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主体性のある組織を作る

事業が順風満帆な時は、会社も組織も健康的に動いているように見えます。企業が本質的に健康かどうかが試される1つのシーンが、何かまずい状況が発生してしまった時ではないかなと思います。

まずい状況って色々あります。仕事で誰かがミスをしてしまった。それによって会社にとってクリティカルな問題が発生してしまった。システムに障害が発生してしまった。そんな状況から、今回のコロナのような誰も予測してなかった外的要因もありますし、望まないことですが社員が突然辞めてしまって誰も引き継げていないとか、アテにしていたお金が入ってこなくてキャッシュフローがやばくなる、みたいな状況もあるでしょう。

経営者やリーダーは当然、そうしたまずい状況に対して主体的に取り組みますよね。そのインシデントが重大であればあるほど、会社経営を足元から崩してしまうことになりますから。けれどそこに従業員がついてきているでしょうか。従業員が主体的に動く組織になっているでしょうか。

インシデントが発生した時に、ひとつひとつ指示をしないと動かない組織は、だいぶ注意すべきじゃないかなと思います。

そもそもどうしてそういう状況になっているのか、現状をきちんと把握する必要があります。もともと指示されないと動かない(動くことを許されない)空気になっていないかどうか。もしそうだとしたら、どうすれば変化させることができるのか。

たぶんいくつもあると思っていて、その中から私が個人的に大切だなぁと思うことは下記のようなことです。

大前提: 企業(や事業)が存在する社会的な意義を腹落ちするまで共有すること

自分たちの会社、自分たちの事業が、誰のどんな課題を解決するために存在していて、それがどんな役に立つのか、ということを全員が納得して、誇りを持つこと。まぁこれはインシデント時に限った話ではないですが、これがないと何かあった時に人は能動的に動きません。

越境を許容する環境であること

部署やチームが増えると、それぞれの仕事内容が細分化され、業務分掌化されます。普段はもちろんこれで良いのですが、インシデントが発生した時には、急に必要なリソースの配分が変わることがあります。例えばCSの対応が急激に増えたり、保守周りのエンジニアに原因究明と対応のタスクが集中するなどです。

前提としてマネージャーや経営者はこうした状況を俯瞰して確認し、どこにリソースを集中させるべきか、あるいは対応リソースが不足している部署やチームがやらなくても済む業務をどれだけ剥がすことができるかをすぐに判断して実行に移すべきです。例えばユーザーに迷惑を掛けているインシデントが発生していてCSがパンク寸前ならば、CSのリソースを増やさなければトラブルがトラブルを招く結果になります。また、エンジニアが原因究明と対応をおこなっているのであれば、そのエンジニアと社内の複数の人がコミュニケーションすることは避け、対応に集中してもらうようにすべきでしょう。

こうした時、普段から越境を許す文化を作っておくことが大事だと思います。そして越境を許すためには、「隣のチームが何をやっているか」がわかっていないといけないわけです。業務分掌が積極的に行われた縦割の組織の場合、このあたりは意識してやらないと把握と理解が難しくなります。

例えば私がリクルートに在籍していた時は、事業部の全員が集まり成功体験を共有するイベントがありました。これは実績の披露というより、そこに向けてのプロセスやチームワークにフォーカスしたプレゼンが推奨されていた気がします。グーグルに在籍していた時は、お互いの仕事を理解し組織を横断して課題解決を図ろうと、one Google というプロジェクトが社員の方の発案で立ち上がったりもしました。隣の人が何をやっているのかを理解しないと、ただ土足で踏み込むだけで、越境は難しく、結果無関心か遠慮につながり、ヘルシーな組織ではありません。

経営者やリーダーはどうするか?

インシデントが起きた時、まずそこに対して真正面から対応をしなくてはいけないのは間違いなく従業員の方たちです。100点満点の対応なんてものはなく、マニュアルで完全に解決できるものでもありません。

そんな時に経営者やリーダーができることは、従業員の能動的なアイディアや動きを歓迎し、その優先順位・対応方針と最適なリソース配分を迷わずに判断することだと思います。経営者やリーダーの迷いは不安として伝わってしまうのです。

普段から意義を共有し、越境を歓迎するような文化があると、(無いに越したことはない)インシデント時にも積極的に対応に動けるような健康的な組織になるのではないかと思います。

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