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写真を撮っていて泣いてしまった話

南阿蘇鉄道というローカル線があることをご存知でしょうか。
熊本県の南阿蘇村と高森町を結ぶ鉄道で、国鉄から路線を移譲された第三セクター「南阿蘇鉄道株式会社」が運営しています。2022年12月現在運行しているのは中松駅から高森駅の間のみ。7.1kmを30分くらいかけて走る、車に抜かれる列車です。
この南阿蘇鉄道は、もともと慢性的な赤字体質で経営が苦しかったのに加えて、2016年に起きた熊本地震で大きな被害を受け、未だ半分しか復旧できておらず、全線開通は2023年と言われています。現在は夏の間のトロッコ列車や、ワンマン運転の運転士が道中スピードを緩めながら沿線の名所の案内をするという観光色の強い列車として運行されています。

2022/12/25 11時ごろ

この南阿蘇鉄道は、熊本地震で大きな被害を受けた時、キリンビバレッジが支援の手を差し伸べ、午後の紅茶で上白石萌歌さんを起用したCMを、2016年から3年間放映しました。記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私はこのCMが大好きで、どうにかしてロケ地に行けないものか思案していたのですが、今回年末に思い切って行くことにしました。雪が降って九州の高速が止まった日に。深夜1時にホテルに着きました。

そうして着いたわけですが、翌朝も粉雪がちらつく天気で、厚い雲が空を覆い冬の山岳地帯っぽい天気。私は中国地方出身ですが、大山っぽいなあとか思ってました。気温も4℃くらいでしたが、気温より問題なのは列車の本数で、南阿蘇鉄道は1日3往復しかしないため、撮るチャンスが本当に少ないのです。

うち2本は撮影ポイントに来るのが10時50分〜12時20分のため、天気的にはほぼ同じ感じになるので、天気の回復を待つとしたら15時台の列車に賭けるしかありません。

ちなみに11時台の様子はこちら。

雪だるまがかわいい
クリスマスに彩られていました。奥に見えるのは運転手さん。

ちなみにこれは高森駅で、駅の中には売店があり色々なお土産が買えます。また、小学館の漫画家113人が寄贈した応援色紙や、ONE PIECEのフランキーの銅像があります。

そうして今回撮影に臨んだわけですが、15時になっても雲は厚く、太陽の光が届くかどうか本当にわからない、というか結構めちゃくちゃ難しいんじゃないかなという状況で、最後の便が始発の中松駅から警笛を鳴らしてやってきました。その瞬間。



南阿蘇鉄道のことを私なんかは何も知らないんですが、苦しいであろう経営のこととか、高森駅がいろんな漫画の色紙で飾られていてみんなに応援されていることとか、クリスマスに列車をイルミネーションで飾り付けてお客さんを楽しませようとしていることとか、復興に向けて頑張っていることとか、いろんなことが混ざって、しょうもない話なんですが、この光景を見ながら泣いてしまっていました。こんなに感動的な場面に出会わせてくれた列車は生まれて初めてで、こんな風景自体今後見ることができないんじゃないかとすら思いました。それは、南阿蘇鉄道を取り巻く状況と、希望にあふれた光がリンクしたからに他なりません。私ができることはトロッコショコラを三本買うとか、列車に乗るとか、本当に小さなことしかないのですが、それでもできる限り支援を続けていきたいと思いました。

光射せ、南阿蘇鉄道。

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