#ちょっとおめでたい話

「 #書いてつながろう 」

外出自粛でなかなか外に出られず、
たくさんの暗い情報で頭がいっぱいいっぱい。

こんな状況だけど、みんなで「書く」ことでつながったり、
楽しい習慣になったらいいな。

そんな企画に賛同したメンバーで、毎週テーマに沿って投稿しています。
参加したい方がいましたらコメント欄にてご連絡ください。

今週のテーマは「 #ちょっとおめでたい話 」です。

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まったく誇れることではないけれども、正直にいって、私はあまり時間にきっちりしていない方である。
それでも中学と高校を振り返ると、皆勤賞に相当する無遅刻・無欠席を貫く生徒であった。基本的に健康だったし、不可抗力を除いて、あまり休むという発想がなかったから、毎日きっちり通って授業をしっかり受けていた。

だから、いわゆる漫画やドラマの世界で見るような、『学校を抜け出してサボる』『授業を抜け出して屋上で休む』みたいなことは、空想の世界でしかなかった。
―それとも、本当は誰にとっても空想なのだろうか。現実にこのような学校生活を送ったことがある人がいれば、ぜひこっそり教えてほしい。

大学生となり、授業の時間割をある程度自分で組めるようになると、朝はちょっとのんびりする、とか、授業の合間にカフェに行く、とか、ちょっと新しい感覚で時間の過ごし方、ライフスタイルを構築していた。単位を落とした講義はないものの、皆勤ではなかったように思う。

大学を卒業して会社に入ると、同じ時間に出社して、同じ時間まで働いて帰る、の繰り返しの毎日が待っていた。生活拠点と生活リズムが変わって慣れないのもあってか、なんだか代わり映えのしない毎日だった。同じように毎日通うのなら、むしろたくさんの教科と時間割がある分、学校の方がリフレッシュできるのではないかとさえ思った、かもしれない。

ある平日の朝も、私はいつもと同じように身支度をし、同じように家を出て、同じようにバスに揺られ、地下鉄に乗っていた。地下鉄を降り、改札を抜けて向かった先は、もちろん会社、ではなく、朝から開いているカフェ。悩んだ末に、分厚い厚切りトーストよりも厚みのあるパンケーキと、ドリンクやサラダが一緒に提供されるモーニングセットを注文した。
ひとり席を確保し、「あ、始業時間が過ぎたな」と考えながら、そしてたくさんの人々のせわしない歩き姿を見ながら、ふわふわのパンケーキにたっぷりのシロップを回しかけ、もぐもぐとほおばった。

その日のその後も、「あ、いま頃はお昼の休憩時間だな」と思いながら、てくてくと外を歩いてみたり、道すがらいろんなお店をのぞいてみたり、ゆるゆると過ごしていた。そして帰宅ラッシュの始まる頃には帰途につき、一日中仕事していたかのように帰宅した。

そう、私はその日、有給休暇を取得していたのである。
どこかに旅行に出かけるとか、用事があること以外に休みを取る目的がなく、家にいるとどうせ怠けた生活になってしまいそうだなと思って、用事がない時に全然休みを取れなかった私がたどり着いたのが、いかにも働きに出かける気分で準備しておきながら、実際には全く働かない一日を過ごすこと、だった。
時々何でもない日に休みを取ってみる、これを私は『公式サボりデー』と呼ぶことにしている。サボりという単語によってうまれる、ちょっとした背徳感、もしくは優越感、のもとで過ごす一日は、学校を抜け出すような感じで、ちょっぴり刺激的なのだ。
実際には、正式に休みを取得しているので罪悪感ゼロなのがポイントでもある。

もちろん、誕生日や何かの記念日、特別な日やおめでたい日にしっかり休みを取って楽しく過ごすことは、誰の時間の中でも行われて然るべきで、そういう時間は大切にしたいと思う。
それでも、特別ではない毎日をちょっと変化させると、まるでおめでたい日のように、ちょっとおめでたい気分になれる気がする。こんな過ごし方を、私はこっそり気に入っているのだ。

最近は、外出や接触の削減が市民に求められている状況なので、休みともなれば、外出せずにしっかり家で過ごすことにしている。こうなるとそれはただの休みである。何も気にせずにサボれる日がちょっと待ち遠しい。

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