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帰国後の変容について

日本に戻った後は通常どおり、仕事に追われる日常にいながら、私は自分に起きた変化を感じていた。しばらくは英語でしか情報を得られない状態が続いたために、とにかく日本語で本が読めるのが嬉しく、ジェットラグで眠れない日も貪るように読み続けた。

読んでいたのはこれまであまり関心を向けなかった、リーダーシップに関する本だ。ハーバード講義録『リーダーシップは教えらえる』は、Winter Intensiveで体験した世界観と通底するところがあった。その他にも、ウォーレン・バフェットの投資哲学書や、会計の考え方、経営マネジメントの基礎を集中して学んだ。

それと、部屋と自分を磨くための時間やアイテムに、これまで以上に十分に投資をするようになった。置きっ放しだった絵画を壁に飾り、お気に入りの雑貨を並べて、ワードローブを整理し直した。自分にとって心地良い場所や時間を確保することの重要さに気が付いたからだ。世界を変えたいと思うなら、まずは自分を整えること。そんな意識が芽生えたのだ。

また、無性に春を感じたくて、桜ばかり見ていた。

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日本的なことをもっと味わいたい。どっぷりと浸かりながら客観視する視点も、どちらも欲しい。自分が色濃く持っている日本の文化をより詳しく、もっと相対的に知りたいと思うようになった。

ダイバーシティでの学びとは、他山の石で磨かれること。他者と出会うことで自分自身を強く意識できるようになる。マイノリティとしての私が感じていた抑圧は、私がどんな文化の中でどういう教育を受けてどんな宗教や哲学を持っているのか、私を形づくる全てに、根をもつものだった。それに、私がリーダーシップを発揮するとしても、根は同じく自分自身なのである。抑圧やリーダーシップを相対化して、自らにより良き変容をもたらすためには、私は私を形づくる文化をよく知り、愛することが必要なのだ。

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共に濃い体験を過ごした仲間たちとは、帰国後も数ヶ月間、かなりの頻度でメッセージのやりとりをしていた。グループ対話で消化しきれなかったもやもやを帰国してから爆発させたとき、学びを消化しながら変容し続ける自分の心理状態の揺らぎが不安なとき、ブリギッタにユアンテ、ネイトやアミールが話し相手になって受け止めてくれた。ポーランドのカーシャからは、可愛らしい日本大好きメッセージが時々飛んでくる。

時々、カップルで参加をしていたイギリス人のカウンセラー、ヘイリーが話していたことを思い出す。文脈は忘れてしまったけれど、彼女は度々、いい含めるようにこう言っていた。

「Lovely messy home. 雑多で愛しき居場所」

旦那さんのオーウェンを「私のクッション」と呼んでいたヘイリーは、どんな家に暮らしているんだろう。知的で笑顔が可愛くて時々かっこいいヘイリー。いつか私の愛すべき雑多な日常と、私のカウチソファーを彼女に自慢できるといいんだけれど。

2019年の年の終わりには、マリエが世田谷パブリックシアターで『青い鳥』の舞台にたった。ポートランドでは舞台女優としての道を逡巡していた彼女。仲間の進化がまぶしい。

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このnoteを書き始めた2020年の年始には、ヘイリーから彼女がマンチェスターで企画したゲリー博士とのイベントのお知らせが届いた。アムステルダムからは同じくゲリー博士と「Sitting in the Fire 火の中にすわる」イベントのお知らせがアミールから。それぞれの人生の中で、共に味わった時間が胎動しているのがわかる。

そういえば、ポートランドに着いたばかりのころ、タエとカフェでコーヒーを飲みながら語り合ったことがある。その時、私はポートランドでの学びの機会で「めんどくさい共生プロセスの中で、アートになにができるのか」を問うことにした。掴めたことはいくつもある。私にも、こうして書くほかに形にしてみたいことが出来た。

経験を糧に、さあまた進もう。

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