暴走する義母

死亡診断書を朝一、警察が委託している病院へ取りに行きました。
受付の方に話をすると、死亡診断書の内容を確認して欲しいと伝えられましたが、私は死亡診断書を見るのが嫌でした。それは、死亡理由の欄を見るのが嫌だったから。だけど確認しないとダメだよな。と思い直し、死亡診断書を確認し間違いないことを伝え、受け取り家に帰宅しました。

帰宅後、義両親と葬儀屋の方に連絡して、旦那さんの遺体を葬儀屋の控え室に移動してもらうと、
これから通夜葬儀の打ち合わせをするとの事で、控え室で待っていると、葬儀屋の方が控え室に入ってきて、私に「死亡診断書に奥さんのお名前を記入してください。」と言われました。私は、死亡診断書に自分の名前を書くことを知りませんでした。旦那さんの死亡診断書に自分の名前を書く…取りに行くだけでも嫌で嫌で仕方がなかったのに。
私の頭と心は追いついていませんでした。私の口から出た言葉は、「書きたくない。なんで書かないといけないの…嫌だよ。」でした。葬儀屋の方から、死亡診断書に私がサインしないと火葬許可が取れないと説明されましたが、それでも私は、サインをする事ができませんでした。
すると母が「嫌なのは分かるよ。だけどね、書かないと先には進まないんだよ。」と言いながら背中をさすってくれました。私は、葬儀屋の方に、「少し時間を下さい。」と言い時間をもらいました。そして、控え室の隅に座り込んで「なんで?どうして??置いていったの?死亡診断書のサインなんかしたくないよ。」と思っては泣いていました。
だけど、このままでは終わらないと思い、そばに居てくれた母に「サインするよ。」と伝え、震える手でサインした事を覚えています。

私が死亡診断書にサインをした後、通夜葬儀の打ち合わせが始まりました。渡されたパンフレットには、棺、骨壷、祭壇の種類が載っていました。私は、見るのが苦しくなってパンフレットを途中で見るのをやめました。それは旦那さんが亡くなった事実を受け入れる余裕がない状態で、次々に決めて行かないといけないことが沢山あり、私の体力も気力も限界でした。
私の事を、お構いなしに義母が暴走し自分好みの通夜葬儀にしようとして仕切り始めました。
葬儀屋の方に「棺はこれ 骨壷はこれ 祭壇はこの形でお花はピンクでお願いします。」と勝手に話しをしていました。全部私や旦那さんの好みじゃない色や形。ピンクは、義母が好きな色なだけ。私はひたすら黙っていました。義母の言動に対して今ここで自分が、口を開いたら何を言い出すか分からなかったから、感情的になって言いたいことを言ってしまいそうな自分をとにかく抑えるために、ひたすら拳を握り締めながら心の中で「ふざけんな。死ね。」と思って、何も言わないでいました。
義父は、義母を叱ってくれました。
「喪主はあやちゃんだろ。喪主の意見が大事だろ!お前じゃないんだよ!気持ちを考えろ!」と言ってくれていましたが、それでも義母の暴走は止まらず。何度も義父から同じ事を言われても聞く耳を持たない義母。何も言わずにいる私に対して義父は「もう、あいつの事は気にしなくていいから。自分の気持ちを言っていいんだよ。」と、言われ自分の気持ちを伝えることにしました。「華やかにしないで欲しい。シンプルで青系の花で雰囲気は優しい感じにして見送りたいです。旦那さんは、とにかく優しい人だったから。」と伝えました。
棺、骨壷、祭壇、花を決めた後、控え室で過ごしていました。





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