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マミー と おにぎり

今ね
多めに炊いたご飯をおにぎりにしてたんだけど。
おにぎりを握っていると
マミーのことを想い出すんだ。


マミーが認知症になって早々に
認知症あるあるの
「わしゃ まだ飯を食っとらん!」
状態になってね。

ちょっと前にご飯を食べてるのに
「あやちゃん(アヤテラスの本名)、わたし、まだご飯を食べてないの。」
って言うようになったの。


ダディは
マミーが認知症になったことを受け入れたくない人だったから
マミーがそんな事を言うと
「何言ってんだ!
さっき食べただろ?
しっかりしてくれよ…」
って怒るんだけど
アヤテラスはそんなダディを 視線だけで諭して

「そっか!
それはお腹空いたね!
じゃ、ご飯前だからおにぎりを食べとこうね。」

って小さな小さな1口大のおにぎりを握って
ひとつあげてたの。
マミーはその小さなおにぎりを両手で持って
嬉しそうにむしゃむしゃ食べて
「あー、美味しかった!
お腹いっぱい!」
って満足するの。
だって本当はお腹空いてないからね。


認知症の人って
アヤテラスが思うに
過去に体験できなかった「何か」を
認知症になることで取り戻し体験をしてると思うのよ。

マミーの場合は
わがまま言うとか、甘えるとか
そんなんをやってたと思うのね。
彼女は実子だけを可愛がる継母に愛情を貰えずに育ったからさ。
だから認知症のマミーにとって
ある意味、アヤテラスが「お母さん」代わりだったんだろな。


認知症になったマミーは
元気だった頃の昭和の耐える女とは真逆になってね。

なんてったって彼女の名言は
ダディに向かって言い放った
「わたしのことを一番に考えないなんて 間違ってる!!!」
だからね ( *´艸`)

多分ずーっとダディに言いたい事だったんだと思う。

こんな事をふと思い出したんで
さっきお仏壇に 小さな小さなおにぎりをお供えしました。


こんなことを書くと
アヤテラスはマミーとさぞかし仲よかったんだろうなって思われるかもしれないけど
実はね、約20年ほど疎遠な時期があったんだ。

というのも、アヤテラスはダディとマミーの実子ではなく養女でね。
それを知ったのが、26歳の時に結婚をした時。
新婚の新居契約に住民票が必要で、生まれて初めて自分で住民票を取りに行ったの。
で、「これが住民票なるものかー」ってまじまじと眺めてたら
続柄のところに『養子』って書いてあってね。
一瞬意味がわからなくて、頭が真っ白になって、そんで呆然となったんだけど
次の瞬間「あ、やっぱりね…」って納得したの。

今思えば、それこそ責任転嫁のひどい逆恨みなんだけど
子どもの頃からマミーとは本当にソリが合わなくて。
お友達の仲良しお母さんがとっても羨ましかった。
実際、マミーとよりも彼氏のお母さんとの方が仲が良かったしね。
だからその時「実の親じゃないから心が通じあえなかったんだ」って納得したの。
現実逃避も甚だしいよね。
本当にひどい、アヤテラス… 


だけどね
アヤテラスがツインショック・アセンションクライシス、そしてファイナンシャルクライシスに陥り、全く働けなくなり、お金もなくなり、もう死ぬしかないって状態になってしまって。
ダディ&マミーを勝手に邪険にして疎遠にしてたくせに
もう自分だけではどうしようもなくなって、2人に泣きながら
「もうわたし働けません。わたしを養ってください。」
って頭を下げた時にね。
すんごく怒られるって思ってたのに
マミーも一緒に泣いてくれて、ダディは目を真っ赤にして
「俺たちが生きている間はどうにかしてやるから心配するな。」
って言ってくれてね。
そこでようやく
三人とも血の繋がりのないへんてこ家族
になる準備と覚悟ができたんだ。


それから
アヤテラスがダディとマミーの子になった経緯や
どうして引き取ろうと思ったのかとか
そんな深い話しをするようになったんだけど
てっきり愛情深いダディが率先して引き取ってくれたと思ってたのに
子どもを授かることの出来なかったマミーの悲願で決めたってことを聞いて
本当に想定外でびっくりしてね。
「あ、わたしは本当のマミーのことを何も知らなかったんだな」
って思って反省したんだ。

それから、マミーの生い立ちや若かりし頃の話を聞いたりして
少しずつ心の距離を縮めていったの。
多分マミーには、実子だけを可愛がる継母に貰えなかった愛情をアヤテラスに注ぎたかったって思いもあったんだろうなって思う。
それが先走り過ぎて、「良い母親になりたい」って気持ちが強過ぎて空回りしてたんだろね。

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※若かりし頃のダディ&マミー。まだアヤテラスを引き取るずーっと前ね。

でもね、それから間も無くマミーが突然 認知症になっちゃって。
やっと分かり合えるって矢先だったんだけど
だけど、むしろこの認知症の介護期間が
アヤテラスとダディとマミーにとって、かけがえのないギフトの時間になったんだ。
ほんとに今思い出しても全てが愛おしい。

この介護体験記は
既に介護中の方にも、これから介護を始める方にも、まだ介護は先の方にも
きっとお役に立てるんじゃないかなって思います。
介護体験記は「愛おしき介護ライフ」というマガジンにまとめます。
アヤテラスとダディとマミーの三人三脚で歩んだ介護体験記
これから楽しんでいただければ幸いです♡


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