戦うことをやめました
私は、監査というお仕事をしていました。
監査は、ざっくり言うと「企業の決算書について正しいのか正しくないのか、会計士が意見する」といった仕事です。
監査期間中は、チームを組んで、クライアント先を訪れ、そして数週間にわたって会議室にこもり、決算関連の資料をチェックしまくります。
決算で忙しいクライアントに対し、さまざまな資料を要求したり、質問攻めにしたりと、何かと仕事を増やす監査チームは、悲しいことに基本的に歓迎されない立ち位置でした。
そんな中、私はクライアントと「超仲良し」でした。
クライアントが自ら会議室に「何か困ってることある?」と顔出しにきてくれたり、質問に行くと世間話で盛り上がったりと、通常の監査だとあまり起きにくい現象を起こしたことにより、
社内で「クライアントに歓迎される新人がいる」と噂されるほどに。
そして社内のチーム編成で選出されるたびに、チームメンバーから「いてくれると助かる!」と声をかけてもらえました。
・・・と、そんなツラツラと「私すごいでしょ」という自惚れ話をしたいわけじゃありません。
それが、私なりの戦わない戦い方でした。
監査をしている人ってみんな、すっごい頭いいんです!!!(語彙力)
入社直後、「ムリムリ、頭じゃ勝てない」とすぐに思いました。
頭脳で戦力にならないなら、「私ができることってなんだろう」と考えた結果、「クライアントとチームをつなぐキーパーソンになろう!」と思いました。
特段コミュ力に自信があったわけではなく、単に当時のチーム内で「一番陽気な性格だった」と言うだけのきっかけなのですが。
そんな私の戦略が功を奏し、社内で「クライアントに歓迎される新人」という、今までになかったポジションを手に入れました。
私は、もともと誰かと競争することが、とっても苦手でした。
「誰かと競っても絶対に負けるし、負けたら落ち込むし、2位とか副班長ぐらいがちょうどいい。」
と、自ら戦いから降りるタイプでした。
社会人になっても、入社後すぐに同期や先輩に対して「勝てるわけない」と確信した私は、「頭の良さ」の戦いからは、すぐに降りました。
そして、新しいポジションを生み出しことで、誰とも比較されないポジションを確保できました。
むしろ、新たなポジションを手に入れたことによって、周りに頼りにされたり、逆に苦手な部分は周りの人が助けてくれるようになりました。
会社やビジネスにおいても、人生においても、「ライバル」がいるかもしれません。
そんなライバルがいることで、切磋琢磨し成長できる、そんなことももちろんあると思います。
しかし、ライバルとの戦いに疲れたり、実力の差を感じて落ち込んだときには、「自分」の新たなポジションを探してみるのはいかがでしょうか。
新たなポジションを手に入れることによって、「この人には勝てない」と思っていたり、あるいは嫉妬して敵対視してしまっていたりしていた相手が、
「あなたのことを必要とし、お互いに助け合える良き仲間」
となってくれるかもしれません。
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