見出し画像

【前編】超RIZIN2現地レポ

さいたま新都心駅を降り、改札を抜けると辺りは大量の人で埋め尽くされていた。
7/30、さいたまスーパーアリーナで格闘技の祭典が開催された。



「日本格闘技の聖地」と称されるこの場所で、様々なドラマが生まれてきた。2000年代初頭、「PRIDE」が世界最強を決めるリングだった日本格闘技全盛期から、冬の時代を経て現行のRIZINに至るまで、数多くの名勝負がこの地で生まれてきた。

2022年大晦日に行われた、世界No.2の総合格闘技団体「Bellator(ベラトール)」とRIZINの全面対抗戦はまだ記憶に新しい。あの日、RIZINのリングが世界に開かれた。

そして今回の「超RIZIN2」は、Bellatorとの合同開催だ。前年大晦日の対抗戦とは異なる様相を呈しており、前半がBellatorパート、後半がRIZINパートという、いわば「2大会同時開催」のような構成であった。

人生初の格闘技現地観戦。期待に胸を躍らせながら、アリーナの扉を開いた。


試合前の会場の様子



会場の熱気は、東京の項垂れるような暑さを忘れさせるほどであった。アリーナに入ると、まず会場の広さに圧倒された。眼前には無数の人々が群がっている。

S席、300レベルからの眺め


前方には、巨大スクリーンが広がる。左右に掲げられた、RIZINとBellatorのロゴマーク。団体としてレベル差はあるものの、日本のRIZINとアメリカのBellatorが肩を並べて大会を開くという構図には、一格闘技ファンとして胸にくるものがある。


そして、中央に聳えるのは金網のケージ。
全方位を金網に丸く囲まれたリング場は、逃げ場のない決闘場のような様相を呈していて、日本のロープのリングとはまた別の良さを感じる。

金網のケージリング


定刻の12時を迎え、会場が暗転する。
観客の目線は一挙に中央のケージに集まり、戦いの始まりを前に場内のボルテージは徐々に上昇していった。

そして、いよいよ格闘技の祭典が幕を上げる。
まずは、前半のBellatorパートがスタートする。



Bellator Part


前半のBellatorパートは、試合前の煽りVからリングコール、ジャッジアナウンスまで全て英語でBellator仕様だった。日本にいながら現地アメリカの大会の雰囲気を味わえたような感じがして新鮮だった。
特に、煽りVは英語のナレーションで構成されていて、洋画の予告を見ているような独特のカッコよさがあった。

第1試合
アンドレイ・コレシュコフ×
ロレンズ・ラーキン

ウェルター級ランカー同士の一戦。正直第1試合ということもあって内容はほとんど覚えてないけど、3R通してコレシュコフがグラウンドで制圧していた印象。

試合後に知ったのだが、2人は4年前に一度戦っていて、その時はラーキンが勝ったらしい。コレシュコフは4年ぶりにリベンジを果たした形になる。今回の勝ち星で、コレシュコフはウェルター級ランキング7位に浮上した。


第2試合
マゴメド・マゴメドフ×
ダニー・サバテロ

個人的Bellatorパートのベストバウト。バンタム級でグラップラー同士の一戦。互いに打撃を繰り出しながらも、両者テイクダウンのタイミングを狙い合う緊張感が場を支配していた。

1R前半、サバテロがチョークを狙うも極まらず。再びサバテロがタックルに入るが、マゴマゴがカウンターのギロチンチョークを極め切り1R一本勝ち。

MMA見始めた当初は寝技の展開が単調であまり好きじゃなかったけど、深く格闘技を見るにつれてグラップラーに魅力を感じるようになった。今回の試合はお互いランカー同士の選手ということもあって、ハイレベルな寝技の展開が見ていて凄く面白かった。


第3試合
渡辺華奈×ヴィタ・アルテイガ

Bellator女子格の一戦。この試合は先ほどの第2試合とは毛色が異なり、柔道をバックボーンにもつグラップラーの渡辺と、ストライカータイプのアルテイガという、まさに異種格闘技のような試合。

和風の入場曲をバックに、道着を身につけリングインする渡辺。最近のMMAで道着を着て入場する選手があまりいない印象があるので、新鮮でカッコよかった。

試合内容は、渡辺が何度も極めにかかるも、フィジカルで上回るアルテイガがそれを上手く捌いていた。打撃の展開は終始アルテイガが有効打を当てていた印象があったので、渡辺の判定勝ちは少し後味の残る内容でした…


第4試合
堀口恭司×神龍誠

第4試合は、今大会のメインと言ってもいいBellatorフライ級タイトルマッチ、日本人同士の対決。

堀口恭司は言うまでもなく、日本人MMAファイター最高峰の逸材。かつては世界最高峰の舞台であるUFCでタイトルマッチまで登り詰め、BellatorとRIZINの2団体でバンタム級のベルトを巻いた実績を持つ。32歳とキャリア終盤を迎えながらも、二度目のUFC挑戦を熱望されるほどその実力は未だ衰えを知らない。

一方で神龍誠は、18歳という若さでDEEPフライ級のタイトルを制し、現在10連勝と破竹の勢いでトップ戦線を駆け上る"若き天才"。

32歳ベテランファイターの堀口恭司と、23歳若手の神龍誠の一戦は、試合前から大いに期待された。堀口にとってはこの試合を勝って二度目のUFC挑戦の足掛かりにする大事な局面であり、神龍にとっても世界に通用する"本物"であるかを図る重要な試合だった。

会場が暗転し煽りVが流れると、会場のボルテージは最高潮に達しその日一番の盛り上がりを見せた。

青コーナー、神龍誠入場

ウルトラセブンのテーマとともにメインゲートから姿を現す。ウルトラマンで育った人間なので、この入場はめちゃくちゃアツかった!


赤コーナー、堀口恭司入場

お馴染みの入場曲「My time」のイントロとともに、メインゲートが徐に開く。目の前に、あの堀口がいるということが信じられなかった。日本MMA最高峰の男を生で観れたことは一生の誇りになるだろうと、本気で思った。
UFC再挑戦を控えているであろう彼の姿を日本で観れるのはもしかしたら今日で最後かもしれない、と思いながらその姿を目に焼き付けた。

両者リングインし、いよいよ試合が始まった。ゴングが鳴り響き世紀の一戦が幕を開けると、会場は大きな歓声に包まれた。

どんな試合が始まるのだろうと、誰もが胸躍らせていたが、、、
まさかのアクシデントで堀口の指が神龍の眼球と接触し、眼球負傷によるノーコンテスト。
会場にいた時は本当に萎えたし、これ以降の試合に支障が出るほどテンションがガタ落ちしてしまった。

しかし、今になって思うとあのまま続けるよりは延期してお互い万全の状態で戦った方が賢明だと思う。タイトルマッチで大事な一戦というだけあって、この試合での敗戦は一生キャリアに残るし、「あの目の怪我がなければ…」と何年先も言われ続けるようでは釈然としない。また日本の舞台で万全の状態で2人の試合を観られるのを心待ちにしている。


第5試合
パトリッキー・ピットブル×
ホベルト・サトシ・ソウザ

Bellatorライト級グランプリ、最後の1回戦。
元はピットブル×AJマッキーの予定だったが、AJマッキーが感染症による負傷で欠場し、代打としてRIZINライト級チャンピオンのサトシが抜擢された。

相対するパトリッキー・ピットブルは、Bellator PFP1位のパトリシオ・ピットブルの兄であり、Bellatorライト級ランキング2位の実力者。

※PFP(パウンドフォーパウンド)とは
全階級で全ての選手を同一の体重と仮定した場合、最も強いファイターは誰なのかを示すランキング。


試合内容は、グラップラーであるサトシが得意の寝技の展開に持ち込むため果敢にタックルをするも、ピットブルがそれを切りスタンドの展開に戻すという終始ピットブル優位の展開が続いた。3Rまでピットブルが打撃で優位に立ち、TKO勝利。

直前のオファーということもあって、サトシは本調子ではなかったように見えた。大晦日ではAJマッキーと僅差の勝負までもつれたほどの実力はあるので、もう一度お互いが対策を積んだ上での再戦をぜひ観たい。



思いのほか長くなってしまったので、前後編に分けます。最後まで読んでいただきありがとうございます!後編もぜひご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?