見出し画像

クセ強紙が使えて嬉しい話

こんにちは、あやはなです。
先日名刺を新しく作ったので、ネット印刷のプリンパさんに印刷をお願いしたのですが、きれいに出来たのでと、制作実例として取り上げて下さいました。嬉しいな〜。

ハーフエアコットンという用紙を選んだのですが、ふんわりとした風合いのある紙で、全面にインクを乗せたので、白い紙の時とはまた違った印象になって面白かったです。
ハーフエアコットンは和紙というわけではないのですが、ちょっとザラッとした肌触りが、和物のデザインとの相性もいいなと思いました。

和紙って!

和紙って要はなんなの?っていうと、多分繊維とか漉き方の話になると思うので詳しくは説明できないのですが、和紙じゃなくてもTHE和モノに使ってください!って感じの用紙って、なかなか使えないんですよね!
和紙に限らず、和綴じ(製本の仕方)とか、フォントの勘亭流とかもそうなんですが、和っぽい意味が出すぎちゃって、本当にそういう風にしたい時にしか使っちゃいけない気がして(全然そんなことないんですけど)、今までほとんど使ったことがありませんでした。

昔から同人誌をブリバリ作っていましたし、仕事でも紙を選んだりということは沢山ありましたが、「ここぞ」ってときが全然こない。
紙ってこんなに色々あるのに、なんか今回はこれじゃないんだよなあ…。またいつものこっちにするかな。ウーン悔しいな…使ってみたいな…ってずっと思ってました。選べないのは私が保守的ってのもあったと思いますが。

そんな時に歌舞伎ブームが到来しました。
ヤッタ!使い放題じゃん!いつ使っても完全に大勝利ジャンルきた!って感動しました。私の「ここぞ」はこのために取っておいたんだって。
で、漫画描くぞ、本を作るぞ、紙を選ぶぞ、ってなると、これまたなぜか選べないんですよね…。

意味よりも絵やデザインに合った用紙が良いんだなぁ

結論を言うと、和モチーフの絵を描いているんだけど、目に止まる用紙や、自分の作品に合わせてみたいって思う紙が、別に和を主張していなくても大丈夫だったということ。
「和っぽさ」はあるんですよ。いわゆるファンシーペーパーと呼ばれる、装飾性の高い用紙を使いたいって気持ちが私の中で高まったのは、確かに歌舞伎の影響があったと思います。名刺で使ったハーフエアコットンだって、和紙っぽいまざりものを感じるところがすごく好きでした。昔だったらバルキー止まりだったと思う。
でも、例えば竹のような筋の入った紙、水面を表現したような模様の紙、金粉を散りばめたような紙よりも、こっちの大仏の表面に生成された緑青みたいな紙の方がカビ臭そうで絵に合ってるな!って断然感じるんですよね(これはファーストヴィンテージ_シルバーという紙)。

昔から和紙に抱いていた憧れは、そういうデザインができるようなまたの機会に持ち越しになったのですが、私の中で「和」から「歌舞伎」にメニューをプルダウンすると途端に、どんなデザインを選んでも受け止めてくれる無法地帯コンテンツに早替りします。

蛍光ピンクとか使っちゃいなよと耳元で囁かれる

私のイラストの傾向は、歌舞伎の絵を描き始める前も後も、そこまでは変わってないと思います。
昔から色数はより多い方が好きだったし、現実的な固有色はあまり気にしてなかったし、原色よりも少し混ざりっけのある色が好きで、デザイナー1年目の時は色を数値管理するのがすごく下手くそで困難でした。
そういう自分の作る作品の、好きなところも嫌いなところも歌舞伎は、それでイイジャン!なんでもイイよ!って言ってくれているような気がします。
懐が深い。中の人たちの破天荒さも背中を押してくれてる気がする。

浮世絵や日本画は、まったく地味なものではないと思っていますが、それこそ油絵みたいな物理的に厚みがあったり、濃い匂いがするようなものとか、抽象画みたいな色や形だけを純粋に追いかけたジャンルのものでも、歌舞伎ってわりと溶け込んでいけると思うんですよね。
ほんとに良い意味で無法地帯というか、最高なんですよね。突然語彙が死ぬくらいに。

和紙とか和紙じゃないとか、意味とか、まあ適当でいいよ。
それより次の名刺はTOKA VIVAの蛍光ピンクとか使っちゃえば?って言ってくれるような歌舞伎って本当に日本の誇る超イカした文化。
和人に産まれた今世に感謝。

本日はこれぎり