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言葉がテーマの不思議な小説を読んだ

留学中に国がなくなってしまって帰国不可になったhirukoが、北欧でなんとか通じるオリジナル言語を開発して暮らすけども、やはり同郷の人とお話ししてみたい…ということから色んな人が集まって旅のように同郷者を探すお話し。

「地球に散りばめられて/作 多和田葉子」

なんとも不思議なお話しでした。ちょいと前に読んだモリミーの「熱帯」なの?ていうように、色んな人目線のお話をもとに深ーい迷路のトンネルをいくみたいな構成でした。

特徴的な面白かったところは、多言語脳を少し味わえたことです。私は英語が最低限できるのと、今は韓国語を少し勉強しているという程度なので、バイリンガルやトリリンガルの脳みそが気になってましたが、この本はその感覚を少し味わえた気がします。

やはりヨーロッパは、土地が続いていて、行き来も自由にできるけど、その国ごとに言葉や文化があるというのが日本にはない特徴です。母国語以外であれば少し造語になる場合もあって、たまに海外からの留学生の日本語のチョイスにステキな表現だなぁ!と感動することがあるけども、出身が様々な国の人が集まるとそれを扱う人が多くなるのか、この本にはそんな表現が沢山ありました。あとは、文化だと思うけども、ただの会話に沢山の絵本のような比喩表現が使われるのも素敵でした。もしかしたら、この作者の表現方法なのかもだけど。

本の登場人物のなかでは、外国語を話すと母国語よりも口が達者になる人がいます。そういえば、私の友だちが一人海外旅行から帰ってきた時に「日本語より沢山話す人になってた。もしかしたら、英語の方が性に合ってるのかも。」と言ってきて驚いた経験があります。言語は性格も変えてしまうかも…てのは、そうなのかもとも思います。主人公のhirukoは独自の言語を操ることで、自分が強くなれると表現してました。いやはや、おもしろい。

あと、この小説は、たぶん今からけっこう先の未来の時代が舞台です。hirukoの故郷は明らかに日本だけども、「日本」という言葉はなぜか出てこず鮨の国と表現されるのも面白い。日本に何が起きたのかはここでは触れられてないけども、科学の発展のし過ぎと自然環境の災いか何かで大変なことが起きたようです。なぜかこの本での登場人物は、日本に帰りたいとは思っていません。けども、言語は恋しいみたい。それも不思議。

「星に仄めかされて/作 多和田葉子」
続編も読みました。

本当により不思議なお話し。前作にも書かれていたけども、見た目での印象を受けて、本来の自分は違うのに、見た目の印象に合わせた生活をしてしまう人たちが何人かいます。日本人ではないのに日本人のふりをする人、医者のふりをする人、心は女性で普段も女性の服を着ているけどもたまに男性の服をきていると見た目とは合っているけども心と合っていないために違和感を感じるひと。不思議。

ヒッチハイク文化や、休みやすい環境など、日本にはあまりない文化もいくつか感じられます。憧れでもあり、やはり不思議。

hirukoが探していた同郷者は、susanooという名前でした。けどもせっかく会ったのに、一言もしゃべらないことから、言語障害なのでは?ということで、susanooを病院に連れて行ってあげます。いや、優しすぎるでしょう。んで、結局は、言語障害ではなく、ほんっっとにピュアな意見しか話が聞けない人になってた人でした。不思議。とんでもなく不思議。

最後は、不思議を通り越してもはや謎です。2人の名前からわかるとおり、古事記的なお話もでてきて、みんなでなぜか踊って、ロボットが出てきて、都合よく日本行きの船チケットをわたします。色々謎。

全てがなんらかのことをモチーフに書かれているだけで、言語なんて実はどうでもよくて…大事なのは人の考えってことなのだろうか?

途中、母親が子供の考えていることがわからなくてヤキモキするという、うちの親と同じ悩みを抱えるストーリーも出てくるし。いっろんなことが混ぜこぜになっているお話で、いったいこの話の結論は何になるのか気になります。

とにもかくにも、日本がどうしたのかはきになる。

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