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ベイルートの爆発と難民

おはようございます。

ベイルートでの爆発

今月の4日に、レバノンの首都ベイルートで、大きな爆発があったと報じられました。

8月16日現在で死者の数は179人、負傷者数は6000人を超えたそうです。今回の事故の報道で、レバノンはその食料の85%を輸入に頼っていることを知りましたが、穀物用のサイロも破壊され、港も爆発で被害がでているので、これからの食糧不足が懸念されています。報道によると、被害は首都の半分にまで及んでいます。ー30万人の人が家を失い、医療機関も深刻な影響を受けました。ベイルートの55の医療施設について、WHOが調査したところ、その半数が機能していない状態でした(https://www.bbc.com/japanese/53761673)。

レバノンの難民受け入れ

さて、レバノンは多くの難民を受け入れています。キャンプに住む約37万人のパレスチナ難民(UNRWA発表*)の他、2019年末時点で、91万人以上のシリア難民が住んでいます(UNHCR発表)。難民関係の数字で驚くのは、その総数だけではなく、難民とレバノン市民の割合です。シリア難民1人に対してレバノン人は7人。これに、キャンプ在住のパレスチナ難民を加えると、市民5人で難民を1人支援しているという割合になります。ちなみに、日本では、難民と庇護申請者の両方を合わせても、4100人以上の国民で1人の難民・庇護申請者を支援している割合ですから、レバノンが、その人口に比べていかに多くの難民を援助しているかを想像していただけるかと思います(2018年末の数字をもとに計算)。

今回の爆発事故では、多くの難民を受け入れてきた地域が、甚大な被害を受けたわけです。政府や援助機関だけでなく近隣住民から助けられていた難民は、自分たちの生活が爆発によって影響を受けただけでなく、支援してくれていた周りの人々の生活状況も大きく変わったことになります。

(*UNRWAによるとヨルダンには200万人以上のパレスチナ人が難民として登録されているが、そのうち多くの人々はヨルダンの市民権を得ている。)

爆発と難民

UNRWAは12日に、死者の中に2人のパレスチナ難民がいたと発表しています。また、UNHCRは8月16日に、少なくとも13人の難民が死亡し、69人が行方不明だと発表しました。そして、2歳と3歳の二人の子供が大怪我をしたアーメッドとアイシャというシリア難民夫妻の話を紹介しています。ー子供を担いで行った先の病院は血の海でした。二人は家を失い、子供たちは病院で手当てを受けた後も、眠れずにいつも怯えている状態が続いています。(https://www.unhcr.org/news/stories/2020/8/5f3934cc4/unhcr-mobilizes-aid-beirut-aftermath-deadly-blast.html)

団結

このような中、パレスチナ人、シリア人、レバノン人が団結して救助活動をしていることも報告されています。UNRWAやUNHCRによると、パレスチナ難民やシリア難民が、瓦礫の掃除や救援活動のためにホストコミュニティへ自ら出向いているということです。

国際社会も動いています。9日にはオンライン会議で国際会合が開かれ、30以上の国や国際機関が参加、日本円で総額315億円余りの拠出金が約束されたました(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200810/k10012560161000.html)。国連は、総額5億6500万ドルの支援を呼びかけています。うち、UNHCRは難民に対して3500万ドルの緊急支援が必要だと述べています。物資や現金支給のほか、シェルター、医療や精神医療などに必要なものです。(https://www.unhcr.org/news/stories/2020/8/5f3934cc4/unhcr-mobilizes-aid-beirut-aftermath-deadly-blast.html)

日本でも、コロナウィルス危機と自然災害とが重なった地域では、避難をする人もお世話をする人も対応がより複雑になったのですが、レバノンも同じ。Covid-19への対策をしながらの災害対応になりますから、さまざまなチャレンジが続きそうです。

最近の私

暑いです。冷房をかけてだらだらと夜を過ごしていたら、外が明るくなってきて…そこで朝陽の写真を撮ってみました(タイトル写真)。レバノンの状況にも明るい太陽が昇りますように。




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