「育児は一大事業だよ」子育てをライフスタイルの変化ではなく、仕事のひとつと捉えてみる。
妊娠したとき、頭の中は不安しかなかった。この先数年、あるいは十数年、育児に膨大な時間をとられる。自由がなくなり、やりたい仕事もできなくなる…。
家族のお祝いムードとは対照的にそんな苦しさを抱えていたとき、尊敬している人生の大先輩(女性)に弱音を吐きました。
「私、今年は仕事だーってすごい気合いいれてたのに、よりによって今年妊娠するなんて本当にくやしいです…」と。
すると、明るく即答された。
「大丈夫!仕事もできるよ!子育ては一大事業だからさ〜。もちろん時期によってどっちに比重がかかるかってのはあるけど、あんたなら両立出来る」
ハッとしました。
”事業”と聞いて、急に視界がひらけた気がしたから。そうだそうだ、子育てをライフスタイルの変化、と思っていたから辛かった。人生がまるごと変わってしまうような気がしたから恐かったんだ。
でも、子育ても仕事のうちの一つとして捉えてみたら?
子どもをもつことは自分の仕事もプライベートも全て侵食される印象を持っていたけれど、「仕事」と考えれば、多少イヤなことでも「ちょっとでも楽しくできる方法は?」ってプロセスや考え方を工夫するよね。
子育ては「一つの仕事」。子育ては私の「仕事のうちの一つ」。この発想を与えてもらったことは、とても大きかった。
またその時、彼女にはこうも言われました。
「子育てで仕事ができなくなるようだったら、その仕事も自分の実力もそれまでだった、ってことよ~」
いや、本当にそうだと思う。どうでもいい人から言われたら腹が立つセリフだったけど、大好きな方からの助言は重みと説得力があり、イラっとくるどころか感動して泣けてきて、すっかり気持ちが変わったのです。
あれから4年経ち、息子も3歳半。
実際、子育ては仕事として取り組んでこれたのかというと、そんなふうに考える隙もないまま流れていった日々も数えきれない。
だけど、「子育ては一大事業」この考え方は、今もふとした時に私を支えてくれてます。
懸念していた仕事はどうなったかというと、妊娠中には想像のつかなかった形へと徐々に姿を変えてきました。
むしろ、あの頃思い描いていたよりもずっと自分の得意を活かし、やりがいと喜びを感じる仕事をさせていただいている状況がある。
なぜそうなったかといえば、要因はいろいろあるけれど、その一つには「子どもができて自由に動ける時間が減ったこと」。いままでなら全部やろうとしていたことをちゃんと精査し、取捨選択できるようになったから。
ちなみに、助言をくださった女性の会社からも一昨年からお仕事をいただいている。ありがたさが溢れます。
子どもがいないほうが好きな仕事ができると強く思い込んでいたのに、実は子どもをもったからこそ理想の仕事、働き方が叶いつつあるのかもしれない。親になることを怖れていたあの頃の私に、いま見ている景色を見せてあげたいよ。
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