檸檬

岡本信彦さんが読む「檸檬」を聞いた。
声優さんの声が好きだけど、オーディオブックと言う方法があることを今の今まで気が付かなかった。何もラップとアニソンと懐メロを聞くためだけのAppleMusicじゃなかったんだ。
オーディオブックは良い。好きな声が聞ける。本を手に取って読まずとも良い声で代わりに読んでくれる。皿を洗いながらでも風呂に入りながらでも、なんならゲームしながらも聞ける。便利。

檸檬。ある体の弱い、金も持たない男。世界に煌めきを見いだせなくなり、今まで心踊っていたことにも興味を失い、つまらなく日々を過ごし、現実逃避したがっている男。その男がひとつの檸檬を見つけて購入し、その色彩や香り、感触に触れるうちに、瑞々しさを取り戻していく。最後には、店内に積み上げた本の頂上に「爆弾」として悪戯に檸檬を残していく。そんな話。

羨ましい話だ。なんか面白いことでも無いかなぁと思うことすらなく日々を消費していく私。私も檸檬を買えば日々に少しでも色を取り戻せるだろうかと帰りのスーパーの青果売り場を歩いてみたが、売られているレモンは全てびっちりとラップに包まれ香りも僅かにしか感じられず、その単純な黄色も別に私の心を擽るものではななく、毎日料理をするという習慣のない私が買うにはハードルの高いただの生鮮食品だった。その代わりコンビニだと130円ほどするカップラーメンが100円で売っていたので6個まとめ買いした。現金なヤツだと思う。

いつからこんなに濁ってしまったんだっけ。そういえば、猫が恋しい。猫と暮らしたい。だがもう猫との別れは懲り懲りだ。

どうにもならない。

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