないし、本当にただただ歩き出せないだけなのだ。


この一年は、とにかくずっと歩いてきた。
少し辛くても、今日を乗り越えれば明日は楽になっているかもしれないと思って、毎日頑張ってきて、私は少しだけ強くなれた。

一度止まると、また歩き出すには時間がかかる。

平常心を保ちながら歩くことを意識するのは、すごく気力が必要だけれど、私たちは当たり前のようにそれらを意識して生きている。


後ろを振り返りながら歩く時期があっても、歩いていればいいんじゃないだろうか。

うん、きっとそうだ。



この寂しさと、心の中にかかった灰色のもやが消える頃には、創ることをもっと楽しんだり、明るい音楽を好んで聴くことができるのだろう。


今は、ただ、そういう時だから。

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