あの日2

旦那さんが自死した事を、両家に連絡しました。
警察か救急どちらに連絡をしたら良いの分かりませんでした。
義両親へ連絡した際、義父から「警察か救急に連絡したの?」と聞かれ「どちらに連絡すればいいのか分からないです。」と、話すと義父から「救急に連絡しなさい。」と言われ、救急車に連絡しました。
119へ連絡し、旦那さんが自宅で首を吊って自殺した事。
息をしていない、身体も冷たくなっている事を伝えました。
消防の方から、とにかく紐を切って旦那さんを床に下ろすよう何度も言われました。
ですが、旦那さんは背も高いし体重もありました。女ひとりでは、旦那さんを床に下ろす事は出来ません。今なら、その事を消防の方に伝えれば良かっただけなのに頭が回らず上手く伝えられませんでした。
消防の方には、「怖くて触れません。」と伝えたのを覚えています。消防の方から、「分かりました。では、救急車の音が聞こえたら、ご自宅まで誘導をお願いします。」と、言われ電話を切りました。
救急車、両家両親が来るまで、どうして?どうして?なぜなぜ…と、ぶつぶつ言いながら。
旦那さんの両親に何を言われるのだろう…
責められるようなことを言われたら、どうしよう…こんな事を考えていました。どこまでも、自分の事しか考えていませんでした。
そして、「あっ…Mさんに連絡しないと」思いLINEをしました。
Mさんが、電話を掛けてきてくれ旦那さんが自死してしまった事を、感情のまま伝えると。
「しっかりしなさい!!救急車は呼んだの??ご両親には連絡したの??今から、そっちに行こうか??」と。話がありました。私はMさんの声を聞いて、話をしていくうちに徐々に落ち着く事ができました。Mさんは、救急車が到着するまで電話を切らずに私に話しかけてくれました。
救急車のサイレンが聞こえてきた事を伝え、電話を切り救急車を誘導するため外に出ました。
家を出て直ぐのカーブミーラの所に立ち、誘導しようと待っていました。ですが、足に力が入らず座って待っていると、救急隊員の方が見つけてくれ救急車から降りてきてくれました。
苗字を聞かれたので、「はい。そうです。」と、伝え家に向かって歩こうとすると隊員の方が、歩くのを支えてくれながら、「旦那さんは??どこ??」と、聞かれ。「居間です。」と、伝えると家の中に確認しに入っていきました。私は、家の中に入って救急隊員の方を見ている事しかできませんでした。
救急隊員の方とやり取りしている時に、私のスマホには何度も警察から連絡が入りました。
救急隊の方に、「警察から着信が入っているので電話に出ます。」と伝え電話に出ると警察の方に早口で、住所を聞かれたのは覚えているのですが、後は何を聞かれたのか、なんて答えたのか覚えていません。
立っていることが辛くなり居間の隅に座り込んで警察の方からの電話に対応をしていると、消防隊員の方に、「奥さん。ちょっと電話変わってもらっていいかな??」と。声を掛けられました。
私は、そのままスマホを救急隊員の方に渡しました。
すると、「もしもし、○○消防の○○と言います。突然すみません。奥さんの今の精神状態で話をするのは無理と判断したので、現場で聞いた情報を伝えます。」と、警察の方と話をしてくれました。とても嬉しかった事を覚えています。
その後旦那さんを、床に下ろしてもらいました。
顔をさわると冷たかった。そして手をぎゅっと握りしめていました。
救急隊員の方が帰る時、「奥さん。絶対に無理したらダメだよ!じゃないと、あなたの心が壊れてしまうから。警察の事情聴取が、精神的にキツかったらハッキリ言っていいんだよ。精神的にキツイから、別の日にして下さいとあなたには言う権利がある。それを忘れないでね。」と、伝えられました。その言葉は未だに覚えています。この言葉があったので、当日の辛い時間を耐えられたと思っています。それは私の中で、どれだけ辛くても警察から事情を聞かれたら、何がなんでも受け答えしないといけないものだと、勝手に思い込んでいたからです。
救急隊員の方からの言葉で断る事ができると分かり、心が楽になりました。
救急隊員の方を見送るため外に出ると、我が家の周りは近所の方達が沢山いました。
そしてパトカーが数台入ってきて、あっという間に家の中は警察関係者で埋め尽くされました。


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