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僕の名前を呼んでよ


もうすぐアイドルを卒業する推しメンとのツーショット撮影会に行ってきた。
まだラストというわけではないけれど、それでもこうしてお話できる機会というのはもう残り少ない。

どんなことを話そうかな、いつもみたいにノープランでブースに入って何気ないお喋りをするのも好きだけど最後に伝えておきたいことや聞きたいことは何だろう、

いろいろ考えた結果、名前を呼んでもらいたい と思った。

有難いことに推しメンは私の顔を覚えてくれていて、だけどお話する時に毎回名前を呼ばれたりはしない。それは推しメンが照れ屋さんだからかもしれないし、私も私で普段わざわざ強請ったりしないし、まあ理由はいろいろあるだろう。
ただそういえば随分呼んでもらっていない気がしたから、久しぶりに推しメンからの「○○(私のHN)ちゃん」を聞いておきたくて。


朝一の部で一度お話しに行って、昼すぎの部にもう一度来るね!と言って戻ってきた。先に写真を撮って、スタッフさんからスマホを受け取ってお話し始めた瞬間。

「○○~!おかえり!お昼食べたの?」

きっと彼にとっては何気ない一言だったと思う。
二度目以降顔を出すと彼は必ず おかえり!と迎えてくれる人だ。
その中でただ気まぐれに名前を呼んだだけだったろうけれど。

私は心底びっくりした。だってまだわたし、名前を呼んでなんて一言も言っていない!
お昼ご飯の話もそこそこに(せっかく話を振ってくれたのにごめん)、
名前を呼んでもらいに来たつもりだったから呼んでくれて嬉しい、と伝えた。
推しメンはめちゃくちゃドヤ顔をしていた。

だいすきだ、と思った。
心の底から愛おしかった。


「名前を呼ぶ」って一見何気ない行動に思えるけれど、アイドルとオタクという関係性においてはすごく特別なものだ。
誰にでも言える「応援してくれてありがとう」「好きだよ」なんて言葉たち(もちろんこれらだって嬉しいのだけど)と違って、
顔と名前を覚えてくれている証明の一つになり得る。

正直これ以上の愛はない、と思うのだ。


『誠実…って難しいな。少なくとも僕は誠実じゃないと思いますね(笑)その事実は僕のファンならよく知っていると思います』
先日発売された雑誌のインタビューでそう話していた推しメン。

そうだなあ。
誠実じゃなかった場面、まあそりゃ何度かは見てきたかもしれないね(笑)、

だけど、推しメンなりの誠意を私はこの4年でたくさんたくさん受け取ってきたつもりだ。

何物でもないただ一人の人間であるあなたが自分なりにアイドルと向き合ってくれた姿勢、そのまるごとすべてが大好きだよ。

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