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名詩の絵本①/あやりの本棚

こんにちは!あやりです。
外にいる時に魚を焼いている匂いをかぐと、夕焼けのオレンジを連想してしまいます。
朝、会社に行く時にうっかり嗅いでしまうと、すぐ家に帰りたくなります。

今、お昼休憩に詩のアンソロジーを読んでいます。
1遍ずつゆっくり読んで、なにかいいのに出会ったらその度に感想を書いていきます。
今回話題にするのは、工藤直子さんの『あいたくて』と竹久夢二さんの『宵待草』です。

川口春美 編・鈴木えりん 絵『名詩の絵本』(ナツメ社、2009)

内容まとめ(315文字)
名詩の絵本は編者の川口晴美さんが、今を生きるわたしたちのリアルな感覚を揺さぶってくれるような作品を選んで作ったアンソロジーです。古今東西様々な人の100の詩が絵とともに紹介されています。4章に分けられていて各章にテーマがあります。第1章は「恋するこころ 愛するかたち」です。恋愛の1シーンが感じられるものが集められています。23の詩や和歌、短歌の中にある恋愛を素敵な絵と共に楽しむことができる章です。工藤直子さんの『あいたくて』は、だれかはわからないけどあいたい人がいるという気持ちが表現されています。竹久夢二さんの『宵待草』は、来ない人を待っている気持ちが書かれています。どちらも恋愛に関する気持ちがテーマになっている作品です。

工藤直子さんの『あいたくて』は、だれかはわからないけどあいたい人がいるという気持ちが表現されています。
これを読みながら、私は10代の自分を思い出しました。
自分の恋愛も友人の恋愛もいつか終わるんだろうな…と思っていた頃です。

小学生の頃は少女漫画の雑誌をよく読んでいました。ちゃお、なかよし、りぼん、マーガレット、花とゆめです。親が快活クラブに連れて行ってくれたので、エリートサラリーマンが新聞を読むように、欠かさず全紙読んでました。
漫画を読んでいると中学生や高校生になるのがとても楽しみになりました。自分にはどんなことが起こるんだろうと思ってわくわくしていました。
一方で、自分にはずっと好きでいられる人なんて現れないだろうなとも思っていました。中学生になるとますますありえんな。と思うようになりました。
物語の中のカップルは困難があっても乗り越えていきますが、私の日常ではそんなカップル見なかったからです。私も初めは楽しくて夢中になっても、ずっと恋愛を一番にしておくのは難しく、不治の病になったり、家が貧乏すぎたりしなくても、自分の都合で勝手に気持ちが冷めて、この人のことそんなに好きじゃなかったかも。と終わる恋愛を繰り返していました。

でも、どこかで諦めたくない気持ちもありました。友達とモスバーガーで男子なんてもういい!ってわめいた日も、フラれたけど案外こたえてないことに驚いた日も、相手をフった日の夜ですら、ずっと一緒にいたい!と思う人がどこかにいるんじゃないかと期待していました。超恥ずかしい上に、相手には申し訳ないことをたくさんしてしまったなと思います。

今は、「あいたい人」っていうのは初対面でビビッとくるものじゃなくて、2人で関係性を作っていくことで、あーあなたでしたか。となんとなく思うものだと考えています。恋愛に限らず。
死ぬ時に、やっぱりあなたでしたね。会えてよかった。と思えるような人が何人かいるような生き方をしたいです。

そうそう。でも出会った瞬間にビビッと来る体験をする人もいるそうです。
学生時代のインターン先でお世話になったお姉さんが、初対面なのにお互いすごく懐かしい気持ちになった人がいたそうです。
いいなぁ…

自分で作っていく大事な人はもちろんかけがえのないものですが、こういう話を聞くとなにか計り知れないものに用意されていたかのような「あいたい人」に会う不思議な体験もしてみたいなと思います。

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さて、竹久夢二さんの『宵待草』は、来ない人を待っている気持ちが書かれています。
3行の短い詩で、大正時代に曲がついて流行っていたそうです。
詩とは関係ないですが、竹久夢二さんはデザイナーや画家もしていたようです。調べてみたら、花の図案が郵便局で売っている特殊切手のテーマになっていました。かわいらしくておしゃれな感じでした。

宵待草は、待宵草という植物のことらしいです。語呂合わせの関係で待宵草とされたようです。待宵草は夕方から3センチくらいの黄色い花を咲かせて、翌朝には萎んでしまう小さな植物です。月見草と混同されることもあるそうです。

確かに、恋愛の切なさは暗くなってからやってくることが多いと思います。
私はこの詩を初めて読んだ時、夜中に暗い部屋でスマホの画面に照らされた青白い顔の女の子を想像しました。彼女には付き合っている人がいますが、恋人からのメッセージの返事が遅いことで、相手が自分のことを本当に好きなのか不安になっているというシーンです。
その子は苦しさをなんとかしようとして、今までのことを振り返って反省したり、ありもしない妄想をしたり、SNSの投稿を1から見直してみたり、他にこっそりやっているアカウントがないか探してみたり、似たようなことしか書いてない恋愛関係のまとめサイトをだらだら読んでみたりして夜があけていくんですよ。きっと。
とても懐かしいです。もうあんな思いはしたくないですけどね。

『宵待草』のシチュエーションは失恋が確定しているけど片思いの人を待ってしまっているところらしいのですが、恋愛のどこかしらの段階にいて、孤独な夜を過ごさないといけない人にとっては、ぴったりくる詩だなと思いました。
私は片思いより恋人との温度差がある両思いの方がずっと苦しくて切ないと思いますが、なんにせよ不安になるような恋愛は、ずっとため息が止まらないか息ができないかのどちらかですよね。
いい思い出です。もうあんな思いはしたくないですけどね。


最後に読んだ日 2022/02/24
読むのにかかった時間 数分
書くのにかかった時間 5日

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