私の百冊 #00 「はじめに」みたいなやつ
「私の百冊」と銘打ったシリーズを、ひそかに、そろりと、書き始めてみようかと思い立った。そこで、ひとまずメモ帳に、思いつくままに列挙してみたのだが――なんと! 百冊に届かない。やっと30冊ばかりである。あくまでも僕が勝手に選ぶ「私の百冊」なのだから、歴史的な評価や世間的な評判は無視するわけであり、従って、たとえば『カラマーゾフの兄弟』や『吾輩は猫である』なんかは(読んではいるけれど)取り上げられることはない。実際、外部に選択基準を求めれば、百冊なんてあっという間に集まるだろう。
とは言うものの、こうしたものはとにかく書き始めてしまえばこっちのもので、そのうち(たぶん)百冊に到達するという話だ。実際、ノーベル賞作家だろうが打ち切りになった漫画だろうが、連載中だろうが絶版になっていようが、そんなこと、まったく意に介す必要はない。ところが、基準を内側に求めるというのは、大変苦しい作業になるのではないか?と想像される。数えたことがないから正確な数字はわからないのだが、四本の書棚にぎっしりと詰め込まれた(たぶん)数千冊の本が、いま、僕の部屋にあるわけだから。
こうした試みを始めるには、やはり最初の1冊が大切なのではないか、という気がする。ナボコフにするか、プルーストにするか、村上春樹にするか、松本卓也にするか、ル・カインにするか、安野光雅にするか、吉野朔美にするか、オノ・ナツメにするか、はたまた司馬遼太郎にするか――つまり、僕自身が試されているわけだ。
しばらく悩みます。「私の百冊 #01 」という記事が、きっと数日のうちに公開されることを、誰よりも僕自身が期待しているのです。(綾透)
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