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#64 胃酸が分泌される仕組み

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

前回は「胃の役割」についてお話ししました。

なぜ胃は痛くなるのか?

様々な原因が考えられると思います。

暴飲暴食、ストレス、喫煙、寝不足、カフェインや刺激物の取りすぎ、そして薬…

このような原因により、胃で分泌される攻撃因子と防御因子のバランスが崩れて症状が出ると言われています。

もちろん、この原因を取り除くということがまず最初にやるべきことですが、今回はそのような症状で使われる薬についてお話ししたいと思います。

胃薬は大きく、攻撃因子を抑制するものと、防御因子を増強させるもので分けられます。

つまり、

こんな感じです。

●攻撃因子を抑制するもの

攻撃因子といえば、「胃酸」ですね。

まずは、胃酸がどのようにして分泌されるのかを見ていきましょう。
(あとでざっくりまとめてるので、すっとばしてOK)

胃酸の分泌には、ヒスタミン(H)、アセチルコリン(M)、ガストリン(G)という3種類の物質が関わっています。
(アセチルコリンにはニコチン性とムスカリン性があり、今回はムスカリン性なのでM)

胃の粘膜細胞(壁細胞)に存在する受容体(H2、M1、G受容体)がヒスタミンなどそれぞれの物質と結合すると、プロトンポンプと呼ばれるところからプロトン(H+)が放出されます。

そして別のところからはCl−が放出されて、H+とCl−が合わさることで、胃酸(HCl)が分泌されると言うわけです。

はい、よくわかんないですよね。

簡単に言うと、

アセチルコリンなどの物質が胃粘膜細胞にある受容体と結合すると、プロトンポンプに作用して、胃酸が分泌されます。

(通じた?)

今回のポイントは「プロトンポンプ」

聞きなれない言葉だと思うけれど、胃酸分泌においては重要な単語。

なぜなら現在、胃酸の分泌を抑える薬としてよく使われているのこの2種類に関係するからです。

●プロトンポンプ阻害薬(PPI)
●ヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)

【プロトンポンプ阻害薬(PPI)】
胃酸を分泌するプロトンポンプの機能を直接阻害して、持続的に胃酸分泌を抑制

【ヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)】
胃粘膜細胞に存在するヒスタミン受容体(H2)を遮断することで、プロトンポンプ刺激作用を抑制
→胃酸分泌を抑制

こんな感じです。

どちらの薬剤も、プロトンポンプから胃酸が分泌されるのを抑える、という効き方をするということです。

今回は、「胃酸が分泌される仕組みと、胃酸分泌を抑制する薬」についてお話ししました。

疑問質問あればお気軽にご相談ください。
あやこのお薬相談室

みなさんのヘルスリテラシーが向上するために、少しでもお手伝いができますように。

参考:薬がみえるVol.3
各製薬会社HPより薬剤写真引用

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