見出し画像

カスタマーサクセスにおけるDevRelについて考えてみる

こんにちは。職業「戸倉彩」です。
今年、メインの活動をデベロッパーアドボケイトからカスタマーサクセス(アーキテクト)に軸足を移してからも、DevRel (Developer Relations)を意識しながら、The エンタープライズの世界でDevRelを推進できるよう活動してまいりました。今回は、そうした活動のアウトプットの中でもっとも反響をいただいた「カスタマーサクセスにおけるDevRel」の方程式についてnoteを綴ってみたいと良いと思います。

カスタマーサクセスの方程式

カスタマーサクセスの定義はさまざまですが、因数分解すると「カスタマー 体験 (Customer Experience:CX) 」と「成果 (Cusotmer Outcome: CO)」の要素によって導き出されると考えられています。

さて、ここでいうカスタマーとは具体的にどのような立場の方々を指すのでしょうか。製品採用に関する権限を持っている方、製品発注を担当されている方、製品を利用される方、さまざまな登場人物が思い浮かび上がるケースも少なくありません。しかしながら、もし取り扱っている製品がそのまま利用できるSaaSではなく、製品を利用するために開発者や技術者がインストールや設定、あるいか開発を伴う場合には開発者の体験が非常に重要な鍵を握ることになります。これを、開発者/エンジニア体験 (Developer Experience: DX)と表現することができます。

よりよりDXを提供するためには、従来の企業が情報を提供するだけでなく、企業がカスタマー(エンジニア)と未来を一緒に描き、併走しながら製品のデプロイメントを実施し、カスタマーの成功を導くDevRelの手法がとても役立ちます。その結果として製品活用や利用拡大に繋がることで、自社のビジネスの成長にも直接的に貢献することができます。

DevRelの3C

過去に出版した書籍DevRel エンジニアフレンドリーになるための3Cの中でも紹介している通り、DevRelを実現するために3つのCを念頭に置いた活動は、カスタマーの戦略を導き出すためにも有効であることが今年一年、実際にBtoBに対してカスタマーサクセスを実践している中で分かってきました。ここでは、カスタマーサクセスを主体に活動するカスタマーサクセスマネージャー(CSM)や同等の立場の方々が取り組むべき代表的な例を紹介しておきます。

Code

企業に所属している開発者が求めているコードやリソースのレベル感は案件によってまちまちです。プロジェクトによってSIerが入り構築が行われる場合には、カスタマー/開発者が求めているのは最新の製品情報やロードマップかもしれません。

Contents

CSMによる積極的な情報発信はとても効果的です。カスタマー/開発者のことを理解しているからこそ、親近感の湧くようなアプローチやコンテンツの共有する仕組み作り、タイミングなどを推し測ると自ずとエンゲージメントが高くなります。

Community

近年、個人的にはIT業界でテック系を中心としたコミュニティが発足し、活発に活動が行われている印象がありますが、ラージエンタープライズに所属している開発者の間では意外とコミュニティの存在が知られてない、もしくは参加したことがないというケースが少なくないということが分かってきました。原因としては「周りにコミュニティ参加している人がおらず知らなかった」「企業の規定により参加が許容されていない」などなど。従って、BtoBのビジネスの世界において、コミュニティという言葉を使うことは必ずしも得策ではないかもしれません。一方で、コミュニティを形成するためのノウハウや経験を活かせる部分は多いように感じています。例えば、大企業のカスタマー、もしくは大企業に所属する開発者の場合には、その社内に自社製品を学習するようなコミュニティが作れるような支援をすることも一つのカスタマーサクセスに繋がる活動になるのではないでしょうか。

最後に

「カスタマーサクセス」について情報収集したり、イベントに参加しているとチャーン防止やアダプション促進の話が中心になりがちですが、それは企業側の話であって、カスタマーの視点が置いてきぼりになっているように感じてしまうことがあります。カスタマーサクセスのお仕事は、企業のKPIに基づいた活動が求められること前提で、それ以上にカスタマーとその先のカスタマーの未来を変えられるチャンスに満ち溢れており、DevRelを実践できることで開発者の方々と共創しながら、その確度が高まる可能性を大いに秘めていること、最後にお伝えできたらと思います。

EoF


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?